昨年の第77回ベネチア国際映画祭の金獅子賞、第45回トロント国際映画祭の最高賞の観客賞との史上初のダブル受賞をはじめ、本年度の第78回ゴールデングローブ賞の最優秀作品賞・最優秀監督賞など、世界各国の各映画賞を総ナメにしているロードムービーであり、本年度の第93回アカデミー賞作品賞の最有力候補作でもある本作品を、滋賀県大津市の大津アレックスシネマでも公開するとのことで、公開初日の3月26日(金)に鑑賞に出向いて来ました。
今年度の14本目の劇場鑑賞作品。
「現代の”遊牧民”的なロードムービー(21.3/26・2D字幕)」
ジャンル:人間ドラマ
原題:NOMADLAND
製作年/国:2020年/アメリカ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト:https://searchlightpictures.jp/movie/nomadland.html
上映時間:108分
上映区分:一般(G)
公開日:2021年3月26日(金)
原作:ジェシカ・ブルーダー
監督・脚本・編集:クロエ・ジャオ
キャスト:
フランシス・マクドーマンド / デヴィッド・ストラザーン / リンダ・メイ / シャーリーン・スワンキー / ボブ・ウエルズ 他
【解説】
「スリー・ビルボード」のオスカー女優フランシス・マクドーマンドが主演を務め、アメリカ西部の路上に暮らす車上生活者たちの生き様を、大自然の映像美とともに描いたロードムービー。
ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド 漂流する高齢労働者たち」を原作に、「ザ・ライダー」で高く評価された新鋭クロエ・ジャオ監督がメガホンをとった。
ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーンは、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。
キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。
毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。
2020年・第77回ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞、第45回トロント国際映画祭でも最高賞の観客賞を受賞するなど高い評価を獲得。
第78回ゴールデングローブ賞でも作品賞や監督賞を受賞。
第93回アカデミー賞で作品、監督、主演女優など6部門でノミネートされる。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)
この映画の原作小説である、ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション小説『ノマド 漂流する高齢労働者』は、私は未読です。
従いまして、「ノマド」という言葉の意味合いもこの映画を観て初めて知りました。
ノマドの人たちはホームレスではなく、路上での車上生活者であり「ハウスレス」だと自称しますが、アクシデントなどがあれば直ぐさまホームレス状態になってしまうリスクも伴う生き方という見方も出来るでしょうね。
さて、お話しの流れ的には、
ネバタ州のエンパイアという、かつて栄えた企業城下町が、リーマンショックの金融不況の煽りを受けた基幹産業が倒産し、町ごと閉鎖になり、長年住み慣れた家である社宅を失ってしまった60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、亡き夫の思い出をRV車に詰め込んで町を出て、現代のノマド(遊牧民)のごとく、路上に暮らす車上生活者として、働き口を求めて全米各地の季節労働の現場を渡り歩くのでした。
ひとつに、専門職の経験があったとしても、それを活かせるような職がほとんどなく、安い時給で単純な肉体労働に従事するしかなかったからでした。
駐車場代まで企業負担してくれるAmazonの物流配送センターで梱包作業などの短期の仕事に就いたかと思えば、あるときは国立公園のトイレ掃除からレストラン勤務や現場仕事まで行ない、仕事を終えれば、凍えるような屋外の駐車場にて車中泊をするのでした。
このような生活を目の当たりにして、正直、単純に「気の毒に」、と思いました。
真面目に生きてきた市民を車上生活に追いやる社会の仕組みについて痛烈に批判する作品なのだろうかと思いました。が、実は、そうではなかったのでした。
と言うのも、行く先々で出会う「現代のノマド」との交流を通して、ファーンは自分を縛っていたものから解放されていくのでした。
町、家、そして誰かの妻というポジションからも。
象徴的だったのは、ファーンの年季の入ったRV車の修理代を借りに、姉夫婦の家を訪れる一幕。
庭付きの一戸建ては整然としてはいますが、そのファーンの後ろ姿は、あたかも鳥かごの鳥のようでもありました。
何よりも空が狭く感じられ、ファーンが旅するアメリカ西部の荒々しい自然、広い空と、あからさまに対比されるのでした。
前者の生活には居心地の悪さを感じるファーンには、劇中の姉からの台詞にもありましたが、アメリカ人の気質、開拓者精神が流れていることが分かるのでした。
そして本作品の特徴としましては、ファーン役のフランシス・マクドーマンドと、ファーンに好意を寄せる男性デイブ役を演じたデヴィッド・ストラザーン以外は、実在するノマド自身が、ご本人として出演しており、つまりは演技素人の一般人。
そんな彼・彼女らに、クロエ・ジャオ監督は、ノマド自身のリアルな胸中をそのままに喋らせて、物語と調和させる手法を採用している点。
また、ファーン演じるフランシス・マクドーマンドのごくごくナチュラルな演技が非常に上手い点が相まって、フィクションとドキュメンタリーの境界を融解させて、あたかもドキュメンタリー映画のようでいて、原作小説のあるフィクションというのを忘れてしまうほどでした。
ドキュメンタリー映画なのかフィクションなのか分からないような作風の映画という点では、先日、劇場鑑賞した、KENTARO監督による日本・モンゴル・フランス合作、柳楽優弥さんとモンゴル人俳優アムラ・バルジンヤムが共に外モンゴルを旅するロードムービーの『ターコイズの空の下で』っぽい作りでもありました。
また本作品は、朝な夕なに表情を変える空の色や、雄大な自然の映像美が素晴らしいし、それを観るためだけに、大きなスクリーンで観る価値があるとも言えるでしょう。
中には、この映画を観て旅に出たくなった人もいるでしょうね。
しかし、だからといって本作品を、自由な魂の持ち主が、自由な生き方を選択する物語と前向きにのみ捉えるには、少しためらいもあります。
何故ならば、ノマド的生き方は、観ようによっては、そのようにしか生きられない人たちが、実社会から孤立していく物語の様にも見えるからです。
そう思って観ると、観光地で1人で記念写真を撮るファーンは終幕、まさに1羽の鳥にも重ねられるかも知れないですね。
私も学生時代に数ヶ月間に亘り、北海道を自転車で一周する1人旅に出たこともありますので、たしかに自由という言葉には憧れます。
しかしながら、一時的な1人旅ではなく、生き方として、果たして、ファーンのような路上での車上生活という生き方を選べるか、共感出来るかというと、また違うでしょうし、人生とは・・・。というか、観終わってからも、何かと自分の心の内に問いかけ考えさせられる複雑な気持ちにさせられる映画だったともいえるでしょうね。
私的な評価と致しましては、
(劇場パンフレットが制作自体ないため、Wikipediaからの情報によりますと)、先ずは、フランシス・マクドーマンドが、2017年に、いち早く、この原作小説の『ノマド 漂流する高齢労働者』を読んで、衝撃を受けたらしく、この作品の映画化権を購入するに至るほど惚れ込み、今作品の製作&主演を担う彼女のすごさ。
そして、素人を俳優に起用した作品は数多くある中、この映画の様に、本物のノマドご本人達による説得力のある演技によって、ドキュメンタリー映画とフィクションの境界を融解させ、映画という芸術の新たな側面を開拓した、監督・脚本・編集を担っている新鋭の中国出身の女性監督であるクロエ・ジャオ監督の手腕に他ならないほどに素晴らしい映画になっていたと思いました。
また、何よりも、クロエ・ジャオ監督を本作品の監督に抜擢した、プロデューサーとしてのフランシス・マクドーマンドにこそ、その先見の明があったということでしょうね。
来たる4月26日(月)に開催される本年度・第93回アカデミー賞授賞式にて、作品賞、監督賞、主演女優賞などノミネート6部門のうち、いったい幾つオスカーを獲得するかと思うほどの作品かと思いましたし、取りあえずは、(未だ分からないですが)、フランシス・マクドーマンドの主演女優賞の3度目のオスカー獲得は手堅いかとも思いました。
従いまして、オスカー獲得の賞レースの行方は別にしましても、作品の展開自体が静かで抑揚が少ないので、ともすれば眠たくなりそうな映画でもありましたが、前述しました通りに、雄大な自然の映像美に浸るばかりでなく、鑑賞後に、いろいろと自己の人生観についてなど考えさせられる様な映画でもありましたので、五つ星評価的には、★★★★★(100点)の満点評価も相応しい作品かとも思いました。
※またこの作品の出来映えを観る限り、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最新映画『エターナルズ』の監督にも大抜擢されているクロエ・ジャオ監督の手腕には期待大ですね。
シネフィルDVD@cinefilDVD
オスカー最有力「ノマドランド」の35歳音響技師が自死 クロエ・ジャオ監督らが追悼 : 映画ニュース - 映画.com https://t.co/N67lLIhlM4
2021年03月09日 17:53
HALU6700@HALU7100
#大津アレックスシネマ で公開初日に『#ノマドランド 』鑑賞。 現代のノマド(遊牧民)とも呼ばれる米国西部の路上に暮らす車上生活者たちの生き様を、雄大な大自然の映像美と共に描く秀作!フランシス・マクドーナンドのナチュラルな演技が素… https://t.co/qVpvwBunJg
2021年03月27日 07:47
大津アレックスシネマ@otsualexcinemas
【パンフレット販売について】 本作パンフレットの現時点での制作、販売はないとのことです。サーチライト作品なのでパンフレットを楽しみにしていた方には誠に残念なお知らせではございますが・・・本編を存分に堪能していただけましたら幸いです… https://t.co/4kmc2zs9Ic
2021年03月25日 18:47
今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。























































