今月の7月に入ってからは、7月2日(木)に、京都シネマに観に行った映画『君は映画』以外には、父親の脳梗塞による入退院などでバタバタしていて映画の劇場鑑賞にもなかなか行く余裕もなかったのですが、鑑賞後、ちょっと是枝裕和監督が訴えたかった意味合いがよく分からずに、モヤモヤしていて、未だに感想をブログ記事化出来ていなかった、5月29日(金)から公開されていた是枝裕和監督の新作映画『箱の中の羊』について、今更ながらになりますが、私的な感想を、拙ブログにも、備忘録として記録に残しておこうかと思います。
この『箱の中の羊』については、滋賀県草津市のイオンシネマ草津まで、6月10日(水)の朝一番の上映回を観に行って来ました。
今年度の14本目の劇場鑑賞作品。
(今年度のイオンシネマ草津での9本目の劇場鑑賞作品。)
「AIが自我に覚醒する着地点が物語の焦点からズレた点が惜しまれた佳作(26.6/10)」
ジャンル:SF/人間ドラマ
製作年/国:2026年/日本
製作:フジテレビジョン / ギャガ / 東宝 / AOI Pro.
制作プロダクション:AOI Pro.
配給:東宝 / ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/hakononakanohitsuji/
上映時間:125分
上映区分:一般(G)
劇場公開日:2026年5月29日(金)
【スタッフ】
音楽:坂東祐大
製作:若松央樹 / 依田巽 / 市川南 / 田中優策
プロデューサー:松崎薫 / 伴瀬萌
共同プロデューサー:小竹里美
撮影:近藤龍人
照明:尾下栄治
録音:冨田和彦
美術:岡田拓也
装飾:浜崎はるみ
衣装デザイン:伊藤佐智子
ヘアメイク:酒井夢月
ヒューマノイドデザイン統括:田島光二
特殊メイク・造形:梅沢壮一
助監督:久保朝洋
VFX Supervisor:白石哲也
スクリプター:佐山優佳
制作担当:後藤一郎
ラインプロデューサー:松下博昭
アソシエイトプロデューサー:田口聖 / 玉井宏昌
監督・原案・脚本・編集:是枝裕和
【キャスト(配役名)】
綾瀬はるか(甲本音々・こうもとおとね:建築士) / 千鳥・大悟(甲本健介・こうもとけんすけ:音々の夫、工務店タマケンの二代目社長) / 桒木里夢(甲本翔・こうもとかける:音々と健介の息子、7歳の時に踏切事故で亡くなった / ヒューマノイド) / 清野菜名(小滝亜利寿・こたきありす:音々の実妹、専業主婦で2児の母) / 寛一郎(日高玄・ひだかげん:工務店タマケンの従業員で健介の部下) / 角田晃広・野呂佳代(羽野潤一・羽野佳澄:音々に注文住宅の新居の建設を依頼する夫婦) / 星野真里(RE birth Ltd.で出会う少年のヒューマノイドの樹の母) / 中島歩(小山内紡:RE birth Ltd.のエンジニア) / 柊木陽太(今野詩季・こんのたくと:ヒューマノイドのリーダー) / 余貴美子(西村信代:音々の実母、広島県在住で、5年前に造園業の夫を亡くしている) / 田中泯(山縣昭男:工務店タマケンの熟練工) その他
(以上、映画.comおよび劇場パンフレットより引用抜粋し、一部加筆。)
【解説・あらすじ】
「怪物」「万引き家族」の是枝裕和監督が、綾瀬はるかとお笑いコンビ「千鳥」の大悟を主演に迎え、亡き息子の姿をしたヒューマノイドを迎え入れた夫婦の物語をオリジナル脚本で描いた長編映画。
少し先の未来。建築家の甲本音々とその夫で工務店の2代目社長を務める健介は、2年前に亡くした息子・翔の姿をしたヒューマノイドを迎え入れることになる。
ヒューマノイドが到着した日、翔と同じ笑顔と声をした彼を音々が喜んで迎える一方で、健介は戸惑いを隠しきれず硬い表情を浮かべる。
家族の時間は少しずつ動き出すが、やがて予期せぬ事態が起こり、夫婦が息子の死に対してそれぞれ抱えていた想いがあらわになっていく。
そんな中、ヒューマノイドの翔はひそかにヒューマノイドの仲間たちとつながりはじめる。
夫婦の亡き息子・翔とその姿をしたヒューマノイド役には、オーディションで200人以上の中から選ばれた桒木里夢(くわき・りむ)を抜てき。
音々の妹・小滝亜利寿役で清野菜名、健介が経営する工務店タマケンの従業員・日高玄役で寛一郎、音々の母・西村信代役で余貴美子、タマケンの熟練工・山縣昭男役で田中泯がそれぞれ共演。
タイトルの「箱の中の羊」は、サン=テグジュペリの名作小説「星の王子さま」の1節に由来する。
2026年・第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)
死んだ息子にそっくりなヒューマノイドを養子に出来るとしたら?
先月に閉幕したカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品もされた是枝裕和監督の最新作である本作は、普遍的な死生観への問いかけが込められた作品でした。
これまで「喪失」と「再生」をキーワードに「家族の物語」を描いてきた今や日本映画界の巨匠とも呼べる、是枝裕和監督ですが、今回の主人公は、近未来を舞台に、大事な一人息子が亡くなり、心にぽっかりと穴が開いた夫婦であり、そこに、生成AIとヒューマノイドといったSF的な題材を盛り込んだものでした。
建築士の音々(綾瀬はるかさん)と北鎌倉で工務店を営む2代目社長の健介(「千鳥」大悟さん)の甲本夫婦の一人息子・翔(カケル)は7歳の時に、踏切事故で亡くなった。
その後も、2人は一見、明るく日々を過ごしていましたが、喪失感は拭いきれず、2年後、RE birth Ltd.という企業が開発した「ヒューマノイド」の翔(桒木里夢:くわき・りむ君)を受け入れる。
本当に亡くなった翔にそっくりで、最新の生成AI(人工知能)でどんどん学習していくという。
音々は「翔が帰ってきた!」と喜んで迎え入れるのでしたが、健介は「機械に過ぎない」と、どうしても納得ができない。
設定自体はSF的ではありはしますが、そこはあまり重要ではなくて、「家族」に欠けていたパズルのピースが再び埋まった時、いったい何が起きるのか。物語の重心はそこにあります。
生前の息子の記憶を少しずつ学び、本物の息子のように振る舞う翔。
すると最初は受け入れなかった健介は徐々にヒューマノイドの翔に亡き息子を投影し見出していくのでした。
その一方で、音々は、翔と本当の息子との間との妙なズレが気になって仕方なくなる。
彼が「息子」であるかどうかは、2人の心境次第で大きく揺れ動くのでした・・・。
といったイントロダクションの映画でした。
死者のAI復元は人間のエゴなのか?
是枝監督自身は、『生き残った者が自分の生活のために死者の存在を勝手に利用しても良いのか』という倫理的な問いを投げかけたかったらしく、是枝監督は、中国の或る、死後AI復元事業を行なう新興企業のビジネスの存在を知った際に、たとえ科学技術が遺族を慰めることは出来ても、逆に「喪に服す」過程を妨げてしまう可能性があるのではないかという問題意識からこの映画を構想したという。
また監督は続けて「私自身も突然この世を去った父に言えなかった言葉があった」と明かし、なので「遺族の気持ちは非常によく理解出来るのですが、これは結局は生きている者のエゴから生まれたものではないかという考えが浮かんだ」そうです。
映画では、専門家らが生成AIの実用化が本格化するとみる今からおよそ10年後を想定し背景にしています。
ただし、本作はド派手なSF的なスペクタクルに終始するのではなく、あくまでも、ヒューマノイド(高性能ロボット)を必要とせずにはいられない人間の繊細な心理に深く斬り込んでいるのでした。
作品の中で、ヒューマノイドの翔は虫を殺したり、母親の音々に冷酷な質問を投げかけたりします。
是枝監督はこれらについても「子どもならではの残酷さとヒューマノイドといった異質感の間で微妙な不快感を感じさせるよう演出を施した」そうです。
人気の俳優陣の演技が素晴らしい!
主要キャストは、主演の綾瀬はるかさんは、流石にアテ書きしていただけあって母親・音々役も上手く馴染んでいましたし、父親・健介役の「俳優・大悟」の存在感も一見の価値がある、初主演映画とは思えないほどのなかなかの好演でした。
また、ヒューマノイド役という独特で非常に難しい役どころを演じた新人子役の桒木里夢(くわき・りむ)君の演技もなかなかの演技で感心しました。
脇を固める俳優陣も皆さん人気俳優さんばかりで、たとえば、音々の実妹・小滝亜利寿役で清野菜名さん、健介が経営する工務店タマケンの従業員・日高玄役で寛一郎さん、音々の実母・西村信代役で余貴美子さん、工務店タマケンの熟練工・山縣昭男役で田中泯さんなどが目立っており、本作はとりわけ人気者揃いだけあって、これまでの是枝作品の中でも群を抜いて親しみやすかったのですね。
その中でも、私個人的には、建築士の音々に注文住宅の新居を依頼している羽野夫婦役の角田晃広さん(東京03)と野呂佳代さんがチョイ役なのに良い味を出した演技をされていて良かったです。
映画はヒューマノイドの息子・翔に対する甲本夫婦の複雑な感情と心癒される過程を描く一方で、他のヒューマノイドたちと交流しながら自分自身の生活。即ち「自立」を夢見始める翔たちの姿も捉えて、違和感を醸し出していました。
その点で、生成AI・ヒューマノイドが自我に覚醒し、「新しい共同体」を構成して「自立」をしようとする着地点が物語の焦点からややズレた点が惜しまれましたね。
私的には、この着地点などの描写でややモヤモヤとしてしまい、理解に苦しんでしまいました。そういう意味合いでも、深く考えることを映画を観る者に強く施している作品とも思えて、終盤は取っ付きにくくも感じてしまいました。
是枝裕和監督の話しでは、本作も、以前の『三度目の殺人』(2017年)の時の様に、映画を製作し始めてから、着地点のあり方などを映画製作をしながら煮詰めながら考えていくという手法を採ったそうなので、先に、ある程度の最終稿に近い脚本ありきでもなかったようなので、この様な結果になったみたいですね。
ただ、たとえば、あの北野武監督も、撮りながらその日の台詞や脚本・演出を考えて撮って行く撮影手法を採られるらしいので、演繹法、帰納法のどちらが、より正しい映画製作の手法とも言えませんが、本作では、「生死とAI」といった極端なテーマを扱っていることからも、少なくとも原案時点で、ある程度の結論は煮詰めておく必要があったのかも知れないですね。
私的評価:★★★★(80点)。
本作は、数ある是枝裕和監督作品の中でも、特に、主要キャストがみな人気俳優さんばかりでしたので、群を抜いて親しみやすかった事もあり、また「死者のAI復元は人間のエゴなのか?」という主題についても、綾瀬はるかさんをアテ書きにして、夫・健介役に大悟さん(千鳥)とでダブル主演をさせて、近未来を舞台に、死んだ息子のデータを基に作られたヒューマノイドを家族として受け入れた夫婦の悲哀の物語を描いた作品としても良く出来ていました。
ただ、先述しました通り、生成AIやヒューマノイドが自我に覚醒する着地点については物語の焦点からズレた点が惜しまれたと言いますか、私には意味合いがよく分かり辛かったので、その点を差し引きまして、私的な評価と致しましては、五ツ星評価的には、★★★★(80点)止まりの評価が相応しいかと思いました次第です。
私個人的には、かねてから綾瀬はるかさんも千鳥の大悟さんも大好きでしたので、尻つぼみ的な微妙な着地点だけが非常に勿体なく思われて残念でした(汗)💦
〇『箱の中の羊』予告編90秒【5/29(金)全国ロードショー!】
今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。


































































