第67回富山県民謡民舞大会 | 線翔の民謡ブログ

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 ナマの富山県民謡が聴きたいな!と思い、久しぶりに富山県民謡民舞大会に出かけた。今年で67回目だそうだ。今回の会場は射水市小杉「アイザック小杉文化ホール ラポール」だ。

小杉町は今では射水市に合併となった。北陸道では小杉I.C.があるので、何となく場所は分かっていたが、訪ねるのは初めてだ。

 

昼食は近くのラーメン屋さんで「富山ブラック」をいただいて、会場へ向かう。

 

この大会へは3回目の訪問。前回は…7年くらい前に射水市新湊のホールで行われたときに来たかな。富山県内の民謡を伝えている皆さんの演舞が魅力だ。

 

まず最初は《新湊めでた》から。

射水市ならではの特別出演。祝儀唄であり、船方さんの祝宴で歌われていたそうで、曲は《まだら》が伝わったものだという解説だった。聴いた感じでは新潟の《天神ばやし》に似た感じの印象だ。

 

次は高岡市の《高岡な荷方節流し唄》。

富山には案外《荷方節》が残っていて、そんな伝播の1曲でしょう。

♪富山浄瑠璃 金沢謡 間の高岡 なき荷方

という歌詞がよく歌われるように、金沢城築城のおり、高岡に出し物がなかったため、泣きながら《荷方節》を歌ったものだという。今回は太鼓を打ちながらの《流し唄》が披露された。

 

続いて、五箇山民謡保存会による《といちんさ》《お小夜節》《五箇山追分》の3曲。五箇山は民謡の宝庫で、何曲もの唄が伝わるが、今回は3曲の披露。

特に《といちんさ》は、手を取って踊る珍しいもの。ぜひ、五箇山の本場で見てみたいな。

 

続いて、自分の大好きな1曲、滑川市の《新川古代神》。

今年の7月に、滑川市まで出かけて「ふるさと龍宮まつり」で保存会の《新川古代神》を見てきたばかりだが、今回はステージでの演舞を見た。やはりいいな~。ただステージでは、松明踊りができないみたいで、イントロは提灯踊りだったな。

 

続いて、黒部市の《新布施谷節》《正調布施谷節》。

北陸の民謡で、旋律の美しさ、ダイナミックさ、雄大さで、自分の中でトップかな?と思うのが《布施谷節》だ。難しい曲でなかなか歌える曲ではない。地元では正調以外に、昭和41年に《新布施谷節》が、三味線入りで歌い出された。

 

次は、魚津市の《せり込み蝶六》。

これもテンポよく楽しく歌われるお気に入りの1つ。《新川古代神》と同様に《羽根曽》や《広大寺》が取り込まれたもの。《新保広大寺》らしく手踊り以外にも菅笠、花笠、提灯などの踊りが組み合わされる魅せるステージだった。

 

続いて旧福野町の《夜高節・夜高踊り》《夜高太鼓・夜高太鼓》

「夜高祭り」で歌われる《夜高節》は単独でもよく歌われる1曲。行燈や太鼓で盛り上げるステージは楽しかった。祭りにも行ってみたいな。

 

次は五箇山麦屋節保存会による《麦屋節》《古代神》

これは本当にカッコいいね!きびきびとした踊りは気分がいい。踊り手が袖から登場し、きちんと礼をして踊りが始まる雰囲気が何とも端正だ。やはり合掌造りの前で見てみたい。

 

次は、小矢部市の《願念坊踊》。その中から《なげ》《奴さん》《お客さん》《六法》《あねさん》《吃又》《小大臣》

法衣をまとっての踊りが印象的で、「願念坊」「天下泰平」と書かれた二重の笠(ダシという)を持つ坊主が歩き回る中で、歌い踊られていた。放送では《綾子の願念坊踊り》といったネーミングで、《伊勢音頭》の節で歌われる「なげ節」がよく知られる。今回、小学生らしい子が歌っていた。いい声で、見事な演唱であった。こういう文化が確実に伝承されていくのだろうな。

 

次は黒部市の《しばんば》

これもお気に入りの1曲。名水の里、生地に伝わるこの唄は、何とも古めかしい感じ。音階が古そうな感じ。柴を刈る姥という意味で「柴姥」と書かれることもあるが、盆踊りでも踊られるようだ。

 

ここで民俗芸能。黒部市宇奈月の明日の稚児舞から《臨河》《千秋楽》

宇奈月の法福寺に伝わる稚児舞で4月に演じられてきた。自分も2度ほど出かけたかな。北陸や新潟に残る地舞楽の1つ。

 

続いて、立山町の《米道踊り》

立山町米道は、美しい山容の北アルプスを望む風光明媚な場所。《追分》《甚句》《おけま》《松坂》といった、北陸各地で伝播、流行した唄が取り込まれた。胡弓も入れられ、富山らしい民謡だ。

 

今度は《越中おわら節》

胡弓の音色に心惹かれる「おわら」は、月並みながら哀調を感じる。鳥追い笠が小粋な女性、男性の踊り手のコントラストが何ともいい。ステージもいいが、風の盆で聴きたい。

 

続いて《氷見網起し木遣り》

これは、かつて鎌田英一さんの演唱で聴いたことがあったが、地元でもしっかり伝承されている。《帆柱起し音頭》と同系の伊勢のお木曳き木遣りの影響がある1曲。踊りが楽しく、網を曳く動作がよく演出されている。

 

次は小矢部市の「越中源氏太鼓保存会」による《合戦》《八ツ囃子》《打込み源氏太鼓》

木曽義仲を迎え撃つ平家の軍勢、倶利伽羅で対戦時の源氏に参戦したときの歓喜乱舞した太鼓だそうな。

 

最後は民俗芸能、射水市下村加茂神社の稚児舞。《小奈曾利》《賀古の舞》《胡蝶の舞》

これは黒部市明日と同じく、稚児舞楽の流れを汲む舞。ここへもんん十年前に行ったな~。稚児を肩車して移動するのも特徴だが、今回ステージで見て、「んん?《おかざき》かな?」と思しき旋律が聞こえた気がする。また改めていきたいな。

 

午後1時開演、休憩も挟んで午後5時まで、実に5時間の演舞。ちっとも飽きさせないステージだった。富山民謡を十分に堪能した半日だった!