令和の時代の今更ながらではありますが、全国公開してから9日後の平成31年3月31日(日)にMOVIX京都にて鑑賞してきた作品ですが、現在、ちょうど京都市上京区・出町座や滋賀県大津市・大津アレックスシネマにてセカンド上映をなされている事もあり、このタイミングでブログ記事化するのも良いかと思い、この作品もこの機会に、備忘録的にブログ記事としてまとめさせて頂きたいと思います。
「ユーモアとスリルの交錯と、今ここにある危機(19.3/31・字幕)」
ジャンル:社会派ドラマ
原題:BLACK K KLANSMAN
製作年/国:2018年・アメリカ
配給:パルコ
公式サイト:https://bkm-movie.jp/
上映時間:135分
映倫区分:一般(G)
公開日:2019年3月22日(金)
監督:スパイク・リー
キャスト:
ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライバー、トファー・グレイス、コーリー・ホーキンス、ローラ・ハリアー、ライアン・エッゴールド、ヤスペル・ペーコネン、ポール・ウォルター・ハウザー、アシュリー・アトキンソン、アレック・ボールドウィン、ハリー・ベラフォンテ ほか
【解説】
黒人刑事が白人至上主義団体「KKK(クー・クラックス・クラン)」へ潜入捜査した実話をつづったノンフィクション小説を、「マルコムX」のスパイク・リー監督が映画化。
1979年、コロラド州コロラドスプリングスの警察署で、初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワース。
署内の白人刑事たちから冷遇されながらも捜査に燃えるロンは、新聞広告に掲載されていたKKKのメンバー募集に勢いで電話をかけ、黒人差別発言を繰り返して入団の面接にまで漕ぎ着けてしまう。しかし、黒人であるロンはKKKと対面できないため、同僚の白人刑事フリップに協力してもらうことに。電話はロン、対面はフリップが担当して2人で1人の人物を演じながら、KKKの潜入捜査を進めていくが……。
主人公ロンを名優デンゼル・ワシントンの実子ジョン・デビッド・ワシントン、相棒フリップを「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバーが演じる。
第71回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。
第91回アカデミー賞では作品、監督など6部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)
1970年代のアメリカのコロラド州コロラドスプリングス警察署初のアフリカ系アメリカ人刑事が、ユダヤ系白人刑事と手を組み白人至上主義団体への潜入捜査に挑む。という、事実は小説より奇なりを地でいく実話に基づく、一級のエンタメ映画にして政治思想色豊かな社会派ドラマでした。
先ず、題名の『ブラック・クランズマン』とは、アフリカ系アメリカ人(黒人)のクー・クラックス・クラン(Ku Klux Klan:KKK)の構成員・団員という意味です。
1979年、コロラド州コロラドスプリングス警察署で初めてのアフリカ系アメリカ人警官となったロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は記録保管室に配属される。
同僚の白人警官からイジメられる毎日でしたが、或る日、アフリカ系アメリカ人という、その特性を活かしてブラックパンサー党の活動を調査する潜入捜査の命を受けるのでした。
そんな中、黒人学生連合の女性活動家のパトリス・デゥマス(ローラ・ハリアー)と出会うのでした。
そして、その後、彼は、新聞で、白人至上主義を掲げる秘密結社「クー・クラックス・クラン(KKK)」の新しい支部の構成員を募集する求人広告を発見。
直接電話でコンタクトを取り、白人の同志のレイシストのフリをしてしゃべり倒して、接触のチャンスを得るのでした。しかし、どうやって?
そこでロンは引き続き電話で仕掛けて、実際の接触には白人刑事のフィリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)が行うことになるのでしたが・・・。
かなり情報量が多い作品。
白人至上主義団体を産み出した歴史的背景と現在の動向。
例えば、南北戦争、公民権運動、そして、2017年に発生したシャーロッツビルでのカウンターデモへの突入事件など。
更には、KKKに代表される白人至上主義者たちが、単に白人や黒人(アフリカ系アメリカ人)といった大きなくくりである肌の色による人種差別のみならず、より狭く定義した自分が属する民族集団(WASP=ホワイト・アングロサクソン系プロテスタント信者やフリーメイソンなど)を選民と位置付ける団体の衰退と復活など。
その他にも、デンゼル・ワシントンの息子であるジョン・デヴィッド・ワシントンが潜入捜査官を演じている意味だとか。
また、或いは、白人目線中心で描かれていた差別的な代表的映画として、『風と共に去りぬ』の南北戦争の大人数の南軍負傷者シーンや、D・W・グリフィス監督の『國民の創生』といった映画が作中に引用されている意味や、また、作中で扱われるブラックスプロイテーション映画(『黒いジャガー』など)や現在のポリティカル・コレクトネス、所謂、ポリコレとも略称される「差別や偏見を防ぐ目的で政治的・社会的に公正・中立的な言葉や表現の使用を図る活動」のあり方についても大いに色々と考えさせられる作品でした。
アダム・ドライバー演じるフィリップ・ジマーマンを原作からユダヤ系白人に設定変更し脚色したのも実に効果的でしたね。
それ故に、白人のふりをして電話でKKKと遣り取りをするアフリカ系アメリカ人のロン以上に、ロンに成り代わって、実際に潜入捜査の対応をするユダヤ系アメリカ人のフィリップが命を懸けた仕事に挑むこととなり、非常にスリリングでした。
「白人の発音と黒人(アフリカ系アメリカ人)の発音が違う?」
そんな話は聞いたこともないですし、劇中のロン達もバカ受けしてしまっていましたが、私もこのシーンには爆笑してしまいました。
このKKKには、気の短い頭がイカレた下っ端の構成員が沢山いますが、彼らは暴力行為に出る実行犯。
一方、最高幹部は政界進出、ホワイトハウスをも狙う人物。
でもロンの声色の違いも分からないというのですから、これもまた間抜けですよね。
この一見お人好しそうに映るKKKの最高幹部デビッド・デューク(トファー・グレイス)をさも好人物かの様に演じており怪しからん思われる人もおられるかもしれません。ですが、彼がそのように見えることこそ、彼を一層に厄介な存在たらしめているものなのです。実在の人物を演じているだけにね。
また、冒頭とラストであまり変わっていないアメリカにおける差別の現実を知らしめ、KKKの入団の儀式の際の『國民の創生』の上映会と、ブラックパンサー党での演説風景を並行して見せることで、互いのその歩み寄りのなさとその活動自体の非生産性を突きつけてもいました。
また劇中のロンは、ブラックパンサー党の潜入捜査の際に親しくなった、アフリカ系アメリカ人の尊厳のために行動する学生活動家パトリス・デゥマス(ローラ・ハリアー)に差し迫るKKKメンバーの危険な企てからも阻止するべく奔走します。
その状況を描くスリリングなクロスカットは、冒頭でアレックス・ボールドウィンが触れる映画の1本でもあり、また、KKKの入団の儀式の際に上映される映画であるD・W・グリフィス監督の『國民の創生』の内容をあたかもソックリ真似たかの様なスリル溢れる演出ですが、恨みつらみを込めた単なる意趣返しのみではないでしょう。
皮肉の意味合いは込めても、スパイク・リー監督は、全ての登場人物を血の通った存在として描いています。悪の卑小さ、かなしさ、愛と憎しみをも含めて。
『風と共に去りぬ』や『國民の創生』という映画が引用されている意味合いについては、私も劇場用パンフレットの解説文を読まなくては、よく理解出来ていなかったのですが、とは言え、それでも人種差別が長い歴史を持ち、映画と言うメディアもその差別や偏見と深く関わってきたことは映画を観ている最中でも伝わって来ました。
また、第91回アカデミー賞では『グリーンブック』が作品賞を受賞して、スパイク・リー監督が激怒して立ち去ろうとしていたと言われるのも本作品を観ると分かる気もしました。
(そう言えば『グリーンブック』の感想のブログ記事も早く書かねば・・・。トホホ。)
確かに、あの『グリーンブック』も人種差別問題を扱ってはいましたが、所謂、ポリコレを意識はしていたとは思いますが、作品から差し迫った狂気は感じ取れなかったですし、あくまでも白人視点で描かれたエンタメ映画であって、同じ実話ベースとは言え、ある種、夢のような映画だったような気もします。
その点では、このスパイク・リー監督が監督・脚本・製作した本作品は、アフリカ系アメリカ人からの視点で描かれているし、1970年代、南部のアメリカで、アフリカ系アメリカ人たちがどんなに酷い目に遭っていたのかがとても分かりやすく描かれています。
また、人のありよう、<アメリカン・ファースト>と連呼するKKKの構成員や指導者の言動は恐ろしいほどに、今のトランプ政権下のアメリカと重なって映りましたし、何にせよ映画や音楽で社会全体を変えれるとは思わないという意見もありますが、プロパガンダ映画などで国民扇動を図ってきた歴史を鑑みると、過去や現実を知るための指標にはなるかとは思います。
差別をテーマにしたエンタメ映画に徹して終わるかと思いきや、ダメ押しに終幕に映し出される現代の現実として、2017年のシャーロッツビルでのカウンターデモへの突入事件の実際の映像を入れ込んでくる辺りに、今も続く狂気の連鎖とも言うべき問題の根深さや、スパイク・リー監督の本気の怒りと危機感を感じました。
と同時に、カンヌ国際映画祭においては許容されても、エンタメ映画として徹しなかった点で、これではアカデミー賞の作品賞の肝心のオスカーは無理だったのかもね。と非常に残念にも思えました。
オスカーよりもこの政治的・社会的な危機にある中、観客を覚醒させる事を重視したのでしょうね。
その想いは充分伝わって来ましたので私的には本望でした。
ラストシーンが唐突感もありましたが、二人が銃を向ける相手は観客の私たちへの問いかけなのかも知れないなとも思いました。
最後に、アメリカの国旗が逆さまに、描かれます。
アメリカの国旗に関する法律には、こう規定されています。
「生命や財産に極度の危険が迫っている際、その危険を伝える目的を除き、下方に傾けて掲揚してはならない。」
逆説的に言えば、つまり、現在、アメリカに生命や財産に極度の危険が迫っていることを表現しているということとなります。
※因みに、日本の国旗には上下はありません。
私的な評価と致しましては、
第91回アカデミー賞では脚色賞を受賞するに止まりましたが、第71回カンヌ国際映画祭では最高賞に次ぐグランプリを受賞するなど、国際的にも評価が高い本作、私個人的には、アフリカ系アメリカ人のロンとユダヤ系アメリカ人のフィリップのコミカルなバディムービーとして、社会派コメディ映画としても、めっぽう楽しめました。
そして更に、スパイク・リー監督が込めた、政治的・社会的な「今ここにある危機」に寄せたメッセージ性も充分理解出来ましたので作品的な質云々たるを越え、文句なしに五つ星評価的にも★★★★★(100点)の満点評価とさせて頂きました次第です。
※尚、この映画をより一層理解したいという人にはパンフレットの購入を是非ともお勧めします。
HALU6700@HALU7100
#MOVIX京都 で #スパイク・リー 監督の『#ブラッククランズマン 』鑑賞。白人至上主義団体KKKに潜入捜査する黒人警察官とユダヤ系警察官という設定が実話で、ブラックジョークっぽい台詞も面白かったのですが、映画本編以上に最後の… https://t.co/g8Na1CaAXp
2019年03月31日 23:15
HALU6700@HALU7100
私は既に鑑賞済みですが、スパイク・リー監督の『#ブラッククランズマン』も満点評価をあげても良いくらいにシニカルな内容で非常に面白かったので、未見の人は、是非とも大津アレックスシネマ(@otsualexcinemas )さんに鑑賞に… https://t.co/2vJLjujvZI
2019年05月02日 15:12
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今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。
京都市上京区・出町座、滋賀県大津市・大津アレックスシネマなどでも現在、セカンド上映がなされていますので、スパイク・リー監督が贈る社会派コメディの傑作ですので、是非この機会にご覧下さい!
























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