「あれ、一緒に帰るとこだった?」

加藤が聞いてくる。相変わらず鋭いね。

「ああ、図書館行くって言うからさ。じゃな」

そう答えると俺は加藤の横をすり抜けて川島の後を追う。

「おおーがんばれー」

加藤の声が追ってくる。何を?と聞こうと思ったが川島が妙にずんずん進んで行っちまうからとりあえず急いで追いかけた。

昇降口で追いつくと、靴を履く速度で追いついた。なんだ?恥ずかしかったのか?でも岸谷のときにはこんなんじゃなかったのにな。

同時に昇降口から出て、同時に校門から出る。ずっと黙っているから一緒に帰っているという気がしない。5分近く歩いて川島が普段曲がるだろう角まで来たころに、ようやく川島が口を開いた。

「あのさ、水沢君、大丈夫だよ、私、ひとりでもいけると思うし」

変なことを言い出す。

「え、何で。別に方向一緒だからいいじゃん」

これは遠まわしに断られているのか?わかんねえ。

 や、悪いし」

断られてる気がする。多分。何がいけないんだ。

「や、でも、せっかくだし。俺んちのそば通るんだし。それに、帰り!暗くなるかもしれないしさ、帰り送るよ」

ふと気づくと、なんとなく川島がすねている?ように見えた。戦略を変える。

「それに、一緒に行きたいしさ」

うおー!はずかしいいいいいい!

しかしここで目をそらしてはいかん、と部の友永先輩も言っていた!

実は、今日川島と一緒に帰ることを自主練のときに部活の先輩に相談していた。友永先輩ははっきり言ってもてる。しかも自然なもて方だ。友永先輩によると、女子には素直になれということだ。恐ろしい難易度だがとりあえず言ってみた。

「…うん、ならいいんだけど」

おお、態度がみるみる軟化する。対応、合っていたぞ。

「あ、そうだ、この辺はまだ新しいんだけどさ、もう一本向こうに行くと町並み古いよ。行く?」

当初の予定を外れた。川沿いはまた今度だ。

「うん」