猛威を振るう新型コロナ禍の影響もあって、一時休館を余儀なくされていた滋賀県大津市の大津アレックスシネマが11月6日(金)から営業再開をした際に、上映リストに本作品も挙がっていましたので、先日の『スペシャルズ!』に続き、本作品も、イオンシネマ京都桂川で『タイトル、拒絶』を観に行った日の翌日の11月18日(水)に大津アレックスシネマまで鑑賞に出向いてきました。
今年度の41本目の劇場鑑賞作品。
「嘘も方便(20.11/18・2D字幕)」
ジャンル:人間ドラマ
原題:The Farewell
製作年/国:2019年/アメリカ
配給:ショウゲート
公式サイト:http://farewell-movie.com/
上映時間:100分
上映区分:一般(G)
公開日:2020年10月2日(金)
監督:ルル・ワン
キャスト:
チャオ・シューチェン / オークワフィナ / エクス・マヨ / ルー・ホン / リン・ホン / ツィ・マー / ダイアナ・リン/ ヤン・シュエチェン / ベッカ・カヒル / ギル・ペレス / ジャン・ヨンポー / チェン・ハン / 水原碧衣 他
【解説】
中国で生まれアメリカで育ったルル・ワン監督が自身の体験に基づき描いた物語で、祖国を離れて海外で暮らしていた親戚一同が、余命わずかな祖母のために帰郷し、それぞれが祖母のためを思い、時にぶつかり、励まし合うながら過ごす日々を描いたハートウォーミングドラマ。
ニューヨークに暮らすビリーは、中国にいる祖母が末期がんで余命数週間と知らされる。
この事態に、アメリカや日本など世界各国で暮らしていた家族が帰郷し、親戚一同が久しぶりに顔をそろえる。
アメリカ育ちのビリーは、大好きなおばあちゃんが残り少ない人生を後悔なく過ごせるよう、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、中国に住む大叔母がビリーの意見に反対する。
中国では助からない病は本人に告げないという伝統があり、ほかの親戚も大叔母に賛同。
ビリーと意見が分かれてしまうが……。
「オーシャンズ8」「クレイジー・リッチ!」のオークワフィナが祖母思いの孫娘ビリーを演じる。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)
そもそもは4月公開予定だったのが新型コロナ禍の影響もあり、半年遅れの全国公開となった映画でしたが、昨年のゴールデングローブ賞ノミネート作品であり、主演のオークワフィナがコメディ・ミュージカル部門の主演女優賞を受賞した作品ということもあり、パンフレットのみは購入済みだったもののミニシアターでは結局は鑑賞出来ず終いだった作品だっただけに、今回、大津アレックスシネマの営業再開に伴うセカンド上映の上映リストに挙げて貰って、本作を観逃す事なく劇場鑑賞が出来て良かったです。
先ず、この題名の『フェアウェル(The Farewell)』とは、お別れの挨拶を意味しています。
「実話に基づく物語」という断り書きは映画の冒頭でよく目にしますが、本作は「実際にあった”ウソ”に基づく」と、ちょっと小洒落ていました。
本作は脚本も書かれた中国系アメリカ人、ルル・ワン監督の実体験から生まれた物語とのこと。
お話しの流れ的には、
ニューヨークで暮らす、アラサー世代の中国系アメリカ人女性ビリー・ワン(オークワフィナ)は物書きになることを夢見て日々奮闘していたのですが、グッゲンハイム・フェロー財団からの奨学金が選外になったという通知が来て落胆していたのでした。
そんな折り、ビリーは両親(ツィ・マー、ダイアナ・リン)から中国・長春で暮らす、ナイナイ(父方の祖母に対する呼称:チャオ・シューチェン)がステージⅣの末期の肺ガンで余命幾ばくもないという事実を知らされるのでした。
両親は医者と結託してその事実をナイナイに知られないように努めており、彼女自身はナイナイの妹から「良性の腫瘍が見つかった」との嘘の説明を受けているのでした。
ナイナイの親戚たちはビリーの従弟のハオハオ(チェン・ハン)が中国で結婚式を挙げるとでっち上げて、それを口実に約25年振りに一堂に会することにして、ナイナイとの最後の思い出を作ることにするのでした。
両親は、ビリーがナイナイに真実を告げるのではないかと思い、彼女にはニューヨークに留まるように言いつけて直ぐさま中国に向けて出発したのでしたが、ビリーは言いつけに背いて遅れて中国へと向かったのでした。
到着するなり、ビリーは両親と口論になりかけていたのですが、ナイナイには真実を伝えないと確約することで事なきを得たのでした。
そうは言ったものの、長春に滞在中、「ナイナイに嘘をつき続けるのは不誠実なのではないか」と悩み続けることになるのでした。
といったイントロダクションの映画でした。
私の場合も、私の母親も伯母も現在もガン闘病中なのですが、アメリカ同様に、昔とは違い、現在では日本でも本人にガンを宣告する方式を採っているので、勿論、本人もガンであることは知っていますし、知っているからこそ終活にも励めるし闘病生活も営めるのかとは思いますが、欧米式とは違い中国式のシステムがただ単に遅れているだけなのか、それとも良い意味でガン患者を慮(おもんぱか)っているのかはよく分かりません。
親族一同で食卓を囲むシーンでは、中国に残った者たちと、アメリカや日本に移住した者との人生観や金銭観がぶつかり合い、気まずい雰囲気にもなるのでした。
ビリーのおじが命について語る場面などでは、<東洋と西洋の文化の違い>というテーマが繰り返されるのですが、<知る権利>を尊ぶアメリカでは本人にガンであることを隠すこと自体が違法らしいのですが、では本当は一体どちらが幸せなのか。と、ふと考えてしまっていました。
ただこの作品の主題はというと、ガン告知をすべきか否かということが主たる問題ではなく、おそらく中国に生まれ、今はアメリカ人として生きる主人公ビリーの移民となった中国人のルーツやアイデンティティーを振り返りながら、カルチャーギャップや世代によって異なる伝統意識を交え、家族の重要性を主題に伝えるドラマ仕立てになっているのではないかと思いました。
親族の中には、アメリカ以外にも、永年日本に暮らしている者や、今回結婚を偽装するビリーの従弟のハオハオ自体も、日本人女性のアイコ(水原碧衣さん)と国際結婚するというカップルでもあるので、多国籍時代のコミュニケーションのあり方や文化の多様性をどの様に受け入れていくのかということも、テーマとして存在しているのではないかとも思いました。
ところで、本作で、ハオハオの国際結婚する相手のその日本人花嫁役の水原碧衣(みずはら・あおい)さんですが、ちょっと気になったのでインターネットなどで彼女について少し調べてみました。
1985年11月30日岐阜県生まれの三重県桑名市育ちの現在34歳。
京都大学法学部卒業後に、弁護士を目指されて早稲田大学法科大学院に進学するも留学の為一時休学の後に中退。その後、中国・北京に渡り、北京電影学院演劇科に入学し首席で卒業され、現在では、中国を拠点に活躍される国際派女優として中国語・英語にも堪能なバイリンガルな才媛とのことでした。
本作の中のアイコ役はちょっと気の抜けた様な役柄でしたが、実は演じてられた水原碧衣さんご自身は、すごく美人で頭脳明晰な女優さんだったみたいですね。
彼女は、この作品で初めて「A24」の作品に出演した日本人俳優になられました。
アメリカで製作された中国映画ですが、「A24」は今回はあくまでも全米での配給権を得た会社であって、製作自体は全く違う小さな会社の様で、道理で、冒頭に、サンダンス映画祭出品作品といったテロップが流れていたと思われました。
それにしても、ナイナイの診断書の偽造後に、犯罪集団の如く横に並んでスローモーションで揃って歩く姿は、あたかもクエンティン・タランティーノ監督作品か若しくは『オーシャンズ』シリーズ作品かと匂わせて、思わずクスッと笑えてきました。
そう言えば、オークワフィナは、女性版オーシャンズの『オーシャンズ8』(2018年)にも出演していましたね。
ビリー役演じる、オークワフィナが終始仏頂面で、猫背気味だったのが印象的でもありましたが、これは色々と自信が持てないという役柄による演出だったのかも知れないですね。
また、日本の八千草薫さん風の品のある祖母ナイナイ役演じる、チャオ・シューチェンがあまりにもふくよかで死期が迫っているといった、ステージⅣの末期の肺ガン患者には到底見えない、など気になる点も若干ありはしましたが、総花的に観れば、優しい気持ちになれる素敵な映画でした。
もしビリーが主張するように、ナイナイにガン告知していたら、今回の中国への帰郷は全く違うものになっていたかも知れませんね。
もしも私だったらば、いくら歳をとったとしてもガンになったら終活に備えて告知して欲しいものですが、このナイナイにとっては、中国の慣習に従った方が幸せだったのではと思いましたし、エンドクレジットで、実話では、その後ナイナイは6年も長生きしたそうですので「病は気から」だったのかも知れず、ガン告知せずに正解だったのでしょうね。
また、パンフレットをよく読みますと、ナイナイの妹で大叔母役のルー・ホンが、実は、なんと、この映画のナイナイのモデルとなった、ルル・ワン監督の祖母ご本人その人だったらしく、道理で、エンドクレジット後の映像が、ナイナイの妹役とソックリだった訳です(笑)。同一人物ですからね。
(勿論、ルー・ホンは映画には初出演だったらしく、映画に出演する時点で、既にガン告知に関わるウソも全部ばれてしまっていたことでしょうね。)
私的な評価と致しましては、
単なるガン告知の是非を問う映画ではなしに、移民である中国系アメリカ人としてのルーツやアイデンティティーに思いをはせながら、家族の重要性を伝えるような優しい気持ちにさせてくれる、実にこじんまりとはしていますが良作だと思いました。
さすがに、全米では当初わずか4館からの公開だったのが、クチコミで評判が広がり、大ヒットに繋がった作品だけあると思いました次第です。
ただ、お話しの展開に広がりがないので、オチにどんでん返しなどの意外性を求められると、それまでなので、悪しからず。
従いまして、五つ星評価的には★★★★(80点)の四つ星の高評価も相応しい作品かと思いました。
大津アレックスシネマ@otsualexcinemas
営業再開後、大津アレックスシネマが取材を受ける機会がありました~!ありがとうございます!激動×100の2020年も残り僅か!映画と琵琶湖と映画を愛する皆さまと共に駆け抜けます!|NHK 滋賀県のニュース https://t.co/G0vipu8G05
2020年11月18日 16:52
大津アレックスシネマ@otsualexcinemas
【上映終了日】 👏11/26(木)まで 🌅異端の鳥 🌅スペシャルズ! 🌅ある画家の数奇な運命 🌅フェアウェル 🌅82年生まれ、キム・ジヨン 今回、個性豊かな作品と共に大津アレックスシネマの営業再開となりました!厚く深く御礼申し上… https://t.co/P1KrcGrzYt
2020年11月19日 16:21
HALU6700@HALU7100
#大津アレックスシネマ で『#フェアウェル 』鑑賞。ガンと知らない余命短い祖母を思い、孫の結婚式をでっち上げ、親族一同でひと芝居打って中国に集まり再会を果たすという映画。「実話に基づく物語」という断り書きは映画の冒頭でよく見ますが… https://t.co/6kC57FQpKW
2020年11月18日 21:12
今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。


































