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HALUの映画鑑賞ライフのBlog

~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

2/16(土)に、京都市内から滋賀県草津市のイオンシネマ草津に出向き、父親と一緒に、本作品を2D字幕版で鑑賞。


 

「月面到達までの苦難の疑似体験型映画(19.2/16・2D字幕)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:FIRST MAN

製作年/国:2018年/アメリカ

配給:東宝東和

公式サイト:https://firstman.jp/

上映時間:141分

映倫区分:一般(G)

公開日:2019年2月8日(金)

監督:デイミアン・チャゼル

キャスト:

ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー、コリー・ストール、キアラン・ハインズ、パトリック・フュジット、ルーカス・ハース 他

 

 

【解説】

「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督&主演ライアン・ゴズリングのコンビが再びタッグを組み、人類で初めて月面に足跡を残した宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いたドラマ。

 

ジェームズ・R・ハンセンが記したアームストロングの伝記「ファーストマン」を原作に、ゴズリングが扮するアームストロングの視点を通して、人類初の月面着陸という難業に取り組む乗組員やNASA職員たちの奮闘、そして人命を犠牲にしてまで行う月面着陸計画の意義に葛藤しながらも、不退転の決意でプロジェクトに挑むアームストロング自身の姿が描かれる。

 

アームストロングの妻ジャネット役に、「蜘蛛の巣を払う女」やテレビシリーズ「ザ・クラウン」で活躍するクレア・フォイ。そのほかの共演にジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー。

 

脚本は「スポットライト 世紀のスクープ」「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」のジョシュ・シンガー。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」との有名な言葉を残した、1969年7月。人類で初めて月に降り立った、アポロ11号の宇宙飛行士ニール・アームストロング船長を、<一人の人間として>の彼の半生を描き映画化した作品でした。

 

 

 

 

お話しの流れ的には、

 

幼い娘を亡くした優秀な空軍のテストパイロットであった、ニール・アームストロングは、NASAの宇宙飛行士の公募に応募し、見事選抜されるのでした。彼は家族と一緒にヒューストンに移り住み、有人宇宙センターで訓練を受けるのでした。指揮官のディーク・スレイトン(カイル・チャンドラー)は、当時の宇宙開発競争において圧倒的優位にあったソ連も成し得ていない月面への着陸を目指すと宣言するのでした。

 

 

早速にも、ジェミニ計画に参加することになったニール・アームストロングは、厳しい訓練を経て、ジェミニ8号にて、無人機であるアジェナ(ロケット)標的機とのドッキングを無事に果たしたのでしたが、アジェナ共々回転が止まらなくなり、一旦ドッキングしたアジェナを切り離すことに・・・。

 

といったイントロダクションの映画でした。

 



ただ、これまでの『セッション』や『ラ・ラ・ランド』といったデイミアン・チャゼル監督の過去の2作品から、エンタメ性や映画的なカタルシスを求めて鑑賞に出向くと、淡々としたドキュメンタリータッチなお話しの起伏の少なさから、やや退屈な作品に感じられたり、眠たくなってしまった観客もお有りの様で、かなり賛否が大きく分かれているみたいですね。

 

 

ですが、この作品は、エンタメ性よりも、宇宙飛行士自身を主観に捉えた独特なカメラワークによって、死と隣り合わせの恐怖感やコックピット内での圧迫感まで感じ得るかの如く、すごくリアルに再現されていて、彼と共に月面着陸までの過程を追体験するかのような、終始抑えめながらも緊張感が続いていくといった、まさに疑似体験型映画にもなっていました。

 



疑似体験型映画と言えば、最近では、あのクリストファー・ノーラン監督の戦争映画『ダンケルク』(2017年)を想起しますが、あちらの方はハンス・ジマー作曲による激しい劇伴と効果音を響き渡せることで、死と隣り合わせの恐怖感を継続的に演出していましたが、こちらの『ファースト・マン』の方は、全くその真逆で、申し訳なさそうなくらいにジャスティン・ハーウィッツ作曲の旋律が静かに流れていき、これはこれで緊張の糸が張り詰めるような静寂感により、徐々に真綿で首を絞めるかの如く、死に対する恐怖感・緊張感を見事に演出していました。

 



ニール・アームストロング船長による月面への第一歩も、例えば、もしも、あのロン・ハワード監督が撮っていたとするならば、もっと映画的なカタルシスを得られるような劇的なエンタメ性に富んだ描き方を造作もなくしたのかも知れないでしょうけれど(苦笑)。

 



今回のデイミアン・チャゼル監督の場合には、淡々とした描き方ながらも、ニール・アームストロングが参加した、このジェミニ計画からアポロ計画の幾多の試練の間に、亡くなっていった同僚たち、また幼くして亡くなったニール・アームストロングの娘の命も悼みながら、この<生命の宿る星・地球>と対極にある、既に死んでいる惑星でもある月を<死後の世界>と、ある種の隠喩を持たせていると、チャゼル監督もインタビューでも答えられてる様ですね。

 

 

その暗喩に基づくと致しますと、今から50年前。単なる半世紀前の彼らの偉業を追体験する作品にとどまらず、人生を変えてしまうほどの喪失感や数え切れないほどの悲しみを抱えた男が、<月=死後の世界>に行ってまで愛する我が子、そして共に歩んだ仲間達の想いを遂げようとする姿を描いた誠実で壮大な人間ドラマとして演出し撮っている点にも好感が持てる作品でした。

 



親しくして頂いている、映画ブロガーのemiさんのブログ記事内に記載されていた、「いつ星屑になってしまうかも分からない男とその妻と子供たちが、どうやってリアルライフを継続させていくのか。帰宅しても家族とギクシャクするニールは、現実社会に馴染めない帰還兵とちょっと似ている。」という意見も目にしましたが、(この作品の劇中には、生憎と詳しい説明がないのですが)、ニール・アームストロングが、朝鮮戦争で実戦経験がある優秀なパイロットでもあった、その彼の図太いはずの精神力を以てしても、米ソの間の宇宙開発競争の中、次々と多大な犠牲者を出し、その上、世論はNASAの開発費は税金の無駄遣いとデモや集会が実施されるなどしていれば、PTSD障碍までに至らなくても、かなり精神状態もおかしくなり、家族ともギクシャクするのも分からないでもないと思われました。

 



また、我慢していた妻のジャネット役のクレア・フォイが、逃げてばかりの夫のニール・アームストロング役のライアン・ゴズリングにビシッと言うところが良かったでしたね。
夫婦だけならばそんな夫をそっとしておいてあげるのもいいのかも知れないですが、子供がいて、またそれ相応の年齢に達しているのならば、帰還できないかも知れないという旨の説明義務は親として当然果たすべきでしょうからね。

 



ライアン・ゴズリングの無表情な演技と相まって、あたかも『ブレードランナー2049』のレプリカント(?)と言った様にも受け取れるくらいに、最後まで感情をあらわにすることなく非常に感情表現が不器用なニール・アームストロング像でしたが、この静かな演技により、細やかな心情を表現してくれていたかと思いましたし、最後のガラス越しに妻のジャネット役のクレア・フォイと遣り取りするラストシーンも個人的にも好きですね。

 



宇宙空間ものの映画では、やはりIMAXも良さげですが、4DXやMX4Dならばジェミニ8号のトラブルの際の臨場感も半端なさそうですね(汗)。

 


2D字幕版で観た私でさえも、ロケット発射時の<轟音>と、荒涼とした月面の<無音>の静寂感が、死との恐怖感、そして、実に、この世とは隔絶した感覚にさせられましたので、IMAXなどの音響設備ならば尚更でしょうね。

 

ですので、今後、もしも、この作品をご覧になられるのでしたらば、ドルビーアトモス若しくはIMAXなどの出来る限り、音響効果の優れた設備の劇場でご覧になられる事をオススメします。

 

また字幕翻訳についても、予てからその意訳の的確さや素晴らしさにも定評がある翻訳家の松浦美奈さんによる字幕翻訳に、毛利衛さんの字幕監修という最強タッグですから、安心感この上ないです。

 



ただ、ちょっと作品に対して、欲を申せば、お話しの起伏が少ない分、141分という上映時間が長尺に感じてしまったので、編集上、もう少し短くなれば良かったかなとは思いました(汗)。

 



私的な評価と致しましては、
「この主人公ニール・アームストロング像に共感出来ない。」と言った意見も一部に散見しているようですが、私個人的には、この抑えめながらも持続し続ける死と隣り合わせの緊張感・恐怖感を映像から疑似体験していて感じることは、主人公のニール・アームストロングの置かれている状況を鑑みると、あの様な現実社会に馴染めない様な不器用な性格であっても然るべきでしょうし、当時のアポロ計画のコンピュータの処理能力は、任天堂の初代のファミリーコンピュータの性能よりも劣るくらいの物だったことからすれば、死をも覚悟して、人類初の偉業を成し遂げに行った<一人の人間として>の誠実で壮大な人間ドラマとして実に秀逸だったと感じました。

 


賛否両論が大きく分かれているみたいですが、歴史的偉業でありながら、あえて劇的で映画的なカタルシスを得られないような演出が見事過ぎるぐらいに淡々としている点が素晴らしかったですね。
これも、あくまでも<一人の人間として>のニール・アームストロングを描いていたのでしょうね。

 


ですので、五つ星評価的には四つ星半評価のほぼ満点の★★★★☆(90点)の高評価も相応しい映画かと思いました次第です。

 

※ただ、私個人的には凄く良く出来た映画に感じましたが、賛否が大きく真っ二つに分かれているみたいですので、あえてオススメは致しません。

ご覧になられる際も、あくまでも期待値のハードルを高くせずにご鑑賞下さればと思います(汗)。

 

●映画『ファースト・マン』本予告映像

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。

先日も、映画『家(うち)へ帰ろう』のブログ記事の文末に書かせて頂きましたが、TOHOシネマズで年末年始に実施されていた、TOHOシネマズのスタッフさんの中で笑顔で働く姿が素晴らしく優秀な人を選ぶ「スマイルアワード」という企画に、私も1票投じさせて頂きましたらば、投票者の中から抽選と言うことで、TOHOシネマズの特別ご鑑賞券に当選しましたので、今回は、その特別ご鑑賞券を有効活用するべく、先週の2/4(月)に、TOHOシネマズ二条で『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』を鑑賞。

 

当初は、『蜘蛛の巣を払う女』を観たかったのですが、予想外にも僅か3週間で既に上映が終了してしまっていたので、その代わりに、このJ・D・サリンジャーの伝記映画を観ることにしたのですが、率直な感想としては、今まで、私は、あの有名な『ライ麦畑でつかまえて』の著者であり、長く隠遁生活を送っていた作家ということ位の知識で、その他には何ひとつとして知らなかったJ・D・サリンジャーのその半生の一端を、今回知ることが出来て、観て良かったと思えた作品でした。

 

 

「J・D・サリンジャーの半生記(19.2/4・字幕)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:REBEL IN THE RYE

製作年/国:2017年/アメリカ

配給:ファントム・フィルム

公式サイト:https://rebelintherye-movie.com/

上映時間:109分

映倫区分:一般(G)

公開日:2019年1月18日(金)公開

監督:ダニー・ストロング

キャスト:

ニコラス・ホルト、ケヴィン・スペイシー、ゾーイ・デゥイッチ、サラ・ポールソン、ビクター・ガーバー、ホープ・ディビス、ルーシー・ボイントン 他

 

 

【解説】

2019年1月1日に生誕100周年を迎える小説家J・D・サリンジャーの半生を描いたドラマ。

1939年、作家を志しコロンビア大学の創作学科に編入した20歳のサリンジャーは、大学教授ウィット・バーネットのアドバイスで短編小説を書き始める。

出版社への売り込みを断られ続ける中、ようやく掲載が決定するが、太平洋戦争のぼっ発によって、その掲載は見送られてしまう。

召集により戦地に赴いたサリンジャーは戦争の最前線で地獄を経験し、終戦後もそのトラウマに悩まされながら、初長編「ライ麦畑でつかまえて」を完成させる。

この作品の成功により、突如として名声を手に入れたサリンジャーだったが……。

 

サリンジャー役を「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のニコラス・ホルト、バーネット役をケビン・スペイシーがそれぞれ演じる。

 

監督は「大統領の執事の涙」の脚本を手がけ、本作が長編監督デビュー作となったダニー・ストロング。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

J・D・サリンジャーが今年(2019年)1月1日で生誕100周年を迎えると言うことで、それを記念して、彼にまつわる映画がここ最近数本作られているみたいですが、本作品はその中でも、名作を生み出したにもかかわらず、その後隠遁生活を送っていた伝説的作家ジェローム・デヴィッド・サリンジャー(J・D・サリンジャー)。

彼のその謎に満ちた半生と彼の小説の誕生秘話を描いた、実直な伝記映画です。

 

 

お話しの流れ的には、

 

時は、1939年のニューヨーク。

ユダヤ系の食品輸入業で財をなした父親に反発し、大学中退を繰り返していた20歳のジェリーことジェローム・デヴィッド・サリンジャー(ニコラス・ホルト)は、コロンビア大学の創作文芸コースを受講するのでした。

そこでは文芸誌「ストーリー」編集長でもあるウィット・バーネット教授(ケヴィン・スペイシー)と出会い、短編『若者たち』を書き上げ、出版社に持ち込むがことごとく掲載を断られる中、紆余曲折がありながらも書き続け、最終的には文芸誌「ストーリー」に採用され、ジェリーは作家としての第一歩を踏み出します。

 

 

そんな中、ジェリーは、劇作家ユージン・オニールの娘ウーナ・オニール(ゾーイ・デゥイッチに出会い一目惚れするのでした。自由奔放なウーナに振り回されながらも、マンハッタンの社交界に出入りして恋愛を楽しむジェリー。

 

 

その一方、作家の仕事の面では、著作権代理人のドロシー・オールディング(サラ・ポールソン)を介して短編小説を出版社に売り込むものの不採用が続くのでした。

 

 

やがて、自分の分身とも言える、コールデン・コールフィールドを主人公にした短編小説が、権威ある「ニューヨーカー」誌に掲載されることが決まるのでしたが、その矢先に、1941年、真珠湾攻撃が勃発し太平洋戦争が始まるのでした。内容が戦時下にはふさわしくないという理由から掲載は延期になり、そして、ジェリーも陸軍に入隊し、戦地に赴くのでしたが、ヨーロッパ戦線を巡る間も空き時間を見つけては執筆を続けていたのでした。

 

 

しかし、戦争が終わったら除隊後に結婚するつもりでいた、恋人ウーナが、誰もが知る超大物喜劇俳優と、なんと父親ほど年齢の離れた歳の差の結婚をしたとの衝撃的な知らせや、日々激しくなる戦況に神経をすり減らされる中、書くことだけが心の支えになっていたのでした。

 

 

しかし、ノルマンディー上陸作戦やその後の戦闘で多数の仲間を失い、さらにナチスの強制収容所での惨状を目の当たりにし、ジェリーは力尽き、ドイツの神経病棟に入院するのでした。

 

 

そして、ジェリーは恩師のバーネットの元で選集を出版するべく、ドイツで結婚したシルヴィアを伴ってアメリカに帰還を果たすのでしたが、バーネットの「ストーリー」誌の経営難により出版の計画は頓挫し、ジェリーはバーネットに絶交を言い渡すのでした。

 

 

その後、短編『バナナフィッシュにうってつけの日』が「ニューヨーカー」誌に掲載され、話題となり同誌と独占契約を結ぶなど作家としてのキャリアは上向きになるのでしたが、戦禍で被ったトラウマが彼を苦しませ続け、最大の目標であった、ホールデン・コールフィールドを主人公にした長編の執筆も進まない中、瞑想や禅文化などの東洋思想との出会いから、生まれ育ったニューヨークの都会の喧騒から離れて、執筆活動を行うことにするのでした。

 

 

1950年、ジェリーは戦地でのフラッシュバックに対し、瞑想などを採り入れながら向き合いながら、遂に、長編小説の『ライ麦畑でつかまえて』を完成させるのでした。

それまでのアメリカ文学とは全く異なる斬新な語り口を持った同作品は、出版関係者の間では賛否両論でしたが、実際に翌年に発刊されると読者に大反響を呼んでベストセラーとなるのでした。

一躍時の人となるジェリーでしたが、戦争での後遺症から、マスコミやファンの狂騒や過剰なファンによるストーカー行為から背を向けるかの様に、ニューハンプシャー州コーニッシュという田舎町に転居し、隠遁生活を送ることとなるのでした。

 

 

そしてパーティで知り合ったクレア・ダグラス(ルーシー・ボイントン)という女性と再婚。

子供にも恵まれるのでしたが、次第に家族との暮らしよりも創作活動の方に没頭していくのでした・・・。

 

と言ったイントロダクションの伝記映画でした。

 

 

実は、私は、生憎と、J・D・サリンジャーの代表作である『ライ麦畑でつかまえて』を読むのも途中で挫折してしまっていたくらいなのですが、それでも、この伝記映画は面白く観ることが出来ました。

 

 

お話しの展開の上で、本作品は、映画としての作り込みが甘いなどといった辛辣な意見も散見しているみたいですが、確かに、戦争体験が主人公であるJ・D・サリンジャーの人生に大きな影を落とす要因になるにもかかわらず、肝心の戦場のシーンが心象風景的にしか表現されていない点を描写不足と不満に感じられる人も居られるかも知れないですが、直接的に戦場のシーンを描かなくても、僅かなシーン描写と劇中の字幕台詞でも、あのノルマンディー上陸作戦や、その後、ドイツの強制収容所の惨状を目の当たりしてきた事も分かりましたので、アメリカの帰還後の後遺症、所謂、今で言うところのPTSD障碍に苦しむのもよく理解出来ました。

 

 

ただ確かに、最初のドイツ人の妻のシルヴィアを実家に連れてきたシーンはあるものの、その後はほぼそれきりだったり、各出来事の生じた時期や年月の経過が不明瞭で、やや分かりづらい点など確かに伝記映画としては表層をなぞっただけにも映るといった欠点も見受けられましたが、概ねは、ジェリーことJ・D・サリンジャーの半生は理解出来ました。

 

 

J・D・サリンジャーと言えば、映画『フィールド・オブ・ドリームス』(1989年)の原作本でもある、W・P・キンセラによる『シューレス・ジョー』の小説の中で登場していたので、彼が隠遁生活を送っていたのは、私の場合にはその小説の中で初めて知りましたが、ここ最近、公開されている映画『ライ麦畑をさがして』(2001年)や、『ライ麦畑で出会ったら』(2015年)でも、サリンジャーを訪ねる若者達が描かれていますが、そういった行動がある種の社会現象化しつつあったのかも知れないですね。

 

 

また、本作品の劇場パンフレットを読みますと、1980年のジョン・レノン暗殺犯のマーク・ディヴィッド・チャップマンは犯行現場で『ライ麦畑でつかまえて』を読んでいたり、逮捕後の裁判で小説の一節を朗読していたり、また、その翌年1981年のレーガン大統領暗殺未遂犯も『ライ麦畑でつかまえて』を所持していたりと、偶然かとは言え、この『ライ麦畑でつかまえて』の主人公ホールデン・コールフィールドに心酔する若者が過度な異常行動を採りがちな傾向も見受けられるので、サリンジャー自身も、早くから危険を察知して、愛読者からのストーカー行為などから隠遁生活を送らざるを得なかったのも分からないでもなかったですね。

ただ、隠遁生活が逆に伝説化し、謎が謎を呼びミステリアス度が増していくといった悪循環だったかも知れないですね。

 

 

2010年1月27日に91歳で亡くなったJ・D・サリンジャーですが、果たして、彼はひとりぼっちでも幸せだったのかなと思うと切なくなってきますが、PTSD障碍から解放されるには、ただひたすらに創作活動に打ち込むしか心癒やされる術がなかったのかも知れないですね。

 

 

やたらと挿入されていた回転木馬のシーンなどは、サリンジャーの小説のファンの人にとっては、もしや小説の一節にまつわるような、意味深な演出だったりしていたのかと思いますと、本作品も、また違った楽しみ方が出来るのでしょうね。

 

でも、私の様にサリンジャーの小説もほぼ読んでないに等しい人間でも、ベストセラー小説を残して、すぐに表舞台から姿を消した1人の小説家の心の葛藤を描いた半生記として読むことも出来ますし、ある若い作家の書籍が出版に至り大反響を浴びるまでといった一連の流れなど、それぞれ観る視点によっても興味深く観ることが出来ますので、特段、J・D・サリンジャーに興味がない人でもそれなりに楽しめる映画にもなっていたとも思いました。

 

 

配役に関しましては、ジェリーことJ・D・サリンジャー役を演じていたニコラス・ホルトは本当に適役だったと思います。

彼を観ていると、雰囲気的に日本映画界の個性派俳優の柳楽優弥さんを思い起こしてしまいますが、自信に満ちた目や不安げな目、狂気に満ちた目など様々な表情を目だけでも表現出来る素晴らしい若手俳優だと思いましたし、だからこそ『X-MEN』シリーズでもビースト役を演じているのかなとも思いましたね。

 

 

そしてコロンビア大学の恩師であり文芸誌「ストーリー」の編集長ウィット・バーネット教授役のケヴィン・スペイシーはさすがの安定感ある演技で上手かったですね。

本当に、あんな事件さえ過去に起こしていなければ今後ももっともっと活躍の場があったのにと思うと悔やまれてなりません。

 

 

著作権代理人のドロシー・オールディング役演じるサラ・ポールソンは『オーシャンズ8』の時の可愛らしいコメディパートとは違った実力派女優ぶりを発揮してくれていましたし、『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリーの恋人役を演じていた、ルーシー・ボイントンもサリンジャーの二番目の妻クレア・ダグラス役で出演しています。

 

 

私的な評価と致しましては、

事細かな説明や演出が不足しているために、J・D・サリンジャーの半生を描く映画としては、表層をなぞっただけにも見えなくもないですが、私はそれでも概ねは理解出来ましたし、あくまでもサリンジャーを知る入り口的な作品としてはよく出来た実直な伝記映画だと思いました。

 

 

また彼のような戦争体験ほどの凄まじい後遺症ではないにせよ、私も激務から、PTSD障碍を発症してしまい後遺症と未だに闘病していることからすれば共感してしまう点も多々ありましたので、今まで謎だった、何ゆえに隠遁生活をせざるを得なかったのかもサリンジャーの行動も少しは理解出来た気もしました。

ストーリーの演出手法には難があったかも知れないですが、ニコラス・ホルトはじめケヴィン・スペイシーら各俳優陣が凄く好演していましたので、五つ星評価的には、高評価の四つ星評価の★★★★(80点)も相応しい作品かと思いました次第です。

 

また、この映画を観て、私も、読み終えることなく積ん読状態にある『ライ麦畑でつかまえて』の本も改めて読んでみたく思いました。

 

●映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』予告編

 

 

 

※京都府・滋賀県近郊の御方々は、2/14(木)まで上映中の滋賀県大津市の浜大津港の傍にあるシネコン・大津アレックスシネマまで鑑賞に出向かれては如何でしょうか?

 

JR大津駅からも徒歩圏内。京阪電鉄京津線びわ湖浜大津駅から徒歩3分。お車の場合には、駐車場料金3時間無料サービスして頂けます。

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。

最近は、映画雑誌『キネマ旬報』もキネマ旬報ベスト・テン発表特別号も、気になった年しか購入していなかったのですが、今年はなんと言っても、柄本佑さん&安藤サクラさんのご夫婦での主演男優賞・主演女優賞の受賞と言うことで、ご夫婦で表紙を飾られているのが嬉しくて、ついつい購入してしまいました。

昨年亡くなられた、角替和枝さんにも、このお姿を見せてあげたかったでしょうね。

 

 

特に、60名の選考委員が選んだ日本映画のベスト・テンの方は、格式がある映画がズラリと並んでいる中でも、私は『万引き家族』、『斬、』『教誨師』くらいしか観ていないので、何とも言いようがないですが、やっぱりミニシアター系の映画が独占する傾向にあるのかなと思ってしまいましたね。

と思いながらも、『カメラを止めるな!』がベスト10にも入っていないのは、やはり格式を重んじるキネマ旬報ベスト・テンらしいのかも(苦笑)。

 

それに反して、読者選出の日本映画のベスト・テンにおいては、『カメラを止めるな!』が堂々の第2位にランクインしている点からすると、選考委員さん達とキネマ旬報の読者との間で選考に伴う基準や意識に相当な乖離があるのではとも思われましたね。

 

『カメラを止めるな!』に関して言えば、そんなにも優れた作品かと言えば疑問符も付くことは確かです。

しかしながらも、ここまで観客に支持をされ、多くのリピーターを生み、社会現象化した日本映画も珍しいほどに大ヒットを記録した作品ですから、それなりに選考委員によるベスト・テンのランキングに反映されても然るべきかとも思われましたね。

 

ランキング選出に『カメラを止めるな!』を入れなかった選考委員の皆さん。文化人を気取ってんじゃねぇよ!!!

 

 

昔、毎号の様に『キネマ旬報』も購読していた当時は、立川志らく師匠のコラムもよく拝読させて頂いておりましたので、今回の立川志らく師匠の読者賞も嬉しい限りです。

 

また、未だどこかで生きておられるのではないかと思ってしまうほど、お亡くなりになられたのが未だに信じ難い、故・樹木希林さんの特別賞は当然でしょうね。

 

 

※尚、「キネマ旬報ムック」にて、2/25(月)発売の『いつも心に樹木希林~ひとりの女優の咲きざま、死にざま~(仮)』という、「発掘!悠木千帆/樹木希林直筆エッセイ」の数々や、「ベスト・オブ・樹木希林対談」として、市原悦子さんや橋本治さんなどとの対談も収録した樹木希林さんの関連本の中でもかなり面白くなりそうな1冊が、定価1.200円+税で発刊されるとの広告を目にして、これは買わなくては思い立った次第です。

 

●2018年第92回キネマ旬報ベスト・テン発表

⇒ http://www.kinenote.com/main/kinejun_best10/

 

※尚、第1位以外の詳細な順位は、2/10(日)より公開されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私事で恐縮ですが、昨日の2/6(水)の夕方から寒気が酷くて、室温を29℃に設定しても、未だ寒くて、吐き気もするので食事も採れずに、今日2/7(木)のお昼過ぎまでずっと安静にして、病院に行ったところ、一応、簡易検査ではインフルエンザではなかったものの、明日血液検査の結果を伺わないといけない位に、今夜もしんどいので、今宵はこの辺で。

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。