アヘン戦争後の1842年に正式にイギリス植民地になって以来、近くのマカオと共に戦後まで残された欧州の中国進出拠点の地でした。1997年に中国へ返還され特別行政区となりますが、一国二制度のもと独自通貨を継続発行している地域です。交易地として様々な銀貨が流通していた中、当初メキシコ$(スペイン$)が圧倒的地位にあり、1930年代まで中国本土同様に銀本位制度が浸透した地域です。
1863年から補助貨幣の発行が始まり、1866年に香港造幣局が開設し本位貨幣の香港ドル(円)を造りはじめましたが、中国人に受け入れられることができず失敗、機械は日本に売却されることになります。
これが日本の近代貨幣を製作するきっかけにもなるのですが、日本の円銀も中国で受け入れられず試行錯誤した事は不思議な因縁です。
銀の価格が下落し金本位制を敷く列強国通貨に対し価値を落としつつ、1935年まで香港独自の本位貨幣を持たない銀本位制が続きました。尚その間にメキシコ$の不足を補うべく製造されたのが英国貿易銀で、海峡植民地は独自レートになる中、主に香港、中国用に製造されたとのことです。その後1939年に16$=1英ポンド(1$=1s3d)の固定相場となり、日本占領の混乱を挟み1967年まで続いています。
コインは英国王の肖像が描かれていましたが、返還前1993年から香港原産の国花バウヒニアを表面に変更されています。
※1文(ミル)青銅貨 1863年
※1仙(セント)青銅貨 1865年
※5仙(セント)銀貨 1905年H
※5仙(セント)ニッケル貨 1939年
※1毛(10セント)銀貨 1898年
※2毛(20セント)ニッケル黄銅貨 1994年 バウヒニアの花
※5毛(50セント)白銅貨 1951年
※1円(ドル)白銅貨 1960年
※2円(ドル)白銅貨 1985年
※5円(ドル)白銅貨 1976年
※イギリス貿易銀1円(ドル)銀貨 1899年Bボンベイ(ムンバイ)ミント