☆ 戦争時の素材変更コイン | コイン好みAtoZ

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あまり紹介されることのない戦争中のコインを紹介します。

 世界では20世紀中に2度の世界大戦が起こり、各国では混乱の中、戦時通貨体制を敷いてコインの素材の置換えやデザイン変更が実施されました。

主にデザインを変えでの卑金属化やニッケル素材の使用中止などが中心ですが、デザイン変更せずの使用金属変更、逆行してを代替素材にしたりと国情により様々です。

銀相場は1939〜1944年の1オンス=35〜45米¢(1gで1¢台前)で、中国の銀本位制終了時1935年頃の1オンス≒64¢より割安な時代も影響していた事もあると思われます。

この時代、高額コインである銀貨は製造中止になる国が多い中、中立国のスイス、スウェーデン等の他、アメリカ、イギリス(戦後に白銅貨へ)等の国ではそのまま発行を継続しています。

ニッケルは、固く錆びにくい素材として軍需用に使用される為、戦中期には資源確保目的もあって硬貨として多用され、戦争中に回収される運命の素材でした。

日本では、戦中に金属回収令が制定され、最終的にアルミニウムまで対象にされています。

また逆に薬莢に使用される真鍮(黄銅)は、回収再生され戦後の貨幣に利用され、日本の5円硬貨の他、フランス、レバノン等での緊急貨幣の例があります。

戦後のインフレもあって、元の素材に戻すことなく継続製造した国も存在します。

各国で主に戦時貨幣に使用された劣化しやすい鉄や、亜鉛などのコインは人気もないですが状態の良いものは少ないようで、手持ちのコインも劣化したものばかりです。

戦時各国の変更例は以下の通りで、主な所持品を紹介したいと思います。

 アメリカ   1セント=青銅→亜鉛メッキ鉄  5セント=白銅→銀.350合金ビロン

※ 1セント 亜鉛メッキスチール貨 1943s

※ 5セント 低品位銀貨 1943s  5.0g 銅56%/銀35%/マンガン9%

                      ※大きなミントマークは回収の目印の為

 スイス    1,2ラッペン=青銅→亜鉛(第二次大戦時)  

        5,10ラッペン=白銅→黄銅 20ラッペン=ニッケル→休止(第一次大戦時)

        5,10,20ラッペン=ニッケル→白銅(第二次大戦時)

※ 1ラッペン亜鉛貨  1946

※ 5ラッペン黄銅貨  1918                ※10ラッペン黄銅貨  1918

 フランス   10,20(25)サンチーム=白銅→亜鉛

(第二次大戦時)  50サンチーム〜5フラン=アルミ青銅,ニッケル→アルミ二ウム

※10サンチーム亜鉛貨  1942                ※20サンチーム亜鉛貨  1942

※ 1フラン アルミニウム貨  1944B ドイツ占領下

※2フラン アルミニウム貨  1945C

 

 ドイツ     

 (第一次大戦時) 1ペニヒ=青銅→アルミニウム  5,10ペニヒ=白銅→亜鉛メッキ鉄、亜鉛

 (第二次大戦時)  1,5,10ペニヒ=青銅,アルミ青銅→亜鉛

        50ペニヒ=ニッケル→アルミニウム 1マルク Ni ,2,5マルク=銀→製造中止

※5ペニヒ亜鉛メッキ鉄貨  1916A

※5ペニヒ錫貨  1941D

 イタリア   20,50センテシミ,1,2リラ=ニッケル→アクモニタル(ステンレス)

※50センテシミ アクモニタル貨  1940                                     ※20センテシミ アクモニタル貨  1941 

 スウェーデン 1,2,5オーレ=青銅→鉄(第一次、第二次大戦共)

※ 2オーレ鉄貨  1945

 ノルウェー  1,2,5オーレ=青銅→鉄(第一次、第二次大戦共)

        10,25,50オーレ=白銅→亜鉛(第二次大戦占領下)

※ 2オーレ鉄貨  1918

※ 2オーレ鉄貨  1943

※ 50オーレ亜鉛貨  1945

 デンマーク  1,2,5オーレ=青銅→鉄(第一次大戦時)

        1オーレ=青銅→亜鉛   10,25オーレ=白銅→錫(第二次大戦占領下)

        2,5オーレ=青銅→アルミニウム→亜鉛(亜鉛貨はそのまま継続されました)

※ 2オーレアルミニウム貨  1941

 ベルギー   5サンチーム〜5フラン=白銅,ニッケル→亜鉛(第二次大戦占領時)他は中止

※ 1フラン錫貨  1941

※ 5フラン錫貨  1941

 ハンガリー  2フィレル=青銅→鉄→亜鉛 10,20フィレル=白銅→鉄

※ 2フィレル錫貨  1943

※ 10フィレル鉄貨  1940

 英領インド  1/2〜2アンナ=白銅→ニッケル黄銅

        1/4〜1ルピー=銀.917→銀.500

※ 2アンナ ニッケル黄銅貨  1943

 セイロン   5セント=白銅→ニッケル黄銅  10,25,50セント=銀→ニッケル黄銅

※ 25セント ニッケル黄銅貨  1943

 タイ     5,10,20サタン=ニッケル→銀→錫(20サタンなニッケル貨なし)

※ 5サタン銀貨 2484(1941) 銀.650 

 レバノン  、シリア   フランスでコインが供給できず緊急通貨を現地生産

※レバノン 1/2ピアストル黄銅貨 ND( 1941) 

               

※レバノン 1ピアストル黄銅貨 ND( 1941)

その他に下記の例がありますが、日本以外所有品がないのが殆どです。

 日本     1銭=青銅→アルミニウム→錫亜鉛(→陶)

        5,10銭=ニッケル→アルミ青銅→アルミニウム→錫(→陶)

 オランダ   1セント〜25セント=青銅,白銅,銀→亜鉛(第二次大戦占領下)他製造中止

 フィージー  1/2,1ペニー=白銅→黄銅

        6ペンス〜フローリン=銀.500→銀.900(第二次大戦時アメリカへ委託製造)

 パレスチナ  5,10,20ミルス=白銅→青銅

    カナダ    5セント=ニッケル→黄銅→クローム張鉄

 南ローデシア 3d〜1/2クラウン=銀.917→銀.500