『さかなのこ』(2022年) #のん #さかなクン #沖田修一 #柳楽優弥 #磯村勇斗 #井川遙 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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9月1日(木)に公開を開始した作品ですが、TwitterなどSNS上で多くの方々からの高評価を基にした支持をジワジワと得ている割りには、何故だか公開している劇場での上映回数が公開2週目には激減しているみたいでしたので、私は当初は本作は観る予定をしていなかったのですが、公開から14日目の9月14日(水)に、慌てて、年老いた父親と一緒に、滋賀県草津市のイオンシネマ草津までクルマに乗って劇場鑑賞に出向いて来ました。

 

 

今年度の33本目の劇場鑑賞作品。

(※今年度のイオンシネマ草津での15本目の劇場鑑賞作品。)

 

 

 

「懸命に生きる姿に感銘(22.9/14・2D劇場)」

ジャンル:ファンタジー/人間ドラマ

製作年/国:2022年/日本

製作会社:「さかなのこ」製作委員会

制作:東京テアトル/ジャンゴフィルム

配給:東京テアトル

公式サイト:http://sakananoko.jp/

上映時間:139分

上映区分:一般(G)

公開日:2022年9月1日(木)

原作:さかなクン『さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!~』(講談社青い鳥文庫刊)

音楽:パスカルズ

主題歌:CHAI「夢のはなし」

脚本:沖田修一 / 前田司郎

監督:沖田修一

キャスト(配役名):

のん(ミー坊:さかなクン) / 柳楽優弥〔ヒヨ) / 夏帆(モモコ) / 磯村勇斗(総長) / 岡山天音(籾山) / 西村瑞季(ミー坊:幼少期) / 宇野祥平(おさかなショップ「海人」の店長) / 前原滉(ツッパリ) / 鈴木拓(鈴木先生) / 島崎遥香(ヒヨの恋人) / 賀屋壮也:かが屋(水族館の先輩飼育員) / 朝倉あき(番組アシスタント) / 長谷川忍:シソンヌ(番組MC) / 豊原功補(歯科医) / 中須翔真(ヒヨ:幼少期) / 増田美桜(モモコ:幼少期) / さかなクン(ギョギョおじさん) / 三宅弘城(ジロウ::父) / 井川遥(ミチコ:母) 他

 

 

 

 

 

【解説】

魚類に関する豊富な知識でタレントや学者としても活躍するさかなクンの半生を、沖田修一監督がのんを主演に迎えて映画化。

「横道世之介」でも組んだ沖田監督と前田司郎がともに脚本を手がけ、さかなクンの自叙伝「さかなクンの一魚一会 まいにち夢中な人生!」をもとに、フィクションを織り交ぜながらユーモアたっぷりに描く。

小学生のミー坊は魚が大好きで、寝ても覚めても魚のことばかり考えている。父親は周囲の子どもとは少し違うことを心配するが、母親はそんなミー坊を温かく見守り、背中を押し続けた。

高校生になっても魚に夢中なミー坊は、町の不良たちとも何故か仲が良い。

やがてひとり暮らしを始めたミー坊は、多くの出会いや再会を経験しながら、ミー坊だけが進むことのできる道へ飛び込んでいく。

幼なじみの不良ヒヨを柳楽優弥、ひょんなことからミー坊と一緒に暮らすシングルマザーのモモコを夏帆、ある出来事からミー坊との絆を深める不良の総長を磯村勇斗が演じる。

原作者のさかなクンも出演。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

  率直な感想。

 

率直な感想としましては、

軽やかなタッチに悲哀も加え、ファンタジックな世界観で陰影深く仕上げた、のんさん主演にて沖田修一監督節が炸裂の笑いあり涙ありの大傑作!だと思いました。

劇中に心底悪いキャラクターが一切誰も登場しない、実に心優しい映画でもありました。

 

 

独特なハコフグ帽子をかぶり、魚をはじめ水棲生物への愛を発信し続けるタレント・さかなクンの自伝的エッセイ『さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!~』を原作に、さかなクンの半生を、のんさん主演で映画化ということでしたので、いったいどんなお話しになるかと思いましたが、ギョギョっと、良い意味で裏切られました。

 

あの映画『横道世之介』(2013年)の沖田修一監督×前田司郎脚本のコンビに、中性的で透明感もある、のんさんが、さかなクンの分身・ミー坊に扮し演じたことで、良い塩梅で化学反応を起こしてくれていました。

 

 

  男か女かは、どっちでもいい!

 

主人公のさかなクンの分身は、魚をはじめ水棲生物が大好きなミー坊。

 

 


ミー坊は、小学生の頃から、お魚たちの生態を几帳面なイラストで紹介する新聞を作成し、高校では、カブトガニの人工孵化に成功し、新聞社やテレビ局の取材を受けるほどでした。

 

 

高校生以降のミー坊を、のんさんが演じていますが、学生服で登場されても、特に違和感もない。

冒頭の筆文字による、ミー坊は「男か女かは、どっちでもいい!」という前提のもと、お話しは進んでいきますが、この”どっちでもいい”というスタンスが非常に良くて、のんさんの、はつらつとした姿に透明感のある中性的な印象や、不思議な雰囲気も相まって、むしろハマリ役とも言えるかも知れないですね。

 

 

不良たちの抗争に巻き込まれても、ドタバタ劇の末に魚たちへの愛に彼らを巻き込んで、感化させてしまうのでした(笑)

 

 

 

けれども、好きなだけでは生活はできない。

実際に、社会に出たミー坊は、水族館で働いていても、失敗続きでクビになってしまうのでした。

世間に馴染むことが出来なくても、ミー坊は内心を全く語らない。

その不安や孤独感を、夜中に部屋で一人、クレヨンで魚の絵を描く姿などに重ねて、その心象風景を投影し、そこに、のんさんをただ淡く漂わせたのでした。

 

 

更にまた、ミー坊を取り巻く家族の問題もあるようでしたが、沖田修一監督はその事情をあえて深く明らかにはせずに、物語の背景の端々に悲しみを溶け込ませていました。

 

 

ミー坊や不良たちは、謂わば、世間からのはみ出し者とも言えるでしょう。

そんなままならない人生を懸命に生きる彼らに、沖田修一監督は、この作品を通してエールを送るのでした。

 

 

 

 

  好きこそ物の上手なれ」の体現者。

 

そしてミー坊は、ただひたすらお魚が大好きというパワーのみで世間に風穴を開けていくのでした。

その変わらぬ「好き」を貫く姿勢や過程が気持ち良く、清々しくて、まさに痛快作そのものでした。

 

 

それにしても、ミー坊の場合には、不良たちにイジメられることもなく、逆に、彼らの力添えもあって、おさかな博士になる夢に邁進していく過程が実に逞しく、また羨ましくもあったのでした。

 

 

  理想的な鑑(かがみ)のような母親像を井川遥さんが好演。

 

そして、また幼い頃から、ミー坊の個性的な性格を大事に伸ばし、温かく見守り、背中を押し続けていってくれた母親のミチコ役の井川遥さんが、実に理想的な鑑(かがみ)のような母親像を年相応な役回りで好演されていました。

 

 

幼馴染の不良のヒヨを柳楽優弥さん。ひょんなことからミー坊と一緒に暮すことになるシングルマザーのモモコを夏帆さん。ある出来事からミー坊との絆を深める不良の総長を磯村勇斗さんなど、脇を固める俳優も豪華布陣。

 

 

 

  原作者さかなクンも重要な役回りで出演。

 

原作者のさかなクンも、謎の人物・ギョギョおじさん役で出演。

単なる遊び心のある起用かと思いきや、実は物語に欠かせない超重要人物。しかも、さかなクンが演じるからこそ成立しているキャラクター。

ただ単に原作者を出演させるのではなく、しっかりとした形でフィクションに取り入れることにも成功していた作品だったと言えるでしょう。

 

 

観終わった後に、ファンタジックな世界観も相まって、実に、ほっこりとした温かくも爽快な気分に浸らせてくれる素敵な映画でした。

 

 

  私的評価:★★★★★(100点満点)。

 

従いまして、私的な評価としましては、

SNS上での高評価の噂に違わぬ出来映えで、五つ星評価的にも、満点以上にも値する★★★★★(100点満点)の評価が相応しい作品だったと思いました。

 

沖田修一監督×前田司郎脚本による、独特なシュールな笑いもさることながら、主演に、のんさんを据えるキャスティングなしには本作の成功が考えられなかったとも言えるほど、彼女あっての本作ではないかと私は思いました。

 

また、未だに、のんさんが退所した大手芸能事務所に忖度をしてなのか、のんさんのこの活躍ぶりを大々的に報道しない民放テレビ各局の姿勢には、実に歯痒いばかりですが、日本映画界にとって、貴重なコメディアンヌである事は確かなので、今後も、のんさんには頑張って欲しいです!

 

▲『さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!~』(本体:820円+税、講談社青い鳥文庫刊)

 

※あまりに映画の印象が良かったので、また先日逝去された、故・アントニオ猪木さんの追悼特集号の『週刊プロレス』がネット通販をはじめ何処を探しても在庫がないのもあり、TSUTAYAの本屋さんに行った際に、さかなクンの自伝的エッセイの『さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!~』も、漢字に総ルビ付きの児童向け書籍に分類されていましたが、直ぐさま購入してきました(笑)

 

 

 

 

 

 

○絶賛の声続々!映画『さかなのこ』コメント特別映像【大ヒット上映中!】

 

 

 

○CHAI - 夢のはなし (Official Music Video)

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。