『万引き家族』(2018年) #イオンシネマ草津 #樹木希林 #パルムドール受賞 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

公開3日目の今年の6月10日(日)に、カンヌ国際映画祭でのパルム・ドール受賞効果による、満席完売を懸念して、その前日にイオンシネマ草津で直接チケットを購入して劇場鑑賞してきた、もうかれこれ3ヶ月前に観た映画ではありましたが、昨夕に、この作品の出演者の中の祖母・初枝役を演じてられていた日本を代表する名女優の樹木希林さんが、9月15日(土)に逝去されたという訃報を知り、(実質的には、遺作としては来たる10月公開予定の『日日是好日』が相当するのですが)、是枝裕和監督作品の常連俳優として出演され、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドール賞を受賞された本作については、私は、未だにブログ記事化していなかったので、今更ながらではありますが、今回、色んな人達のブログ記事などに私がコメントをした文章や自分の残したTweetやメモ書きなどを中心にしながら、当時の自分の感想を再構築し、ブログ記事として備忘録的に残しておきたいと思います。

 

 

 

「現代の日本の社会問題の縮図(18.6/10)」

ジャンル:人間ドラマ

製作年/国:2018年/日本

配給:ギャガ

公式サイト:http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/

上映時間:120分

公開日:2018年6月8日(金)

監督:是枝裕和

キャスト:

リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒方直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林

 

PG12

 

 

【解説】

「三度目の殺人」「海街diary」の是枝裕和監督が、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の姿を通して、人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマ。

 

2018年・第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、日本映画としては1997年の「うなぎ」以来21年ぶりとなる、最高賞のパルムドールを受賞した。

 

東京の下町。高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。

そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。

息子とともに万引きを繰り返す父親・治にリリー・フランキー、初枝役に樹木希林と是枝組常連のキャストに加え、信代役の安藤サクラ、信代の妹・亜紀役の松岡茉優らが是枝作品に初参加した。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

『誰も知らない』(2004年)、『そして父になる』(2013年)など様々な家族の在り方を描き続けてきた是枝裕和監督の、長編14作目にして、新たな発想で<家族とは何か>を問う意欲作であり、まさに集大成的な作品。

2018年・第71回カンヌ国際映画祭でグランプリよりも上の最高賞パルム・ドールを受賞した作品です。

 

 

本作品で描かれるのは、東京の下町に住む、貧しいけれども明るい5人家族。

そこには、日雇い労働者の父・治(リリー・フランキー)と、クリーニング店のパート勤務の妻・信代(安藤サクラ)、息子の祥太(城桧吏)、信代の妹・亜紀(松岡茉優)、祖母の初枝(樹木希林)がいました。

家族の生活の頼りは、祖母の老齢年金でしたが、その足りない部分を「万引き」で補うというのが、家族だけの秘密。

そんな或る日、近所の団地の廊下でひとり佇む少女を見かねた父・治が連れて帰るのでした。

「ゆり」と名乗る5歳の少女(佐々木みゆ)は、6人目の家族となっていくのでした。

 

 

『万引き家族』という題名からも分かる様な、単なる万引きに留まらず、今作は、貧困、児童虐待、育児放棄(ネグレクト)、DV、ワークシェアリング、派遣切り、労災保険の不備、老齢年金の不正受給に、JKの性風俗までに至るまでの日本の社会問題・社会保障制度の不備や構造的な欠陥などを、多岐に亘る諸問題をひっくるめて、痛烈に皮肉った作品であり、ある種、現代の日本の社会問題の縮図の様な映画とも思えますが、それ以上に訴えたかった事は、やはり是枝裕和監督が常々作品の主題にしている家族の繋がり・絆とは?その本質とは?という事だった様な気がしました。

 

 

一見すると、本物の血のつながりのある家族の方が、我が子を虐待したり育児放棄したりと絆が薄い。その逆に、偽物の万引き家族の方が、お互いをいたわり合い、より絆も深いように中盤までは見えるのですが、そこは是枝裕和監督、そんな甘っちょろい人情噺を描きたかった訳ではないのでしょうね。

後半、危機を迎えた偽物の家族の中から各々の闇が浮かび上がってくるのでした。

助け合っていたのではなく、お互いを利用し合っていたに過ぎないのか?

それは彼ら自身でも解らないのかも知れない。

 

 

「ゆり」を連れて帰ってきた一件で家族が危機に及ぶと思っていたのですが、それはミスリード。別の事を発端に家族は危機を迎えるのでした。

関係性が極めて希薄な現代社会で、本当の家族の繋がり・絆とは?その本質や優しさとは?と問う問題作でしたね。

 

そう言う意味合いでは、予定調和的な娯楽映画を求めて足を運ぶ人達には、かなり物足りない幕切れでしたでしょうし、後味の悪さがかなり後を引き摺る作品でしたでしょうね。

私も後味の悪さについては、本作品には、かなり後まで引き摺ってしまいましたね。

ただ、それこそが監督が意図した提言であって、観客一人一人が考えねばならない問題点いうことに他ならないということでしょうね。

 

 

キャストはほぼ完璧と思えましたね。

是枝組の樹木希林さんやリリー・フランキーさんはもちろんの事、特に、怪優・安藤サクラさん&松岡茉優さんの身体を張った演技が、なかなか凄くて、本作品に良い化学反応を起こしていたようにも思えましたし、その結果、最高賞のパルム・ドールを受賞出来たのかとも思えたくらいでしたね。

 

安藤サクラさん演じる信代が涙を見せるシーンが実に圧巻で、今回のカンヌ国際映画祭の審査員長だったケイト・ブランシェットが「審査員の女優たちがどこかで似た泣きの演技をしていたら、サクラさんの真似をしたと思って下さい。」とまで言って絶賛したというのも嬉しいし、頷けるほどでした。

 

また『誰も知らない』の柳楽優弥さんの再来とも言われる子役の城桧吏くん、そして佐々木みゆちゃんと、魅力的な面々が一堂に介して、あたかもこの作品にセミドキュメンタリーの様な真実味を帯びさせていましたね。

 

 

それに致しましても相変わらず是枝裕和監督は子役の演技指導が上手いというか非常にナチュラルな演技を引き出す演出でしたよね。

 

また、過日亡くなられた樹木希林さんに至っては、単に海を眺める、食事をするといった、謂わば普通のシーンであってもその確かな存在感を示す辺りは流石でしたね。

 

樹木希林さん。全身をガンで蝕まれていたとは言え、75歳で逝かれるとは少々早過ぎでしたよ。

 

故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 

私個人的には、女優・樹木希林さんと言えば、河瀨直美監督の『あん』(2015年)や、とりわけ是枝裕和監督作品の『歩いても歩いても』(2007年)や『海よりもまだ深く』(2016年)での阿部寛さんの可愛い母親役が大好きだったのですが、あいにくと、これらの作品のブログ記事を書いて、ちゃんと残していませんので、文豪・井上靖役を演じる役所広司さんの認知症の母親役を好演された、原田眞人監督作品の『わが母の記』(2012年)のブログ記事をリブログさせて頂きますのでご参考まで。

 


 

あくまでも個人的には、『歩いても歩いても』(是枝裕和監督/2007年)、『わが母の記』(原田眞人監督/2012年)、『あん』(河瀨直美監督/2015年)の3作品が、女優・樹木希林さんを晩年期を象徴的に代表する作品だと思っています。

他にも、『東京タワー、オカンとボクと、時々、オトン』(松岡錠司監督/2007年)などもありますが、上記3作品での樹木希林さんの名演技は是非観ておいて欲しい作品ですね。

 

そして、本作『万引き家族』についての私的な評価と致しましては、

キャストは、ほぼ完璧だし、映画的にも現代の日本社会が抱える諸問題に問題提起をするような内容の作品で、作品の出来栄えに関しては文句の付けようもないのですが、どうも娯楽作品として観るには後味が良くない点から、私個人的には好みの映画ではないので、五つ星評価的には満点にも相当する作品ですが、あくまでも私の好みという点では高評価ながらも四つ星評価の★★★★(80点)くらいの評価とさせて頂きます。

 

映画を、娯楽的作品と観るのか、芸術的作品と観るのか、問題提起的作品と観るのかによって、その物差しによっても評価も大きく異なるかと思いますが、私は娯楽的作品の方が採点が甘くなってしまう傾向にありますので、その点はどうかご容赦願います。

 

●【公式】『万引き家族』本予告編

 

 

 

●映画『歩いても歩いても』予告編

 

 

 

●映画『あん』予告編

 

 

 

●『わが母の記』予告編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。