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HALUの映画鑑賞ライフのBlog

~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

都心部の烏丸御池のアップリンク京都以外にも、京都市内で、クルマでも行ける、イオンシネマ京都桂川でも本作品を上映している事を知り、この機会に貯まっているdポイントを有効活用して鑑賞するべく、上映最終週の4月5日(月)に、年老いた父親と共に鑑賞に出向いて来ました。

 

今年度の16本目の劇場鑑賞作品。

 

率直な感想としましては、

単なるサッカー映画ではなく、あくまでも、サッカーを題材にしながらも、社会における男女のあり方を問う、ある種、ユーモアに富んだ社会派のハートフルコメディとも思える作品でしたので、サッカーファンのみならず、より広く多くの方々にも鑑賞して頂けたらと思うほどのオススメの逸品でした。

 

 

「サッカーを通して社会の男女のあり方を描くハートフルコメディ(21.4/5・2D字幕)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:Une belle equipe

製作年/国:2019年/フランス

配給:イオンエンターテイメント

公式サイト:https://qof-movie.com/

上映時間:95分

上映区分:一般(G)

公開日:2021年3月19日(金)

監督:モハメド・ハムディ

キャスト:

カド・メラッド / アルバン・イバノフ / セリーヌ・サレット / サブリナ・ウアザニ / ロール・カラミー / アンドレ・ウィルム / ギョーム・グイ / コリン・フランコ 他

 

 

【解説】

窮地に陥った名門サッカーチームを救うべく立ち上がった女性たちの奮闘を描いたフランス発のハートフルコメディ。

 

北フランスのサッカーが盛んな町クルリエール。名門チームSPACの試合中に乱闘騒ぎが起こり、主要メンバー全員が出場停止となった。このままでは残りのリーグが戦えずにチームは崩壊し、町が大打撃を受けてしまう。

 

不甲斐ない男たちに代わって立ち上がったのは、町の女たちだった。専業主婦、シングルマザー、セレブ妻、女子高生らサッカー未経験の彼女たちは、奇跡を起こすべく一致団結するが……。

 

出演は「コーラス」のカド・メラッド、「めぐりあう日」のセリーヌ・サレット、「TAXi ダイヤモンド・ミッション」のサブリナ・ウアザニ、女子サッカーのフランス代表として89試合に出場したコリン・フランコ。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

お話しの流れ的には、

サッカーが盛んな北フランスの町クルリエール。創部90年の伝統のあるチームSPACは、負け試合が続いていて、このままではチーム消滅の危機にありました。

 

 

そんな中、試合中に乱闘騒ぎが起こり、メンバー全員が出場停止処分となってしまいました。

メンバーが11人ギリギリしかいないので、このままでは残りのリーグ戦の試合を戦うことができません。

そうなれば今でも最下位なので、歴史あるチームは自動的に消滅してしまいます。

 

 

頭を抱えるコーチのマルコ(カド・メラッド)に、娘が言いました。「それなら女性でチームを作ればいいわ」と。

話にもならないとばかりに首を降るマルコでしたが、父親のパビー(アンドレ・ウィルム)からそれしか方法はないと言われ、チームの会合でそのことを提案してみました。

 

 

夫たちは反対しましたが、妻たちは「やるわ!」と手を挙げました。女性たちの勢いに押されマルコは選手集めに奔走。

専業主婦、シングルマザー、セレブ妻、女性警官、女子高生たちが集まりました。

 

 

やる気満々の彼女たちは練習を積み、いよいよ試合の日がやって来ました・・・。

 

といったイントロダクションの映画でした。

 

 

この「SPAC」というサッカーのクラブチームは、今でこそ選手数もぎりぎりの11人で、弱小チームに成り下がっていますが、創部90年の長い歴史を誇る名門で、なにより町のサッカーチームとして、人々の精神的支柱となってきただろうことは容易に想像できます。

 

ところが乱闘騒ぎのせいで選手全員が出場停止になり、さぁ大変! このままではチームが消滅の危機に瀕してしまいます!

これまでにも弱小チームが起死回生を狙って、秘密兵器を導入したり、様々な工夫で上昇しようという作品はありはしましたが、選手が男性から女性に一挙にガラッと入れ変わるという設定の作品が他にあったでしょうか。そこが本作品のユニークなところです。

 

 

女性たちは「私たちだってサッカーをしたいわ! これまでずっと付き合ってきたでしょう!?」と声を挙げます。

彼女たちだって、少女時代や学生時代にサッカーを少なからず経験しているのです。

なぜ大人になったら男性しかサッカーをプレイできず、縁の下の力持ち的役割しかやらせてもらえないの!? という心の底に鬱屈して蓄積されていた思いがここで爆発するのでした。

 

もちろん、フランスにも女性のプロサッカーリーグはありますが、それはまた別の次元の話。

 

 

町のサッカーチームを守るために集まってきた女性たちは、あっという間に打ち解けて仲良くなり、皆、活き活きとした姿を見せます。

観ていて非常に清々しいです。

 

 

チームのリーダー的役割を果たすステファニーに扮するセリーヌ・サレットや、夫の反対を押し切りチームに合流するセレブ妻を演じるロール・カラミーは、フランス映画をよくご覧になる方にはお馴染みの女優さんでしょう。

 

 

そんな彼女たちがピッチを走ってプレイする姿に驚かれるかもしれません。

 

 

また、元フランス代表サッカー女子選手でありながら、怪我で断念したという過去を持つシングルマザーの設定の女性役を演じているのは、サブリナ・ウアザニ。

日本ではNetflixの動画配信で視聴出来る『ブレイク 新しい私』(2018年)では、ダンサー役で素晴らしいパフォーマンスをみせていましたが、本作品では、サッカーボールのリフティングをはじめ、見事なボールさばきを見せており、その多才さに感心させられましたね。

 

 

また、本作品は女性たちの映画であると共に男性たちが日々の生活を振り返る映画でもあります。

 

彼らは一様に妻や他の女性が試合に出ることに反対します。

妻が相手チームの男と接触するなんて許せないという嫉妬深い人もいれば、そもそも女にサッカーなんて無理だという人も。

 

都市部に比べ、田舎のほうが保守的である土地柄のせいなのでしょうか、チームや自分を支えてもらいたいけれど、ピッチに立たれては困るというのが、どうやら本音のようです。

 

 

しかし、チーム存続のために仕方なく妻たちを送り出すことになる夫たち。

毎晩練習に妻たちが行ってしまうと子育てを一手に引き受けなくてはならなくなり、その大変さに悲鳴をあげます。

どうやら彼らはこれまで妻にまかせっきりでまったく子育てや家事を行っていなかったようです。

 

 

こうした日常生活の変化がユーモアたっぷりに描かれ、思わず吹き出してしまう場面も満載ですが、モハメド・ハムディ監督は社会における、このような男女における役割のあり方に対しての問題提起を物語に込めているかのようでした。

 

 

また、中には本格的に女性たちの練習の邪魔をしようとする男たちも現れます。

そんな彼らが一体どのように変化していくのかも本作品の見どころのひとつです。

 

 

そして、サッカーがテーマの映画とくれば、当然の事ながら、試合シーンが肝となってきます。

本作品では、実際にプレーしている姿をカットをあまり割らずに撮っており、非常に臨場感のあるものに仕上がっています。

巧みな編集で盛り上げたり、あえてクローズアップを用いていかにもそれらしく見せることは可能でしょうが、それらの手法も、実際に女優たちを一所懸命に走らせて、本物を撮るのには敵わないでしょうね。

 

私も実際に映画を観ながらそうでしたが、フランスを代表する名女優たちがボールを巧みに回し、切り込んでいき、シュートし、ゴールキーパーに止められて、さらに攻めていく光景には、思わず興奮し手に汗握ってしまうことでしょうし、声を挙げて応援したくなるほどでした。

 

 

また、サッカー大国フランスの地方におけるサッカー文化を知る上でも本作品は貴重な作品とも言えるでしょうね。

 

 

 

見どころ的には、「女子サッカー元フランス代表DFのコリン・フランコも加わったサッカーシーン」との謳い文句でしたが、実際には、意外にも面白いことに、劇中、元フランス代表サッカー女子選手でありながら、怪我で断念したという過去を持つ女性役を演じていた、サブリナ・ウアザニの方が、サッカーの素人ながらも、器用に、サッカーボールのリフティングをはじめ見事なボールさばきを魅せてくれており、女子サッカー元フランス代表DFのコリン・フランコよりも、むしろサッカーテクニック面では目立っていましたね。

 

 

私的な評価と致しましては、

単なるサッカー映画ではなく、ユーモアたっぷりに描かれ、思わず吹き出してしまう場面も満載ですが、モハメド・ハムディ監督は社会における、社会の男女における役割のあり方に対しての問題提起を物語に込めているかのようでもある点からも、ある種、ユーモアに富んだ社会派のハートフルコメディとも思える作品でしたので、サッカーファンのみならず、より広く多くの方々にも鑑賞して頂けたらと思うほどの逸品でした。

 

上映時間も95分間とサクッと見られる映画でしたので、是非ともオススメしたい映画のひとつとなりました。

 

つきましては、五つ星評価的にも、文句なしに満点評価が相応しい、★★★★★(100点)の五つ星評価の作品かと思いました次第です。

 

○映画『クイーンズ・オブ・フィールド』予告編

 

 

○映画公開記念!『クイーンズ・オブ・フィールド』× WE LEAGUEコラボ動画 【絶賛上映中!】

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。

この『スパイの妻』は、そもそもは、NHKのBS8K用の番組として製作されたラブ・サスペンスドラマですが、その8KTVの放送分から、1分間のみ追撮した<劇場版>として、昨年2020年に、第77回ベネチア国際映画祭の監督賞(銀獅子賞)を「もうひとりの世界のクロサワ」とも称される、黒沢清監督が、日本人監督として17年振りに受賞。

 

今回、その栄誉を祝して、NHKのBSプレミアム&BS4Kにて再放送がなされる運びになった模様です。

 

つきましては、昨年に、NHKの8Kドラマとして、或いは、劇場にて<劇場版>をご覧になられておられない方々は、是非、この機会にご視聴なされては如何かと思います次第です。

 

※月9ドラマなど裏番組をご視聴予定の方々は、是非、予約録画をお勧めします。

 

 

【放送時間】:

2021年4月12日(月) 21:00~22:55 

NHK・BSプレミアム&BS4K

【出演者】:

蒼井優、高橋一生、板東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史

【原作・脚本】:

濱口竜介、野原位

【監督】

黒沢清

【音楽】

長岡亮介


○『スパイの妻<劇場版>』90秒予告編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。

第93回アカデミー賞候補作の『ノマドランド』と共に、滋賀県大津市の大津アレックスシネマで公開されている、同じく本年度アカデミー賞で6部門の候補作の『ミナリ』を、3月30日(火)に鑑賞に出向いて来ました。

 

今年度の15本目の劇場鑑賞作品。

 

 

「韓国系移民の家族の成長譚(21.3/30・2D字幕)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:MINARI

製作年/国:2020年/アメリカ

配給:ギャガ

公式サイト:https://gaga.ne.jp/minari/

上映時間:116分

上映区分:一般(G)

公開日:2021年3月19日(金)

監督・脚本:リー・アイザック・チョン

キャスト:

スティーブン・ユァン / ハン・イェリ / アラン・キム / ネイル・ケイト・チョー / ユン・ヨジョン / ウィル・パットン / スコット・ヘイズ

 

 

【解説】

1980年代のアメリカ南部を舞台に、韓国出身の移民一家が理不尽な運命に翻弄されながらもたくましく生きる姿を描いた家族映画。

 

2020年・第36回サンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞した。

 

農業での成功を目指し、家族を連れてアーカンソー州の高原に移住して来た韓国系移民ジェイコブ。

荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを目にした妻モニカは不安を抱くが、しっかり者の長女アンと心臓を患う好奇心旺盛な弟デビッドは、新天地に希望を見いだす。

やがて毒舌で破天荒な祖母スンジャも加わり、デビッドと奇妙な絆で結ばれていく。

しかし、農業が思うように上手くいかず追い詰められた一家に、思わぬ事態が降りかかり……。

 

父ジェイコブを「バーニング 劇場版」のスティーブン・ユァン、母モニカを「海にかかる霧」のハン・イェリ、祖母スンジャを「ハウスメイド」のユン・ヨジョンが演じた。

韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョンが監督・脚本を手がけた。

 

第78回ゴールデングローブ賞では、アメリカ映画だが大半が韓国語のセリフであることから外国語映画賞にノミネートされ、受賞を果たす。

第93回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞など計6部門にノミネート。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

1980年代のアメリカ南部のアーカンソー州を舞台に描かれる、農業での成功を夢見る韓国系移民の男とその家族の物語。

そして、「ミナリ」とは、韓国の食卓でも一般的な香味野菜の「芹(セリ)」を意味します。

 

監督・脚本は、1978年生まれの韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョン。

 

監督の子供時代の体験を投影した半自伝的作品で、アメリカ映画ながら台詞の多くが韓国語という仕立てながら、昨年のサンダンス映画祭でのグランプリと観客賞のダブル受賞をはじめ高評価を集め、本年度・第93回アカデミー賞では、作品、監督、脚本、作曲、主演男優(スティーブン・ユァン)、助演女優(ユン・ヨジョン)の6部門で候補になっています。

 

 

予告編を観ていた時に普通に韓国映画だと思っていたのですが、オープニングでA24、そして、PLAN Bと表示されて、『ムーンライト』の映画スタジオA24とブラッド・ピットの映画製作会社プランBが製作したアメリカ映画だということに私も気がつきました。

 

単にアメリカンドリームを追いかける移民を描く映画ではなく、いとおしく映し出されるのは、ときに滑稽で時に哀切な家族の情景。

どこか他人を観ているような気がしない作品でした。

 

 

お話しの流れ的には、

かつての監督自身のようなデビッド(アラン・キム)は7歳。

父ジェイコブ(スティーブン・ユァン)、母モニカ(ハン・イェリ)、姉アン(ネイル・ケイト・チョー)と、カルフォルニアから、アーカンソーの片隅の荒れ地のトレーラーハウスに引っ越してきたのでした。

 

 

父は、同胞の移民が増える中、そこに韓国野菜の農場を作れば成功できると踏んだのでした。

しかし、母は不満。町からは遠く不便だし、心臓に疾患のあるデビッドに何かあったら心配なこともありますが、何よりも夫の独断専行が許せないのでした。

 

 

ともあれ、カリフォルニアから引っ越してきた先のアーカンソーでも、先ずは孵卵場でヒヨコの雌雄鑑別作業のために共働き。

両親は、子供達のためにモニカの母、スンジャ(ユン・ヨジョン)を韓国から呼び寄せるのでした。

 

 

祖母のスンジャは、料理が苦手で、花札が得意で、畑の向こうの水辺にミナリの種を勝手に植えるのでした。

雑草みたいにどこでも育つミナリは「本当にワンダフルなんだよ」と言いながら。

最初はそんな祖母を嫌がっていたデビッドは徐々に心を開いていくのでした。

 

 

家族の物語は、父と子、それぞれの成長譚でもあります。

ジェイコブは、「家長」として「男は役に立ってこそ」と思っているふしがあって、孵卵場で廃棄処分として焼却されてしまうヒヨコのオスの様にはなりたくないと、這い上がろうと必死でしたが、次々と困難に直面するのでした。

 

 

でも、果たして人生で大事なのは成功だけなのか。すぐそばにささやかながら大切なものがあるのではないかと。

母モニカの言動、祖母スンジャの存在、そして「ミナリ」は、登場人物だけでなく観客の価値観をも問うのでした。

 

というようなイントロダクションの映画でした。

 

率直な感想としましては、

終盤まで、これといった大きな事件も起こらないですし、お話し自体に抑揚も少ないので、ともすれば眠たくなってしまうような映画とも思えました。

 

▲私の一族の逸話の様でもある、映画『バンクーバーの朝日』(2014年)。

 

○映画『バンクーバーの朝日』(2014年)予告編

 

 

そしてまた、私事で恐縮ではありますが、私の一族も、あの日本映画『バンクーバーの朝日』(2014年)の如く、私の曾祖父と祖父が第二次世界大戦前に、カナダに渡航後、製材業の出稼ぎ労働をして稼いでくれたお蔭で、今の私たちの生活があるといった、昔の在カナダ日系移民の出稼ぎ時代の苦労話を、幼い頃から聴かされて育ったので、今回の映画も、私の一族の様に、在カナダ日系移民との違いはあれども、韓国系移民の家族がアメリカで差別と偏見や迫害を受けながらも成長していくお話しかと思っていましたが、全く違っていて、むしろ周囲のアメリカ人も移民に対してとても親切で温かいお話しでしたので、その点では予想外で、良い意味合いで、少々肩透かしではありました。

 

 

とは言え、映画自体は全米を代表する映画批評家サイトのロッテントマトメータ(批評家支持率)が100%フレッシュを記録し続けるほど、或いは全米各地の映画賞を総ナメにし、本年度・第93回アカデミー賞で6部門もノミネートされるほどに凄い作品だったかというと、私にはそこまで素晴らしいと感じられる映画ではなかったのが正直な感想でした。

 

そういう意味合いでは、私にとっては特段、韓国移民の家族の成長譚を描いた普通の映画にしか感じ取れなかったです。

 

 

でも、映画評論家・町山智浩さんの「映画ムダ話『ミナリ』(2020年)」のpodcast(ポッドキャスト)によりますと、この『ミナリ』は、キリスト教の旧約聖書からインスパイアされた隠喩が至る所に込められてある作品である旨の解説を聴き、この映画がキリスト教圏のお国柄だからこそ、全米でこんなにもこの作品がウケて、高評価で、様々なアメリカの映画賞を受賞しているのかが何だか腑に落ちました。

この町山智浩さんの映画評については、リー・アイザック・チョン監督もインタビューで聖書との関連にも言及していることからも、それなりに妥当な解釈とも思えました。

 

裏返せば、アメリカや欧州以外の非キリスト教圏の国々の観客においては、監督の意図が充分には伝わらないケースもあるのではないでしょうか。

私は、聖書由来の背景を後から理解はしたものの、あくまでも自己の知識欲が満たされたに過ぎず、キリスト教徒であれば当然に享受するであろう感動までは体感出来てはいないでしょう。

しかし、これは文化の違いによる限界で、観る側の理解力の無さとは違う要因だと思いたいですね。

 

 

私的な評価と致しましては、

おそらく本作品の旧約聖書からの隠喩などにより、キリスト教徒であれば享受するであろう感動が得られず、監督の意図する面白さ度合いも、かなり半減しているのかも知れないですが、それなりに面白く、ときに滑稽で時に哀切な韓国系移民の家族の成長譚として観る事が出来ましたので、五つ星評価的には、高評価ながらも★★★★(80点)の四つ星評価くらいが相応しい作品かと思いました次第です。

 

 

 

○町山智浩の映画ムダ話『ミナリ』(2020年)Podcastの予告編

 

 

 

※、尚、町山智浩さんが内容転載OKである旨言及されていましたので、自分用の備忘的意味合いも兼ねて、ごく一部(podcastは本作の話だけで70分あります)についての解釈の内容を書いておきます。

【ジェイコブ】
ヤコブ。サタンに神への信仰を試され、様々な苦難に会う。神の祝福を得るため天使と格闘し、祝福を勝ち取ってユダヤ人の始祖となる。キリストは、彼が掘ったとされるヤコブの井戸に立ち寄った後ガリラヤで病気の子供を救う。また、ヨハネ福音書「ひとりが種を蒔き、ほかの者が刈り取る」に掛けて、移民1世代目が苦労し、2世代目以降がその成果を享受することをジェイコブが体現する。

チョン監督の父親(移民)がモデル。なおチョン監督の韓国名イサクはヤコブの父親の名前。

 


 

【ポール】
聖パウロ。知恵で神を知ることは出来ない(コリント人への手紙)という記述から作中のような人物設定にした。

 


 

【デビッド】
ダビデ王。イスラエルに繁栄をもたらす王でヤコブの末裔。子供の頃のリー・アイザック・チョン監督がモデル。

 

【冒頭の引越トラック】
側面の会社名CATHER TRACK RENTALは、アメリカの小説家Willa Catherから。チョン監督が本作を作るきっかけになった「私のアントニーア」作者。

 

【トレーラーハウス】
ノアの方舟。ハリケーンが洪水にあたる。

 


 

【モニカのジェイコブへの批判】
約束の地になかなか辿り着かないモーゼに対する民の反乱。

 

【川のほとりに育つミナリ】
出エジプト記で神がモーゼの祈りに応じ天から降らせたマナという食物。イザヤ書44章で神がヤコブに語った内容にも掛けてある(神が乾いた地に水を注ぎ、ヤコブの子孫が恵みを受け、流れのほとりの柳のように育つ)。川辺に蛇が現れるのはエデンの園がモチーフ。

 


 

【祖母スンジャ】
運命そのものの象徴、神の化身。不幸や幸福をもたらす。病を治す(不安がるデビッドを抱きしめて眠った後スンジャが病み、おねしょをした。デビッドは病が改善した)。家族をひとつにする(火事によって結果的に家族の絆が復活する)

 

【太陽の映像】
神の奇跡の象徴。劇中には太陽の映るシーンが3回あり、その都度奇跡が起こる。

 

【ダウジングで発見した水源にジェイコブが置く石】
ヤコブが神からイスラエルの名を受けた時に建てた祭壇。

 

○【公式】『ミナリ』3.19(金)公開/本予告

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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