最近金価格が1オンス3000ドルを超え高騰が続いていますが、銀価格も1オンス33ドル前後と、金ほどの幅は無いものの上昇基調で来ています。
1960年代前半まで世界各地で流通していた流通用銀貨は銀相場の上昇とともに、銀の含有量が額面に近づく或いは超えた事が原因で製造中止されて行きました。
自販機の普及等もあって殆どの銀貨は同じサイズの白銅貨等に素材変更され併用されつつ、回収され、銀相場が更に上昇したこともあり完全に消えてしまいました。
各国は通貨の威信をかけて地金価値を超えるギリギリまで発行を続け、常にインフレにさらされ続けたフランス、メキシコは高額面のコインを作成してまで銀貨の発行にこだわっていたようす。
1971年のドルショックによるドルと金の交換に紐付けされた固定相場制の崩壊や市場の取引拡大は投機的相場 作り出し市民による退蔵も発生。金に比べ安く工業用需要も高い為に1980年のハント兄弟による買い占め高騰など上下幅が激しい不安定な状況を生み出し、再発行の可能性を削いでしまいました。
キャッシュレス化は進み、本質的根拠のない暗号通貨がもてはやされる中ではありますが、消えることが無く、物質自体に価値のある金銀の人気は衰えることは無いと思います。
主要国別に、当時の銀貨廃止時の発行状況を調べてみたいと思います。
掲載コインの年号は最終年号を優先し、所持しないコインは遅い年号のコインを載せています。
為替レートについては、fxtop.comの為替レート履歴等を参考にして、コインの最終発行年の銀地金>額面の分岐点の値=鋳潰点(1オンス当りの銀価格)も計算してみます。
Google TradingViewのデータによる、主な年度の最高月の相場は下記のとおりです。
1860年 1.29$ 1881年 1.13$ 1900年 0.65$ 1920年 1.03$ 1940年 0.35$
1950年 0.74$ 1960年 0.920$ 1962年 1.09$ 1964年 1.313$ 1966年 1.308$
1967年 2.253$ 1968年 2.501$ 1969年 2.001$ 1971年 1.752$ 1972年 2.048$
1973年 3.284$ 1974年 6.700$ 1978年 6.074$ 1980年 48.00$ 1990年 5.390$
2000年 5.54$
☆オーストリア
1957年10リングの通常銀貨を製造開始、1960年に5シリング硬貨をアルミから銀貨へ変更。
5シリングは1968年,10シリングは1973年、鋳潰点を越えるまで製造され白銅貨になりました。
※5シリング(=0.1923米$)銀貨.640 5.2g(0.107oz)1966年 鋳潰点=1.797$


※10シリング(=0.4325米$)銀貨.640 7.5g(0.1543oz)1973年 鋳潰点=2.803$


☆オーストラリア
ポンド体制では1964年の最終発行年まで.500銀貨を継続、1966年のデシマル化では5シリング相当の50¢のみ銀.800で新規製造するも1967年には白銅貨に変更され終了、銀貨は退蔵された。
※50セント(=1.12米$)銀貨.800 13.28g(0.3416oz)1966年 鋳潰点=3.279$


☆カナダ
.800で製造していた銀貨は1967年中に鋳潰点を超え10,25セントは1967〜1968年に.500に含有率減少、1968年途中で全てニッケル貨に差替え。
50セントは1967年が最終発行年でニッケル貨に。
※50セント(=0.4625米$)銀貨.800 11g(0.300oz) 1967年 鋳潰点=1.542$


☆フランス
1960年新フラン発行時に5フラン銀貨(〜1969)、1965年10フラン銀貨(〜1973)、インフレと銀高騰で素材変更されるも、1974年に50フラン(〜1980)、1982年〜100フランとほぼ流通しない高額通常銀貨を製造した。
※5フラン(=0.90米$)銀貨.835 12.0g(0.3221oz)1966年 鋳潰点=2.794$


※50フラン(≒10.25米$)銀貨.900 30.0g(0.868oz)1974年 鋳潰点=11.81$


※100フラン(≒15米$)銀貨.900 15.0g(0.434oz)1982年 鋳潰点=34.56$


☆ドイツ
戦後1950年より5ドイツマルク銀貨を流通用に発行。鋳潰点が高く1974年まで製造。翌年白銅に
※5マルク(≒1.9米$)銀貨.625 11.3g(0.225oz)1973年 鋳潰点=8.444$


☆イタリア
1958年500リラ銀貨が製造開始、鋳潰点が近づき1967年に通常発行を中止。以降収集用のみ。
※500リラ(=0.80米$)銀貨.835 11.0g(0.2953oz)1966年 鋳潰点=2.709$


☆日本
1957年〜1966年に100円銀貨製造、1967年より白銅貨に。
鋳潰し点を計算したら3.00と切りがよく、おそらく発行時に設定された数値と思われます。
※100円(=0.278米$)銀貨.600 4.8g(0.0926oz)1966年 鋳潰点=3.002$


☆メキシコ
旧ペソは、額面を上げながら銀貨発行を続けるも1979年で急騰の為終了、1993年の1対1000のデノミ実施時、10,20,50新ペソを銀使用のバイメタル硬貨発行。1995年でインフレの為終了。
※100ペソ(4.3923米$)銀貨.720 27.77g(20g=0.6428oz)1979年 鋳潰点=6.833$


10ヌエボペソ(1993年3.21$→1995年末1.30米$)バイメタル銀貨(1/6oz)鋳潰点=7.80$(1995)


☆オランダ
戦後軽量化し1954年から1ギルデン、1959年2½ギルデン銀貨を再開、1ギルデンは1967年途中に鋳潰点を超えてニッケル貨に、2½ギルデンは1966年銀貨は終了。
※1ギルデン(=0.277米$)銀貨.720 6.5g(0.1505oz)1965年 鋳潰点=1.841$


※2½ギルデン(=0.693米$)銀貨.720 15.0g(0.3472oz)1966年 鋳潰点=1.996$


☆スペイン
1966年に戦後初めて100ペセタの額面で銀貨を発行するも、1970年に終了し白銅貨化。
※100ぺセタ(=1.4375米$)銀貨.800 19.0g(0.4887oz)1966(☆69)年 鋳潰点=2.941$


☆スウェーデン
戦後は400/1000の低品位ながら銀貨の発行を鋳潰点越えまで続けた。戦時中の重量及び含有量減少をほぼ免れた10オーレ(他額面は1942年以降.600又は.800品位から.400品位に変更),25,50オーレは1962年、1,2クローナは1968年途中から白銅貨に変更されています。
※10オーレ(=0.0193米$)銀貨.400 1.44g(0.0185oz)1962年 鋳潰点=1.043$


※1クローナ(=0.193米$)銀貨.400 7.0g(0.09oz)1968年 鋳潰点=2.144$


☆スイス
1/2,1,2フランは1967年に鋳潰点を超え白銅貨に置換、5フランは僅かに鋳潰点は越えず1969年まで製造するも退蔵され、秘密裏に1968年に製造していた白銅貨をその後流通させた。
※2フラン(=0.4574米$)銀貨.835 10.0g(0.2684oz)1967年 鋳潰点=1.704$


※5フラン(=1.143米$)銀貨.720 15.0g(0.4027oz)1969年 鋳潰点=2.838$


☆アメリカ
鋳潰点に近づき1964年で銀貨は終了、白銅張青銅貨に。
50セントのみ.400(外側は.800銀張りで発色は良好)に落とし1.0g減量するも1970年で終了。
投機的ため込みも起き、50¢コイン自体の流通が次第に低下した要因となったようです。
※1ダイム(=0.10米$)銀貨.900 2.5g(0.0723oz)1964年 鋳潰点=1.383$


※1/2ドル(=0.50米$)銀貨.400 11.5g(0.1479oz)1968年 鋳潰点=3.38$


他にも、1960年代頃まで銀貨を発行、または流通していた国は下記のとおりですが、1960年代後半に完全になくなりました。
イラク サウジアラビア 北イエメン シリア エジプト モロッコ リベリア
南アフリカ グアテマラ エルサルバドル パナマ オランダ領アンティル スリナム
ベネズエラ フィンランド ポルトガル ポルトガル領各植民地 ギリシャ ベルギー