この映画も先月の2022年1月に劇場鑑賞した作品の中では、お話しの大筋の流れについては、原作オリジナルのフランス映画『エール!』(2014年)を劇場で観て、ほぼ知ってはおりましたが、家族で唯一の健聴者である女子高生が自らの歌の才能を開花させようと邁進する青春模様と家族の支え合いと絆を描いた、ハリウッド・リメイク版の今作でも、ついつい感動してしまった『コーダ あいのうた』。
日本公開開始の1月21日(金)から5日目の1月25日(火)に、滋賀県大津市の大津アレックスシネマまで、年老いた父親と一緒に劇場鑑賞に出向いて来た作品。
今年度の5本目の劇場鑑賞作品。
(※今年度の大津アレックスシネマでの3本目の劇場鑑賞作品。)

「ヤングケアラーの女子高生が夢に向け邁進する青春譜♪(22.1/25・2D字幕版)」
ジャンル:人間ドラマ/青春ドラマ
原題:CODA
製作年/国:2021年/アメリカ=フランス=カナダ
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/coda/
上映時間:112分
上映区分:PG12
公開日:2022年1月21日(金)
監督・脚本:シアン・ヘダー
原作:フランス映画『エール!』(2015年日本公開)
キャスト(配役名):
エミリア・ジョーンズ(ルビー・ロッシ) / トロイ・コッツァー(フランク・ロッシ:父) / ダニエル・デュラント(レオ・ロッシ:兄) / マーリー・マトリン(ジャッキー・ロッシ:母) / フェルディア・ウォルシュ=ピーロ(マイルズ) /エウヘニオ・デルベス(ベルナド・ヴィラロボス先生) 他

【解説】
家族の中でただ1人の健聴者である少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマ。
2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイク。
海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。
家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが……。
テレビシリーズ「ロック&キー」などで注目の集まるエミリア・ジョーンズがルビー役を演じ、「愛は静けさの中に」のオスカー女優マーリー・マトリンら、実際に聴覚障害を持つ俳優たちがルビーの家族を演じる。
監督は「タルーラ 彼女たちの事情」のシアン・ヘダー。
タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults= “耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のこと。
2022年・第94回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞の3部門にノミネート。
ルビーの父親フランク役を務めたトロイ・コッツァーは、男性のろう者の俳優で初めてオスカー候補になった。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)

先ず、タイトルの「コーダ」をアルファベット表記すると「CODA」。
これには二つの意味があります。
一つは、音楽記号で楽曲や楽章の終わり、曲中の大段落の締めを表す記号。また、そこから転じて、新たなる章の始まりの意味合いも持っています。
もう一つは、「Children of Deaf Adults= “耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」という意味を指す英語表記の頭文字を合わせた略語。
この作品は、この後者の「CODA=コーダ」である女子高生が、音楽の才能を開花させ夢に向けて飛躍し、前者の音楽記号【CODA】が意味するように、一段落を付けて、新たなる章へ飛躍するべく邁進するといった、みずみずしい青春譜です。
でも、耳の聞こえない両親に育てられたことが、物語に何の影響があるのかと思われるかも知れないですが、それが大アリなのでした。

片田舎の港町に住む女子高生ルビー・ロッシ(エミリア・ジョーンズ)は、4人家族の中で唯一耳が聞こえる健聴者であり、彼女は家業の漁業を営む父フランク・ロッシ(トロイ・コッツァー)、兄レオ・ロッシ(ダニエル・デュラント)を手伝ってきたのでした。

新学期、ルビーは憧れのクラスメートのマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)と同じ合唱クラブに入ることに決めるのでした。
そこで、顧問の教師ベルナド・ヴィラロボス先生が、彼女の類い稀な歌の才能に気付き、地元を離れ、名門バークリー音楽大学への進学をすることを勧めるのでした。

ところが、父フランクも母ジャッキー・ロッシ(マーリー・マトリン)も少々「がさつ」な性格で、まだまだ子供と思っているルビーの才能なんかは信じられないでいたのでした。


そして何よりも、ロッシ家の家族にとっては、彼女は他の健聴者と繋がりを持つための重要な「通訳係」でもあり、所謂、ヤングケアラー問題を抱えているのでした。

例えば、下品なくらいに、夜の営みにもお盛んな両親のために、クリニックで性病に悩む両親の通訳係までしなくてはならないくらいなのでした(苦笑)
だからルビー自身も、大学受験への決断にイマイチ踏ん切りが付かずにいたのでした。

彼女の葛藤と、はち切れんばかりの夢への思いが交錯しながら活写されます。
その構図自体は、青春映画としては、さほど目新しくもないのですが、ルビー役演じるエミリア・ジョーンズの幼さを含んだ表情と伸びやかな表現力が、作品全体にみずみずしい力を与え、惹き付けて止まないのでした。
それだけ主役の魅力は、かくも重要だと思い知らせてくれるのでした。

そんな中、一体、耳の聞こえない家族にどうやって、彼女の歌の素晴らしさを伝えるのだろう、と思って観ていました。


そして、合唱クラブのコンサートで披露した歌が、出席した家族に伝わり、その才能を確信させるシーンの演出手法には胸にグッと刺さってきました。

彼らには、そうやって歌が届いていたんだなと納得させられるものがありました。

本作品は前述した通り、フランス映画『エール!』のハリウッドリメイク版ではあります。
が、しかし、シアン・ヘダー監督は、「CODA」の境遇にある子供たちに取材を重ね、今作の家族役の3人には、オリジナル版の『エール!』の際とは異なり、実際に耳に障碍がある俳優を起用している点が大きく違いますし、その点が、この作品を本物たらしめているのではないかとも思いました。

本作に素直に感動出来るのは、おそらく、リスペクトに満ちあふれているからでしょう。
音楽への敬意、障碍がある人への敬意、若い感性への、そして家族の絆へのリスペクト。それこそが、本作をオリジナル版の『エール!』をも凌ぐほど忘れ難い作品に仕上げているとも言えるではないでしょうか。

※2014年製作(2015年日本公開)のオリジナル版フランス映画『エール!』

私的な評価と致しましては、
オリジナル版のフランス映画『エール!』をも凌ぐ出来映えの見事なリメイク版の出来映えで、お話しの大筋の流れは知っていながらも、今作でもついつい感動してしまいました。
使用楽曲が聞き慣れた英語の曲が多かったのも、フランス映画『エール!』よりも、より身近に感じられたのかも知れないですね。

ただ、オリジナル版の『エール!』にも言える事ですが、家族の「通訳係」としての位置付けの、所謂、ルビーが抱えていたヤングケアラー問題や家族の借金問題などの諸問題の根本的な解決が出来ていない点が未回収のまま放置されてしまっている点で、ラストを迎えても万々歳とまで喜べない部分がモヤッとしてしまったのも確かなので、映画が描きたかった本筋とは少し離れはしますが、出来れば、それらの点も、その後一体どうしたのかも描いて欲しかったです。
▲「まことちゃん」の「ぐわしっ!」ではなくて英語手話で「愛してる!」。
従いまして、それらの未回収のままの問題点などを勘案し差し引きまして、五つ星評価的には、ほぼ満点の★★★★☆(90点)の四つ星半評価の高評価も相応しい作品かと思いました。


エミリア・ジョーンズなどの歌声や劇中の使用楽曲があまりにもセンスが良かったので、日本のみでCD盤化されているらしいサントラ盤CDまで購入しちゃいました♪
○アカデミー賞最有力!サンダンス映画祭最多4冠!「コーダ あいのうた」本予告
○CODA — “Both Sides Now” Audio I Apple TV+