【管理会計】固変分解って? | はまっちの燃える闘魂診断士

【管理会計】固変分解って?

会社を儲かる体質にする中小ベンチャー企業の社外企画室長、中小企業診断士の濱口誠一(はまぐちせいいち)です。今回は決算書分解から離れて固変分解について。

固変分解の目的

管理会計の本には、必ず固変分解について書いてありますが、何のために行うのでしょうか?

思いっきり単純化すると、

売上が○○円上がったら営業利益(経常利益)はいくらになるのか?を知りたい

というのが主要な目的です。

では、この目的を達成するためには、費用をどう分けたらいいでしょうか?シンプルで2つに分ければ大丈夫です。

・売上が上がると増加する費用=変動費
・売上が上がっても変わらない費用=固定費

この考え方でPL(損益計算書)を作ると下記のようになります。

売上高:○○
 変動費:○○
限界利益:○○
 固定費:○○
営業利益:○○

売上変動による利益影響がわかりやすく、業績管理には適しています。

ちなみに、通常の決算書には、変動費、固定費という項目はありません。固変分解を行いたい場合は、何を変動費、何を固定費にするか、を決める必要があります。

売上が「上がったら」VS「上げるためには」

先月、一般社団法人パートナーCFO協会で株式会社プロフィナンスの木村さんより、「売り上げが上がった『アウトプットの結果』の費用と、売上を上げるための『インプットの要因』の費用は違う」というお話を受け、これは固変分解で重要なポイントと改めて気づきました。

このような分解になるのです。

・売上が上がった結果として増加する費用=変動費
・売上を上げるために「意図して」増加させる費用=準固定費
・売上が上がっても変わらない費用=固定費

*管理会計に詳しい人からすると、準固定費の定義が異なると思うかもしれませんが、売上との関連で単純化して表記しています。

事業計画のなどのシミュレーションを行う場合は、準固定費の扱いが重要になります。また、期間が長期になればなるほど、固定費が、準固定費化するのも長期の事業計画を作成する際の重要なポイントです(例:家賃は変わらないが、人数が急増していくと引っ越して広いオフィスに動くので家賃が増える)。

意思決定という視点

管理会計の書籍で、意思決定の観点から費用を分解している書籍を見た記憶はないですが、現場の管理会計屋として、従業員100名~2万名の企業で20年近く管理会計をやってきた感覚としては、

・変動費:意思決定の入る余地が少ない、自律神経のような費用
・固定費:意思決定で決める、非自律神経のような費用

と捉えるとわかりいいかな、と思います。こう考えると、固定費をどう使うか、固定費の効果をどう図るのか?というのは重要な経営問題です。

特に、売上を上げるために使う準固定費については、効果測定は必須です。広告宣伝費、人件費などは「使った後に効果を振り返る」ことが重要経営事項といえるでしょう。

 

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