中央ヨーロッパ、ウラル系言語を用いるマジャル人を中心とした国で現地ではマジャルと呼びます。
中世、東方遊牧民の進出を基に広大な地域を支配下に置いた大国でしたが、オスマントルコに破れた後ハプスブルク家の支配下に置かれ、幾度かの独立の動きの末1867年にオーストリア=ハンガリー二重帝国が成立し同君を持つ王国となっています。
2度の大戦敗北の結果領土は現在の地域まで削減され、国外のルーマニア等周辺諸国にもマジャル人の多数住む地域が存在します。紋章中の右にある二重十字の紋章は現在のスロバキアの紋に通じるもので、ハンガリーが支配してきた地域の名残でもあるようです。帝国崩壊前オーストリアと同君連合であった為肖像面はそっくりで間違えられることがありますが、銘文と裏面は全く異なります。戦間期の王国時代はハプスブルク家の王位継承を周辺国に反対されて国王がおらず、軍人のホルティ・ミクローシュ(未収ですがコインの肖像にも使われています)が摂政として治めた不思議な王国でした。
通貨単位は何度か変更されており、フォリントはフローリン、コロナはクローネのハンガリー語読みで、ペンゲー(ペンゴ)は銀貨を打つ際に鳴る擬音から銀貨そのものを指す言葉として採用されたらしいですが、第二次大戦後の超インフレ通貨として有名です。王国時代はカトリック教徒の国らしく天使やマドンナを描いたコインが多数あり秀逸で、再鋳貨も多くあります。
※1フォリント銀貨 1869年KB
※8フォリント/20フラン金貨 1880年KB
※20フィレルニッケル貨1893年
※20フィレル黄銅貨1922年 再鋳貨プルーフ
※2コロナ銀貨 1912年
※10コロナ金貨 1910年KB
※10フィレル白銅貨 1927年
※1ペンゴ銀貨1937年
※2ペンゴ銀貨 1939年
※5フォリント銀貨 1947年 コシュート・ラヨシュ像(1848年革命の独立首謀者で英雄)
※10フォリント ニッケル貨 1947年 社会主義時代