鳥の中でも猛禽類は、空の勇者として人の信仰に強くかかわってきた動物で、世界各地で神格化され、紋章や国鳥としてコインの図柄として多く利用されています。
鷲はライオンと並び権力の象徴として古代文明の時代から使用され、特に東ローマ帝国の双頭の鷲はその後継者の標とされ利用されました。隼はエジプトの天空と太陽の神ホルスの頭部の姿として知られ、神そのものとして拝められていたようです。
生物学上では鷲と鷹はともに鳥類タカ目タカ科の猛禽類で、曖昧ながら比較的大型で翼の先が分かれているのがワシ eagle、中小型で翼が丸いものがタカ hawkとされており、多くの種類が世界中に生息しています。harrier
近年の分子解析研究の結果、文化的にタカと差異の少ないハヤブサ falconは、スズメやオウムに近い種類であることがわかりタカ目から外され独立目になり、南米で神格化されるコンドルは一時コウノトリ科に組み入れられた時期からタカ目に戻されています。
世界的には鷹狩 に使用されるタカは猛禽類の総称で、イヌワシ、オオタカ、ハヤブサ等様々な猛禽類が用いれられます。欧州、中東等はで特権階級の権力を示す遊びとして発展し、古墳時代には日本にも伝来したと言われます。他国のような鷲や鷹を神聖化する文化はあまり見られませんが、強さや権威の象徴として鷹(羽)を使った家紋は多く存在します。が鷲の家紋は殆ど存在しません(ネット検索で2種はあるようです)。
ワシ、タカ類を使用したコインを紹介します。
双頭の鷲
最古のものはメソポタミア、シュメール人の時代から存在しローマ帝国は単頭の鷲を紋章に していていましたが、東ローマ帝国末期に東西の2つの意味を持たせて双頭に変更。
東欧を中心に継承され、ローマの継承国を自負した神聖ローマ帝国が採用した。
☆神聖ローマ(ハプスブルク)帝国 ☆オーストリア=ハンガリー帝国(オーストリア)
☆オーストリア共和国
第一次大戦後単頭になるも、ファシスト支配時ナチスドイツ併合前に一時双頭の鷲が復活
☆ロシア帝国→ロシア連邦共和国
東ローマ帝国の後継と自任してモスクワ大公国が採用、ソ連崩壊後復活しましたが、最初のコインにはロシア帝国崩壊時の臨時政府紋章とそっくりなロシア中央銀行の紋章を使って発行。
☆セルビア ユーゴスラビア
☆フィンランド(ロシアより独立直後) ☆モンテネグロ
☆ギリシャ国王の成婚記念銀貨として使われた ☆アルバニア
クライシュの鷹
ムハンマドの出身クライシュ族が由来の紋章、尚アラビア語には鷹と隼の区別はない。
古代エジプトの神ホルスとの関係は不明。シリア、クウェート、UAEの国章に入っている。
1972-80年エジプト、シリア、リビアによるアラブ共和国連邦で共通採用された。
☆シリア 3つの星は3つの地域を表す ☆シリア 共和国連邦時
☆リビア ☆エジプト
サラディンの鷲
アイユーブ朝の創始者サラディンが十字軍に備えて作った城壁に残された浮彫の紋章(当初双 頭の鷲だったといわれる。近国セルジューク朝トルコも双頭の鷲)をもとに、アラブ民族のシンボルとして革命後の共和制エジプトの国章として作られた。
☆エジプト アラブ連合時代 ☆シリア アラブ連合時代
☆イエメン イエメンアラブ共和国(北イエメン)→統一イエメン
☆スーダンマフディー国家由来のヘビクイワシ ☆アフガニスタン
☆ドイツ 国の政体が変化しても鷲紋章は使われ続け、多くのバリエーションがあります。
☆イタリア
国章、国鳥などには採用されていませんが、王国時代に権威の象徴として多く使用しています。
☆ポーランド
独立後全てのコインの表面を飾りますが、社会主義時代は王冠が外されています。
☆スペイン
フランコ独裁時に聖ヨハネの鷲を追加した国章に変更しコインの図柄に取り入れられました。
☆フランス ナポレオン帝国時代
☆ルーマニア ☆モルドバ ルーマニアと同根
アメリカ 白頭ワシ
元々ネイティブ・アメリカンにより神聖な鳥として崇められ、祭礼に使用されてきたもので
アメリカの国鳥として紋章に採用されています。意匠は豊富です。
☆メキシコ サボテンに立つ蛇を咥えた鷲
アステカの首都建設をめぐる伝説に基づくデザインで、皇帝の好みであったと伝わる。
☆チリ コンドル
南米アンデス地方の神話で太陽神と結び付けられており、ボリビア、チリ、コロンビア、エクアドルの国鳥となっており、紋章に組み込まれています。コインでの主素材利用はチリのみです。
☆インドネシア ガルーダ
インド神話の神鳥ガルーダとされますが、インドネシア独立後の国章を作成する際に人鳥一体の古来からの姿ではなく、国鳥ジャワクマタカの姿を模した形で考案されたようです。
右は、タイのガルーダ像で構図が似ています。















































































































































