数分後
ブルプルプルプル プルプルプルプル
「美玖?」
「菜緒?」
「うん、どうしたの急に」
「美玖のことしゅき?」
「えっ?」
「今日愛萌とキスしてた。愛萌が好きなんでしょ」
「えっ?キス…してないよ…」
「嘘だ、私見たもん。収録終わったあと廊下でしてたの見たもん」
「えっえっ、してないしてない。髪にゴミついてたから取ってもらったけどキスはしてないよ」
「ほんと?」
「ほんまやって。菜緒の初めては美玖のもんやでって前も言ったやん」
「ほんとに信じていい」
「もちろん」
電話を切ると今までの落ち込みが嘘のように美玖は元気になった。
「良かったね美玖」
「丹生ちゃん、陽菜ありがとう」
「どういたしまして?」
「じゃあ美玖の機嫌も治ったことだし、みんなでゲームでもする?」
「いいね!」
「桃鉄やろ~!」
「さんせー!」
こさかな宅
「さっきの電話、美玖から?」
「うん、愛萌とキスしたやろって」
「誰がそんな噂を」
「たぶん収録終わりに一緒にトイレいったあとに、髪についたゴミ取ってくれたやん?あれが遠目にはキスしてるように見えたんやと思う」
「なるほど、納得」
「ああ見えて美玖は嫉妬深いからね~」
「私も嫉妬深いよ」
「あなたは嫉妬を煽る方でしょ」
「まあね~。そうだ!せっかくだし噂から事実に格上げしちゃう?」
「さすがにそれは今はやめとこ。だいぶん美玖が落ち込んでたって丹生ちゃんからLINE来てたし」
「じゃあまた今度にお預けってことね」
「そうだね」
「だけど…」
そして菜緒の耳元でこう囁いた
「菜緒の初めては私がもらうからね」