『ブリグズビー・ベア』(2017年) #京都シネマ #マーク・ハミル #橋本忍 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

京都市内では、7月14日から7日間連続最高気温38℃越えを記録するなど、7月としては観測史上最高記録を更新中だそうです。

 

そんな酷暑の中、数本未だブログ記事化出来ていない今年に観た劇場鑑賞作品もありますが、先日、京都市内の四条烏丸にある京都シネマというミニシアターの運営会社である株式会社如月社が民事再生法申請手続きをされたという情報を、7月9日に映画ブロガー・めえめえさんのブログ記事で知り、ネットニュースの経済サイト情報やTwitterなどでその後の状況などを確認をすると、京都府舞鶴市に本社を置き、映画の製作や映画館(出町座、舞鶴八千代館、福知山シネマ)を運営されておられるシマフィルム株式会社が支援に名乗り出て下さっているみたいなので、ひと安心はしたものの、夜の観客の入り状況なども気懸かりでしたので、翌日の7月10日の夜に、話題作でもあり観に行きたかった、この『ブリグズビー・ベア』を父親と一緒に鑑賞に出向いてきましたので、鑑賞した作品の順序自体は前後しますが、先ずは、この作品を紹介させて頂きたいと思います。

 

 

 

「信じるべきは、予言よりも家族と友達だ!(18.7/10・字幕)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:BRIGSBY BEAR

製作年/国:2017年/アメリカ

配給:カルチャヴィル

公式サイト:http://www.brigsbybear.jp/

上映時間:97分

公開日:2018年6月23日(土)

監督:デイヴ・マッカリー

提供:ソニー・ピクチャーズ エンターテインメント

キャスト:

カイル・ムーニー、マーク・ハミル、グレッグ・キニア、マット・ウォルシュ、クレア・ディンズ、ジェーン・アダムス、ミカエラ・ワトキンス、ライアン・シンプキンズ、ジョージ・レンデボーグ・Jr.ほか

 

PG12

 

 

 

【解説】

赤ん坊の頃に誘拐され、偽の両親のもとで彼らが制作した教育番組「ブリグズビー・ベア」だけを見て育った25歳の青年が、初めて外界に出たことから巻き起こる騒動を描いたコメディドラマ。

外の世界から隔絶された小さなシェルターで、両親と3人だけで暮らす25歳のジェームス。

子どもの頃から毎週届く教育ビデオ「ブリグズビー・ベア」を見て育った彼は、現在はその世界の研究に没頭する日々を送っていた。

そんなある日、シェルターに警察がやって来て、両親は逮捕されてしまう。これまでジェームスが両親だと思っていた男女は、実は誘拐犯だったのだ。

ジェームスは生まれて初めて外の世界に連れ出され、“本当の家族”と一緒に暮らすことになるが……。

スタッフ・キャストにはテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のチームが集結。

ジェームスの育ての父親テッドを「スター・ウォーズ」シリーズのマーク・ハミル、カウンセラーのエミリーを「ロミオ&ジュリエット」のクレア・デーンズがそれぞれ演じる。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

率直な感想と致しましては、

こんなにも予想外に感動的な映画だとは思ってもいなかったので、劇場まで観に行って本当に良かったです。

いやぁ~!本当に<激ヤバ>でした!

 

 

 

幼少期から25歳までシェルターの中で監禁状態にされていたジェームズ(カイル・ムーニー)の世界は、偽の父親テッド(マーク・ハミル)と偽の母親エイプリル(ジェーン・アダムス)と、架空のチャット仲間だけ。

俗に言う<バッタもん>のようなSF特撮ドラマによる、偽の教育番組『ブリグズビー・ベア』から得た知識だけで育って来たのでした。

 

 

或る日、マスクを着けてシェルターから出たジェームズは遠くからやってくる車輌に気付いたのでしたが、瞬く間に両親は逮捕され、このフィクションの世界に住んでいた青年は、リアルな世界(現実社会)に接するべく保護されるのですが、実の両親と思っていた2人が、実はニセモノで、突然、<外側の世界>に放り出されるジェームズ。

 

 

誘拐&拉致監禁という点で観れば『ルーム ROOM』(2015年)や『10クローバーフィールド・レーン』(2016年)と似ているかとも思わせる様な、冒頭こそはサスペンスタッチの始まり方でしたが、蓋を開けてみれば、周囲の人々が実に良い人ばかりでしたので、『ラースと、その彼女』(2007年)を彷彿させるような、基本ハートフルコメディドラマ路線なので、やや涙がホロリと来るような部分もある作品でした。

 

『ルーム ROOM』でも描かれていた様に、発端となるこの手の事件を現実に耳にすることはありますが、被害者のプライバシーの配慮から、ニュースでは肝心な<その後>は伝えられないのが実情。

野次馬的かも知れませんが、むしろその後の人生の方に興味が湧くのですが、この作品の主人公の行動は、私達の予想を超えて遥か斜め上を行くものでした(笑)。

 

 

製作は、アメリカの人気コメディ番組の『サタデー・ナイト・ライヴ』(よく日本の番組に例えるとすれば、その昔の「オレたち!ひょうきん族」みたいな番組と教えて貰ったことがあります。)の人気YouTuberのユニット<GOOD NEIGHBOR>の主要メンバーといった長編映画については全くの素人集団による製作に、プロデューサーとして『俺たちポップスター』(2016年)の<ザ・ローリング・アイランド>と『LEGO(R)ムービー』(2014年)の監督・脚本コンビが加わり、あのSF界の大御所俳優マーク・ハミルまでが参加した、愛と友情と、そして社会適応と自己再生の物語として昇華させたハートフルコメディ作品とのこと。

 

 

そして、事件解決は良かったものの、急に家族が変わることを受け入れがたいのは何もジェームズだけのことではなく、それは本物の家族にとっても同じこと。

本当の両親と、思春期の実の妹オーブリー(ライアン・シンプキンズ)は、ジェームズに対して腫れ物に触るように<家族ごっこ>を始めるのでした。

 

 

また、精神科医の女性カウンセラーのエミリー(クレア・ディンズ)からは、過去を精算し、<矯正>するように諭されますが、SF特撮ドラマ風味の教育TV番組『ブリグズビー・ベア』のみで育ったがために、オタク気質に育った主人公ジェームズではありますが、偽の父親が作っていた『ブリグズビー・ベア』の続編がもう観られないと知った事により、過去を全て清算する<矯正>ではなく、その<刷り込み>を逆に活用しながら、自らの過去にケリをつけるべく続編(完結編)を作り上げようと決意するのでした。

脚本・主演自体もジェームズ本人なので自分が主人公である人生を、カゴの中の鳥だったジェームズが大人への第一歩を歩き始めた瞬間の様でもありました。

 

 

ジェームズはいかにもオタクっぽい外見で頑固者なのですが、意外とコミュニケーション能力にも長けているという設定もなかなか面白い。

突然自分に出来た育ち盛りの10代の実妹オーブリーに連れられて行った、ホームパーティーで、スタートレックのTシャツを着たオーブリーのクラスメイトの男の子スペンサー(ジョージ・レンデボーグ・Jr.)と出会うという脚本が実に上手い。

トレッキー(スタートレックのファン)はSFオタク要素が強いというイメージもありますし、その点で、ジェームズと映画を作りだそうとするくだりにも無理がなく、もちろん映画の製作の経験が一切ないジェームズの最も頼りになる友達であり映画の製作の際の監督にもなるという設定にも説得力がありますからね(笑)。

 

 

しかしながら、本作ですが、ホームパーティー先で、若者達が<ドラッグと飲酒>を行っていたシーンがあったと理由からPG12のレイティング規制があったのか、それともジェームズと仲良くなった女の子と疑似セックスの様なエッチなシーンの演出があったのが理由なのか解らないのですが、PG12のレイティング規制(鑑賞時の年齢制限規制)など設定する必要などまるでない作品だった様な気もしました。

 

 

 

そして、鑑賞の際には、実妹オーブリーからの謝罪シーンには思わず感涙ものでしたし、何よりも、元演劇部で俳優を志していたという設定のジェームズの監禁事件担当のヴォーゲル刑事(グレッグ・キニア)が最高でした!

ジェームズの映画製作にも、親身に協力的になってくれて、果ては出演者にも名を連ねて、自らTake2を要求したりやる気満々(笑)。

それこそ役柄も、スター・ウォーズのジェダイの騎士風味が溢れていて、私も思わず声を出して笑ってしまうほどでした(爆)。

もう1人の担当刑事さんも証拠保管室の中で『ブリグズビー・ベア』のVHSビデオをついつい観てしまったりと、兎に角、ジェームズを取り巻く周囲の人々が良い人ばかり。家族愛というテーマからすれば『ワンダー 君は太陽』といくらか被って見えるほどかも(笑)。

 

 

とは言え、この映画は、SF映画界のカリスマ的俳優のマーク・ハミルが出演しているからこそ、映画の信憑性に、ここまでの効果を生んでいるのであろうし、彼でなければ映画が成立しないくらいだったでしょうね。

 

マーク・ハミルと言えば、どうしても、スター・ウォーズのルーク・スカイウォーカーというヒーロー役のイメージが強いですが、アメリカ国内では、アニメ版バットマンで長年宿敵のジョーカー役の声優としても活躍してきただけに、そう言う意味合いからも、劇中でも、善(ブリグズビー・ベア)と悪(サン・スナッチャー)の双方の面を持つといった、偽の父親テッドも上手く演じ切っていましたね(笑)。

 

 

幼児誘拐に拉致監禁の罪に服すべき犯人ですので、無論、偽の父親テッドも偽の母親エイプリルも重罪な罪人に相当する訳ですが、彼の作った偽の教育TV番組で育ったジェームズが、結果、あの様な純粋培養された様な大人に成長したことを考えると、コレには、いろんな見方が出来るとは思います。

 

また、疑似家族という点からは、カンヌ映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』を彷彿させる映画でもありました。

 

 

ただ、<刷り込み>や<洗脳>ほど怖いものはない中、古いパパ(偽の父親)との関係性を否定せず、あえて<矯正>するのではなく、逆に受け入れるといったジェームズ。

そして、そんな彼を優しく受け入れて<家族ごっこ>から本当の家族へと向かおうとする新しいパパ(本物の父親)たちのくだりが実に優しくて良かったでしたね。

手を握り合った古いパパは世間的に見ると悪漢かも知れないけれど、この物語の真の悪漢はサン・スナッチャーだけでしょう。

「信じるべきは、予言より家族と友達だ!」

 

 

私的な評価と致しましては、

確かに、あそこまで偽の父親が凝りに凝ったSF特撮ドラマ風味の教育TV番組を自費で製作し続けていたりするのは実際には有り得ないだとかツッコミどころも探せば沢山有るのですが、そういった脚本の上での甘さや粗さは抜きにしても、映画製作を通して、過去の人生にケリをつけるというお話しの展開もそうですが、純粋培養に育ったジェームズを奇異の目で見ること無く、周囲の人々が皆凄く温かく接している点が好感が持てましたし、単に笑える点のみならず、感動を呼ぶ映画に見事に昇華させていたと思いましたので、初長編映画デビュー作にしては非常に良く出来た作品でしたので、五つ星評価的には★★★★(80点)の四つ星評価の高評価も相応しい映画かと思いました。

 

●『ブリグズビー・ベア』6月23日(土)公開!

 

 

 

 

 

▲映画の出来不出来とは無関係ですが、劇場パンフレットがスカスカペラペラの見開き4ページくらいの代物なのに、定価500円もしたのが驚愕でした!(泣)。

 

ところで、映画の中では主人公の名前は終始<ジェームズ>と呼ばれていたのに、パンフレットなどでは<ジェームス>って表記されているけど、どちらが本当の読み方なんだろう?(汗)。

 

それと、あえて生意気な意見を申し上げますと、他の上映ミニシアターの様に、『ブリグズビー・ベア』の特製トートバッグや缶バッジやTシャツなどを販売して下さったら購入したのに~~~!と、京都シネマでも、もっと昔の様に物販にも力を注がれても良いかとも思いました(汗)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

京都シネマさんではもう上映期間終了していますが、出町座さんにて
9月頃からセカンド上映されるらしいので、観逃された御方々は是非!

 

 

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この世に数多くの日本映画を代表する名作を送り出して来て下さった、名脚本家・橋本忍さんの訃報が報じられました。

平成30年7月19日に永眠。

享年100歳の大往生だったそうです。

 

心より故人のご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。