「いいなあ、それ、楽しそう」
「んでさ、俺が見てるとさ」
川島は、すっかりおびえた表情をひっこめた。
よかった、こっちの道を通らせたかったのは、俺が見たきれいな女の人やお祭りの準備で盛り上がってるおっさんたちを見せたかったからなんだ。その人たちは、俺に一緒に遊んで行けよという風に手を振る。いつも出てくるわけではないし今日もいなかったが、その何人もの人たちが俺は好きだった。
「んじゃこっち、俺んち」
川島と話し合って、もっとどんなものが見えるのか聞いておこう。川島に、きれいなものを見せてやりたい。
「あ、ほんとに自転車とってくるんだ」
「うん、二人乗りはしねえけどな、この先に二人乗りで事故った姉妹の自縛霊が出るところがあるんだ」
あ、しまった。
「つっても二人でチャリ押して歩いてるんだけどな」
川島の反応を見る。
「そうか、水沢君がまじめなのっていろいろ見て教訓を得ているからなんだね」
よかった、まじめに受け取って、怖がってはいない。
「そう、そういう忠告のために出てきてくれる人って結構いるからさ」
「うん、そういうのが受け止められるのはいいね」
川島が、真剣に受け答えた。俺を振り仰いで、微笑んで言う。
「大事なことだね、私もそういうの、教えて」
その笑顔が、とても大事に思えた。でも恥ずかしかったし、ちょうど家の前についたことだしでごまかした。
「おう。じゃ、ちょい待ってチャリとって来る」