私の父親がまだ脳梗塞になって入院してしまう以前に、時代劇好きな父親のたっての希望で、6月19日(金)に、映画『黒牢城』を観に行った訳ですが、それ以前にも、ちょうど京都府立医科大学附属病院で、私の両親の二人共が、ガン治療を行なって頂いている事もあり、本作品の企画立案の最中に他界した、京都の医大生の青春群像劇の映画『ヒポクラテスたち』(1980年)の大森一樹監督の遺作でもあり、また、その故・大森一樹監督の母校・京都府立医科大学創立150周年記念事業の一環として、本作品が創立150周年記念映画として制作されたとのことでしたので、それらの縁も感じ、幕末期を舞台にした医療時代劇映画でもあったので、5月27日(水)の朝一番の上映回にて、時代劇好きな年老いた父親と一緒に、滋賀県草津市にあるイオンシネマ草津までクルマで観に行って来ました。
つきましては、未だブログ記事化出来ていない劇場鑑賞済みの作品も多々残っている中、また、今では、全国的に、本作品の上映館も数少なくなってもおり、今更乍らにはなりますが、先ずは、この『幕末ヒポクラテスたち』の感想について、拙ブログに記録し、ご紹介させていただきたいと思います。
今年度の13本目の劇場鑑賞作品。
(今年度のイオンシネマ草津での8本目の劇場鑑賞作品。)
「人生は短し、術の道は長し(26.5/27)」
ジャンル:時代劇/人間ドラマ
製作年/国:2026年/日本
製作:京都府立医科大学創立150周年記念事業実行委員会 / ファーストウッド・エンタテインメント / レプロエンタテインメント(『幕末ヒポクラテスたち』製作委員会)
制作プロダクション:ファーストウッド・エンタテインメント / レプロエンタテインメント / ステューディオスリー
配給:ギャガ / (配給協力:大手広告)
公式サイト:https://gaga.ne.jp/bakuhippo_movie/
上映時間:103分
上映区分:一般(G)
劇場公開日:2026年5月8日(金)
【スタッフ】
製作総指揮:大森一樹 / 浮村理
企画:夜久均
エグゼクティブプロデューサー:大森美香 / 本間憲
プロデューサー:森重晃 / 菊地陽介
原案:映画「ふんどし医者」(1960年・稲垣浩監督・東宝)
ラインプロデューサー:大日方教史
撮影:清久素延
照明:三善章誉
録音:深田晃
美術:吉澤祥子
装飾:石村嘉宏
衣装:進藤盛勇
床山:大村弘二
結髪:北川真樹子
編集:矢船陽介
音楽:coba
ナレーション:室井滋
音響効果:廣中桃李
VFXスーパーバイザー:道木伸隆
タイトルデザイン:赤松陽構造
助監督:佐和田惠 / 市岡歩
監督補:浅利宏
スクリプター:杉本友美
制作担当:中山泰彰 / 土谷美信
協力プロデューサー:小柳憲子
協力:東映京都撮影所 / 京都府立医科大学学友会 その他
脚本:西岡琢也
監督:緒方明
【キャスト(配役名)】
佐々木蔵之介(大倉太吉・蘭方医) / 内藤剛志(荒川玄斎・漢方医) / 藤原季節(相良新左・呉服屋の放蕩息子) / 藤野涼子(相良峰・呉服屋の娘) / 真木よう子(大倉フミ・太吉の妻) / 柄本明(弾蔵・謎の侍) / 川島鈴遙(りん・太吉の長女) / 堀家一希(放念・寺の錦坊) / 諏訪太朗(弥助・棺桶職人) / 阿南健治(与市・村人) / 栗原英雄(相良屋店主・宗兵衛) / 吉岡睦雄(飯屋の主人・文次) / 斉藤陽一郎(新選組隊士・林原) その他
(以上、映画.comおよび劇場パンフレットより引用抜粋し一部加筆。)
【解説・あらすじ】
旧来の漢方医と西洋医学を学んだ蘭方医が混在した幕末を舞台に、村医者である蘭方医・大倉太吉の奮闘を、佐々木蔵之介の主演で描いた時代劇。
幕末、京都の郊外に位置する村。大倉太吉は、貧富や身分を問わず市井の人々を救う、寛容で好奇心旺盛な蘭方医。漢方医・玄斎とは、日々激しい論争を繰り広げる犬猿の仲だ。ある日、気性の激しい青年・新左を太吉が手術で救ったことを契機に、太吉と新左の人生が大きく変化していく。
京都の医大生たちを描いた群像劇「ヒポクラテスたち」で知られる大森一樹監督が、人情味あふれる医者とその妻を描いた1960年の映画「ふんどし医者」をベースに、幕末の京都を舞台とした、日本の現代医学の黎明期を描く作品として本作を企画。
しかしながら、撮影準備中の2022年に大森監督が逝去したことで、企画は幻となりかけたが、かつて大森監督の助監督を務めていた「独立少年合唱団」の緒方明監督が遺志を継ぎ、完成へとこぎつけた。
太吉役を佐々木蔵之介が演じる。そのほか、「ヒポクラテスたち」が映画デビュー作の内藤剛志が太吉のライバルである玄斎役を務め、「ヒポクラテスたち」で研修医を演じた柄本明が謎の侍・弾蔵役で出演。
また、ナレーションを大森監督作「風の歌を聴け」で映画デビューを果たした室井滋、脚本を70年代から大森監督をよく知る西岡琢也が担当するなど、大森一樹監督ゆかりのキャスト、スタッフ陣が多数参加している。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)
概要
時は幕末。西洋医学である蘭方と、古来から主流だった漢方の医術が覇権を争うように並立していた時代。
京の都の外れの洛南のある村で、蘭方医として腕を磨いてきた大倉太吉(佐々木蔵之介さん)は、一方、どんな病気に対しても万能薬として、”はい。葛根湯!”と言って、処方することから、村人からは、ヤブにもならない程度の低いタケノコ医者とも呼ばれている漢方医・荒川玄斎(内藤剛志さん)の尻拭いをしながら、事ある毎に、対立しながらも、村人たちの命を預かっていた。
そんな或る日、太吉のもとに、強引にも呉服屋の娘の峰(藤野涼子さん)の往診依頼に来た、刺青を入れ、賭場に入り浸る呉服屋の放蕩息子の新左(藤原季節さん)と出会うのでした。
その後、ひょんな事から彼自身の刃傷の怪我を、蘭方の医術で治療してやった事から、新左は、本気で蘭学の医師になることを志し、太吉に弟子入りし、更には、当時の最新の医術を学ぶために長崎の出島へと旅立っていく。
それから15年後、太吉の住む村でも、現在でいうところの腸チフスの感染症患者が出始める。
折良く長崎の医術の修行から戻って来た新左とともに、太吉はこの感染症と向き合っていくことになるのでした。
医療の日進月歩と先人たちの功績、そして、人間の本能的な情と理性の狭間を、幕末期という激動の時代を重ね合わせて描いて行く。
といったイントロダクションの医療時代劇映画でした。
漢方医と蘭方医とのありきたりな対立と和解の構図の映画ではない。
漢方医と蘭方医が正面からぶつかり合い、大きな危機をきっかけに互いが協力し合うといった、よくある対立と和解の構図の映画だと勝手に想像していたのですが、それは本作品の主題ではありませんでした。
対立場面は序盤のお互いによる悪口程度に留まり、村人たちは既に漢方医をヤブにも至らない程度のタケノコ医者と揶揄し割り切って付き合っているあたり、そのしたたかさにこそ、当時の庶民の現実感が宿ってもいて、妙に納得させられ、笑わせてもくれます。
太吉を支えているのは”万事大丈夫!”が口癖の妻・フミ(真木よう子さん)。庭に野菜を植えて家計の足しにして、時には太吉を叱咤激励する。
真木よう子さんは今作に向けての役作りの為なのか、あまりにも恰幅が良過ぎて、当初は誰だか分かりませんでした(汗)💦
新選組の来訪や村人たちの来襲などにはやや唐突感が有り過ぎはしましたが・・・。
先ず、中盤での新左をめぐる展開は、まさかと目を疑うような展開でしたが、それが後半の感染症をめぐる物語へと無理なく橋渡しされていく点は良かったです。
感染症が拡がる中で実施される”隔離”という処置は、現代医学の観点からすれば当然の事ですが、新左からの提案に当初は反発しながらも、最終的にはそれを受け入れる太吉の葛藤がよく伝わってきます。
しかしながら、大切な家族を引き離されることへの恐怖感や悲しみは、理屈で割り切れるものではありません。太吉宅に押し入って家族を連れ帰ろうとする村人たちの姿は、自分勝手にも見えますが、その気持ちは痛いほど理解できます。
ただ、その描写に関してですが、新選組の隊士達の来訪などと同様に、あまりにも、村人たちが感染症患者である家族を取り戻しにくる来襲が、あたかも一揆のようで、やや唐突感が有り過ぎはしましたね。
いろんな事件・エピソードなどが箇条書きの如く断片的にツギハギだらけのようにも感じる、やや雑な展開にも映る編集だったので、その点がやや惜しかったですね。
ややグロテスクな描写もあるので要注意!
謎の男・弾蔵(柄本明さん)が処刑された死人から五臓六腑を解体して医術を志す者に臓器を提示するシーンは、ややグロテスクな描写だったので要注意!
笑うシーンだったと理解される向きもあったのかも知れないですが、私は笑うに笑えなかったです(汗)💦
漢方から蘭方の医術へ、更には世代交代という脚本の妙が輝る演出!
本作品が一体どこまで史実に即しているのか分かりませんが、長い医療の歴史の中で、無数の医者たちが少しずつ知識の研鑽を積み重ね、技術を磨いてきたことは疑いようはありません。
そして、それは、医術に限らず、あらゆる分野に共通することではないか。
アプローチは違っても同じ目標を持つ者たちが刺激し合い、切磋琢磨する姿は、静謐ながらも確かな美しさを持っていました。
劇中で、太吉が新左の新しい世代の医術に自らの限界を突きつけられて逆ギレする場面は、冒頭の漢方医と蘭方医との立場が、次には世代交代という形で、見事に逆転した構図にもなっていて、脚本の妙が輝る演出でした。
医師には、助ける命に、敵味方などない!
そしてまた、鳥羽・伏見の戦いだと思われるのですが、新選組隊士・林原(斉藤陽一郎さん)が怪我をした仲間たちと太吉の診療所に辿り着き、”他には?”と聞くと”橋の下の所に。両軍居る、助けてやってくれ!”との言葉を聴いた太吉が”成長したな!”と言い返すシーン。
これは、まさに【助ける命に、敵味方などないという医師の使命】を表現していたのでしょうね。
このシーンを盛り込みたいが為に、唐突に新選組を中盤に登場させたのかも知れないですね。
京都府立医科大学創立150周年記念映画であることの痛し痒し。
なかなかの力作かもと感心していた矢先に、いきなり、現代の京都府立医科大学附属病院などを撮すなど、自動車免許センターの講習時の教材映画のような趣の紹介映像が流れていったのには、あまりにもそれまでの作品の雰囲気と乖離し過ぎていて蛇足にも感じざるを得なかったのですが、あくまでも本作品は、京都府立医科大学創立150周年記念事業の一環としての作品という性格上、致し方ないのかも知れないですが、あまりにも極端なくらいに、京都府立医科大学のPR映画的な編集の仕方であり過ぎて残念でなりませんでした。
この点は、大学のPR映画に成り下がらないように、あくまでも、さり気なくしていれば良かったのにと、かなり悔やまれましたね。
私的評価:★★★☆(70点)。
いろんな事件・エピソードなどが箇条書きの如く断片的にツギハギだらけのようにも感じる、やや雑な展開にも映る編集だったので、その点がやや惜しかったですね。
少々地味な作品ながらも、同じ医療時代劇映画『雪の花ーともに在りてー』(2025年)よりかは面白味もあり良く出来た力作とも感じていたのに、最後の紹介される、あたかも京都府立医科大学のPR映画的なエンディングにはズッコケてしまいましたね。
ですので、それらのマイナス要因を差し引かせて頂いて、五ツ星評価的には、厳しい評価になりますが、★★★☆(70点)の評価くらいが相応しい作品かと思いました。
〇映画『幕末ヒポクラテスたち』本予告〈5月8日全国ロードショー〉
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今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。