『カモン カモン』(2021年) #Tジョイ京都 #カモンカモン #ホアキン・フェニックス | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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今更ながらですが、4月22日(土)公開作品で、公開四日後の4月25日(月)に、年老いた父親と共に、京都駅八条口のイオンモールKYOTO内にある大型シネコンのT・ジョイ京都で観た映画ですが、あくまでも個人的な備忘録として、当該ブログにも、本作品の感想も記録に残しておきたいと思います。

 

 

今年度の17本目の劇場鑑賞作品。

(今年度のT・ジョイ京都での1本目の劇場鑑賞作品。)

※本作の鑑賞当時の鑑賞本数。

 

 

 

「突如始まった甥っ子との奇妙な共同生活(22.4/25・2D字幕)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:C'mon C'mon

製作年/国:2021年/アメリカ

配給:ハピネットファントム・スタジオ

公式サイト:https://happinet-phantom.com/cmoncmon/

上映時間:108分

上映区分:一般(G)

公開日:2022年4月22日(金)

脚本・監督:マイク・ミルズ

キャスト(配役名):

ホアキン・フェニックス(ジョニー) / ウディ・ノーマン(ジェシー) / ギャビー・ホフマン(ヴィヴ) / スクート・マクネイリー(ポール) / モーリー・ウェブスター(ロクサーヌ) / ジャプーキー・ヤング=ホワイト(ファーン)

 

 

【解説】

「20センチュリー・ウーマン」「人生はビギナーズ」のマイク・ミルズ監督が、ホアキン・フェニックスを主演に、突然始まった共同生活に戸惑いながらも歩み寄っていく主人公と甥っ子の日々を、美しいモノクロームの映像とともに描いたヒューマンドラマ。

 

ニューヨークでひとり暮らしをしていたラジオジャーナリストのジョニーは、妹から頼まれて9歳の甥ジェシーの面倒を数日間みることになり、ロサンゼルスの妹の家で甥っ子との共同生活が始まる。

好奇心旺盛なジェシーは、疑問に思うことを次々とストレートに投げかけてきてジョニーを困らせるが、その一方でジョニーの仕事や録音機材にも興味を示してくる。

それをきっかけに次第に距離を縮めていく2人。

仕事のためニューヨークに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが……。

 

「ジョーカー」での怪演でアカデミー主演男優賞を受賞したフェニックスが、一転して子どもに振り回される役どころを軽やかに演じた。

ジェシー役は新星ウディ・ノーマン。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

 

子ども目線。安易に口にしてしまいがちな言葉ですが、大人たちは子どもの気持ちをどこまで本当に分かっているのだろうか。

 

 

ジョニー(ホアキン・フェニックス)はラジオのジャーナリストで、子どもたちにインタビューをして収録するのが仕事。そんな彼が9歳になる甥っ子、ジェシー(ウディ・ノーマン)を預かることになるのでした。

 

 

ジョニーの実妹で、ジェシーの母親ヴィヴ(ギャビー・ホフマン)が、心が病んだ別居中の夫ポール(スクート・マクネイリー)の面倒を看なければならなくなったからでした。

 

 

ジョニーとジェシーは1年ほど疎遠でした。

しかも、幼いながらも知性的なジェシーは、大人の言動に敏感に反応し、反発したり、からかったりするのでした。

そんな甥っ子との距離を少しでも縮めようと努力するのでしたが、なかなか上手くいかないのでした。

 

 

しかし、この映画の真骨頂は、まさにそこにあるのでした。

大人はそう簡単に子どものことは分からない。子どもの方だって、自分のことを全て分かってもらえるなんて思ってはいない。むしろ、相手のことが分からないということ自体をお互いに知らないといけないだろう。

そのためには、向き合って話すこと。対話こそが大事なのだ、と教えてくれる。

 

 

ジョニーがインタビューする子どもたちは、アメリカ社会が抱える根深い問題や自分たちの未来について誠実に答えてくれる。

実際にホアキン・フェニックスが取材をして、インタビューしている映像が使用されており、その意味ではドラマ部分とドキュメント部分とのハイブリッドな構成となっており、それらは決して作り物ではなく、また、大人も顔負けなほど、冷静で、現実の社会の問題点をしっかりと見つめており、絶望もしていなければ過度な期待もしていない、真剣な凜とした言葉が胸に響いてきます。

 

ジョニーもそんな彼らの言葉には共鳴しているはずでしたが、甥っ子のジェシーとはなかなか心が通じ合わないのでした。

 

 

甥っ子のジェシーのその心の複雑さは、関係がギクシャクしている彼の両親におそらく起因しているのでしょうね。

 

マイク・ミルズ監督は、『サムサッカー』(2005年)でナイーブな青年、『人生はビギナーズ』(2010年)では同性愛者であることを隠してきた父親、『20センチュリー・ウーマン』(2016年)ではシングルマザーに共感のまなざしを向けてきました。彼らは恵まれない環境や無理解に悩み、もがく人たちであり、本作のジェシーと両親も同様の設定だと思われました。

 

 

また、ドラマの場所は、ジョニーが独り暮らしをしているデトロイトから始まり、実妹ヴィヴがジェシーと住むロサンゼルスへと移り、そしてジョニーのインタビューの仕事の関係で、ニューヨークのチャイナタウンへ。さらにはハリケーンで甚大な被害を受けたニューオリンズへと歩みを進めて行きます。

 

 

その点では、ある意味ロードムービー的な趣の作品にもなっています。

 

 

そして、その場所場所で映し出される街並みを遠景で大胆に切り取ったモノクロの映像があたかも絵葉書のようで、実に美しかったです。

 

 

 

また、画面をモノクロにトーンを統一することで、各都市における色合いの違いをあえて感じさせない効果を生んでいながら、各都市の子どもたちへのインタビューの具体的な内容自体により、その街々の個性を際立たせているかのようでもあり、その点でも効果的で良かったです。

 

 

そして、そんなジョニーと甥っ子のジェシーがたどり着く結論は至ってシンプルでした。

問題が完全に解決をしたわけでもないのですが、とりあえずは前に進んでいくしかない。

それこそ「カモンカモン」。「先へ先へ」でした。

 

 

 

ジョニーがジェシーをおぶって、歩き出す。見えない距離を解消した二人の姿は爽やかな感動をもたらし、天才バカボンのパパではないですが、誰もが「これでいいのだ!」と納得することでしょう。

 

 

私的な評価としましては、

今回、ジョニー役のホアキン・フェニックスは、久し振りに至って普通の大人を演じていたのですが、本作では、実に優しい人柄に帯びていて適役だったと思いました。

 

またジェシー役を演じたウディ・ノーマン君は、大人びて大人を試すような嫌なところと、ただひたすら愛情を求める可愛らしさの両方を絶妙なバランスで表現していて、新人子役ながらすごく感心させられました。

ジェシーが読み聞かせに、ジョニーに何度も『オズの魔法使い』の本を読ませるシーンは実に子どもらしくて可愛かったですね。

 

でも、本作では、ジョニー(ホアキン・フェニックス)によるインタビューに真摯に答えていた一般の子どもたちにこそ拍手を贈るべきなのかも知れないですね。

 

 

文学作品からの一文の引用など、一部日本語字幕からは読み取るには、やや響きにくい場面もありはしましたが、さして派手さもない映画ですが、前述しましたように、独身の伯父と幼い甥っ子が、互いに胸襟を開く事が出来ない頑なさや不器用さを持つといった主人公二人の演技が特に秀逸で、私自身も心の病を抱えている身でもあるため、精神的疾患を持つ設定のジェシーの父親ポールの境遇も他人事と思えなかったですし、その点でも、心を深く揺り動かされる作品でもありました。

 

従いまして、五つ星評価的には、ほぼ満点の★★★★☆(90点)の高評価も相応しい作品だったかと思いました次第です。

 

○映画『カモン カモン』本予告(100秒)|4月22日(金)全国公開

 

 

 

 

○映画『カモン カモン』絶賛公開中|ホアキン・フェニックスが優しく子供に読み聞かせ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。