一時休館されていた、大津アレックスシネマが11月6日(金)から、急遽、めでたく営業再開なされる運びとなり、観に行きたかった本作品も営業再開時の上映ラインナップに加えて下さっていたので、早速、私も11月9日(月)の朝から鑑賞に出向いてきました。
今年度の39本目の劇場鑑賞作品。

「予想外に硬派なセミドキュメンタリー映画(20.11/9・2D字幕)」
ジャンル:人間ドラマ
原題:HORS NORMES
製作年/国:2019年/フランス
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/specials/
上映時間:114分
上映区分:一般(G)
公開:2020年9月11日(金)
監督:エリック・トレダノ / オリヴィエ・ナカシュ
キャスト:
ヴァンサン・カッセル / レダ・カテブ / エレーヌ・ヴァンサン / ブライアン・ミヤルンダマ / アルバン・イワノフ / バンジャマン・ルシュール / マルコ・ロカッテリ / カトリーヌ・ムシュ / フレデリック・ピエロ / スリアン・ブラヒム 他
【解説】
「最強のふたり」のエリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ監督がケア施設に働く2人の男たちの実話を、ユーモアを交えて描いたヒューマンドラマ。
自閉症児をケアする施設「正義の声」を経営するブリュノ。他の施設などで見放された子どもたちも断らずに受け入れる彼の施設には、さまざまな問題を抱えた子どもたちであふれていた。
この施設では、ブリュノの友人のマリクに教育されたドロップアウトした若者たちが働いている。
社会からはじかれた子どもたちをまとめて救おうとしていたブリュノとマリクだったが、無認可で赤字経営の「正義の声」に監査が入ることになり、施設閉鎖の危機に迫られる。
ブリュノ役を「ブラック・スワン」「ジェイソン・ボーン」のバンサン・カッセル、マリク役を「アランフエスの麗しき日々」「世界の涯ての鼓動」のレダ・カティブがそれぞれ演じるほか、本物の介護者と自閉症の若者、その家族たちが多数キャスティングされている。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)

先ずは、タイトルが『スペシャルズ!』のみでは配給会社サイドも、この映画に興味を惹いてもらえないかと思っての事でしょうが、せめて「~政府から自閉症ケア施設を守った男達~」くらいの長さの副題でも良かったような気がするほどに、あまりにも長ったらしい説明的過ぎる副題タイトルでしたので、配給会社のギャガさんも、もう少し何とかならなかったのかと思いましたね(苦笑)。
内容的には、『最強のふたり』の監督コンビによる作品なので、もっとハートフルコメディな映画かと思っていましたが、実話を基にした映画だからか至って真面目で硬派なセミドキュメンタリー映画といった体裁の作品でした。

「自閉症」と言っても範囲が広く、最近よく耳にするのは自閉スペクトラム症ですが、この作品では、主に重度の自閉症の子供たちの通所施設として預かっています。
では重度とはどの程度なのか?ですが、
発達障碍の他、知的障碍や精神疾患を伴っているであろう症状の子供たちが多く見られました。
ブリュノ(ヴァンサン・カッセル)が経営する、そういった彼らの自立支援を助ける施設<正義の声>がこの映画の舞台。
そして、彼らを助ける支援員についても、ブリュノの友人のマリク(レダ・カテブ)により、社会で一旦ドロップアウトした若者達を中心に社会復帰させるべく教育する<寄港>という団体から派遣する形で運営しているのでした。
ブリュノとマリクは、社会からはじかれた子供たちの受け皿として、そんな彼らをまとめて救おうとしていたのでした。
しかしながら、この施設<正義の声>は無認可で、<寄港>から派遣される支援員たちの多くは無資格。
そこで、政府当局から目を付けられてしまうのでした。

ジョセフは、実際に自閉症児でもあり、地下鉄の非常ベルを鳴らしてしまうという悪い癖があるのでした。
ブリュノはそんな彼を職に就かせようと、1万通ものメールをして、ようやく見付けた、洗濯機を扱う工場の工場長に頼み込んで1週間の見習いとして雇ってもらうのでした。
洗濯機マニアの彼がどこまで仕事をこなせるのだろうか・・・。

壁や窓に頭を打ち付ける自傷行為の癖があるため常にヘッドギアを付けている少年ヴァランタン。彼は弟が実際に自閉症であるらしく、弟の苦悩する姿を自ら演じて見せているのでした。
馬を撫でるシーンやクライマックスも彼の好演が輝っていました。
ヴァランタンが入院している病院からブリュノのケア施設に通うことになるのでしたが、このヴァランタンの支援担当になるのが、社会からドロップアウトした若者を社会復帰させる団体の<寄港>では、まだ新人の黒人青年ディランでした。
劇中では彼が四苦八苦しながら成長していく姿が活写されていましたが、彼がヴァランタンと接する過程で初めて自閉スペクトラム症に接するという点が、あたかも観客と同じ目線で進行させている点も脚本的に上手かったでしたね。

一方、施設を運営するブリュノとマリク。
ブリュノはユダヤ教徒で独身。
マリクはイスラム教徒で、妻と3人の子供が居るそうです。
映画では、2人の私生活については全く描かれていませんが、独身のブリュノが何度か”シドゥク”(ユダヤ式のお見合い)をする場面は微笑ましくもありますが、逆に、ブリュノが自閉症ケア施設<正義の声>を運営するのに24時間体制でプライベートな時間をほとんど削ってまで働いているのがよく分かるシーンでもありました。

重度の自閉症の子供たちの自立支援を、病院や児童相談所などから次々と頼まれる2人。
この自閉症ケア施設<正義の声>が無認可だからといって、支援員が<寄港>から派遣される無資格者ばかりだからと言って閉鎖させてしまったら、子供たちはいったい何処に行ったら良いのでしょうか?
結局、自閉症者の通所者を受け入れてくれる代替施設が無いとのことで、副題にある通り、この自閉症ケア施設の運営は継続出来ることになったそうです。
無認可だから、資格が無いからと、利益もない赤字経営の善意だけで運営しているような施設を潰すことは、障碍のある子供たちを見捨てることにもなり、また社会からドロップアウトした青少年たちの社会復帰の場を奪うことにもなり、誰も得する人は出ないはずです。
しかしながら、だからと言って、万が一事故があったらいったい誰が責任を取るのかという問題もあり、認可施設で有る無しも問題ですが、支援員の資格者がほとんど居ないのも問題点ではありますね。
これはフランスだけの問題ではなく、本作品は、なかなか深刻な内容のお話しでしたが、ジョセフの非常ベルを押す癖の克服の逸話にもオチがあったりとクスッと笑える演出もいくつかあって硬派な内容ながら面白い作品にもなっていたかと思いました。

つきましては、私的な評価としましては、
映画的に、すごく面白いかと言われれば、あの『最強のふたり』の様なハートフルコメディ的な映画と思って観ると肩透かしを喰らうかも知れないですが、重い深刻な内容のテーマを描いた作品ながらも、クスッと笑える演出もいくつかあって面白く観られる様に工夫して仕上げてある作品でしたので、五つ星評価的には★★★★(80点)の四つ星評価の高評価も相応しい作品かと思いました。
○【公式】映画『スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~』予告編
今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うごございました。