はまっちの燃える闘魂診断士 -3ページ目

【管理会計】固変分解って?

会社を儲かる体質にする中小ベンチャー企業の社外企画室長、中小企業診断士の濱口誠一(はまぐちせいいち)です。今回は決算書分解から離れて固変分解について。

固変分解の目的

管理会計の本には、必ず固変分解について書いてありますが、何のために行うのでしょうか?

思いっきり単純化すると、

売上が○○円上がったら営業利益(経常利益)はいくらになるのか?を知りたい

というのが主要な目的です。

では、この目的を達成するためには、費用をどう分けたらいいでしょうか?シンプルで2つに分ければ大丈夫です。

・売上が上がると増加する費用=変動費
・売上が上がっても変わらない費用=固定費

この考え方でPL(損益計算書)を作ると下記のようになります。

売上高:○○
 変動費:○○
限界利益:○○
 固定費:○○
営業利益:○○

売上変動による利益影響がわかりやすく、業績管理には適しています。

ちなみに、通常の決算書には、変動費、固定費という項目はありません。固変分解を行いたい場合は、何を変動費、何を固定費にするか、を決める必要があります。

売上が「上がったら」VS「上げるためには」

先月、一般社団法人パートナーCFO協会で株式会社プロフィナンスの木村さんより、「売り上げが上がった『アウトプットの結果』の費用と、売上を上げるための『インプットの要因』の費用は違う」というお話を受け、これは固変分解で重要なポイントと改めて気づきました。

このような分解になるのです。

・売上が上がった結果として増加する費用=変動費
・売上を上げるために「意図して」増加させる費用=準固定費
・売上が上がっても変わらない費用=固定費

*管理会計に詳しい人からすると、準固定費の定義が異なると思うかもしれませんが、売上との関連で単純化して表記しています。

事業計画のなどのシミュレーションを行う場合は、準固定費の扱いが重要になります。また、期間が長期になればなるほど、固定費が、準固定費化するのも長期の事業計画を作成する際の重要なポイントです(例:家賃は変わらないが、人数が急増していくと引っ越して広いオフィスに動くので家賃が増える)。

意思決定という視点

管理会計の書籍で、意思決定の観点から費用を分解している書籍を見た記憶はないですが、現場の管理会計屋として、従業員100名~2万名の企業で20年近く管理会計をやってきた感覚としては、

・変動費:意思決定の入る余地が少ない、自律神経のような費用
・固定費:意思決定で決める、非自律神経のような費用

と捉えるとわかりいいかな、と思います。こう考えると、固定費をどう使うか、固定費の効果をどう図るのか?というのは重要な経営問題です。

特に、売上を上げるために使う準固定費については、効果測定は必須です。広告宣伝費、人件費などは「使った後に効果を振り返る」ことが重要経営事項といえるでしょう。

 

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トクバイのビジネスモデルと財務ツリー

「トクバイ」(社名:ロコガイド)って?

トクバイはスマホでスーパーなどのチラシが見れるサービスです。特売情報などが写真付きでリアルタイムでスマホで見られるます。いちいちチラシを見たり持っていく必要がない利便性が高くユーザーに指示されています。

特売はもともとはクックパッドの一事業でした。クックパッドの大株主で社長であった穐田氏は、創業社長との経営方針の対立からスピンアウトし3年前に立ち上げた会社で、このコロナ禍で今年の6月に上場しました。

ビジネスモデルを見てみる

ビジネスモデルは以下の通りです。

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スマホで特売情報を消費者に無料で提供、売上を上げたい小売業から課金します。月々5万円とチラシよりも安く、かつ、確実に消費者に届くよさが受けて、5万店舗以上の小売店が契約しています。

また、特売情報は定期的にアップが必要ですが、店側でのアップのしやすさ、UIの使いやすさも売りの一つです。ビジネスモデルとしてはシステムさえされば参入ができそうに見えますが、このUIや販促ノウハウが差別化になっていそうです。

財務状況は?

財務状況を見てみましょう。

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20年3月期は増収増益となっています。粗利率が9割を超えているので売上増=利益増、となるモデルですね。販管費の倍は粗利が増えているので営業利益も倍増しています。

このモデルのカギは、今後の販管費の伸びになるといえるでしょう。売上増・売上維持のために、コンサルティング人材・販売人材を多く投入する必要がある(=競合が出てくる)場合は、利益率が悪化する可能性があります。その前に勝負付けを済ませるくらいに市場を抑えることができるか、がポイントになると思います。

 

 

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【財務分析】大戸屋の決算書

大戸屋の決算書

2020年3月期の決算書を見てみます。

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営業利益が赤字となっており、前年から▲10億の減益となっています。粗利率は前年並みであり、売上の減少、特に国内直営店▲8.3億の減収が主な要因です。また、利益が大幅減少の中、販管費が増加しており、これは株主等から批判される材料となりうるでしょう。

黒字化するには?

非常に単純なモデルですが、黒字化するには、
・粗利率+1.0%
・販管費を前年並みに戻す
で可能です。

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粗利率1%伸ばすのは非常に大変なことではありますが、「共同仕入等を行えば達成できる」というのが買収するコロワイドの主張でしょう。

TOBで注目すべきポイント

財務諸表の観点で行くと、
・粗利率は向上
・販管費は減少
・客数が増加するかどうか⇒売上高増減、がポイント、となります。

新しいブランドになり、今までと違うオペレーションになったときに、顧客が離反するかどうか?離反した場合にコスト削減で取り返すことができるか、がポイントです。

 

 

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