『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』(2017年) #出町座 #出町座のソコ | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

今回も、1/28(日)に2本の映画を、京都市上京区の出町座と、滋賀県草津市のイオンシネマ草津までにと、クルマにてハシゴ鑑賞した際の感想をまとめさせて頂きます。

 

 

先ずは、お昼から出町座で鑑賞をした『ユダヤ人を救った動物園・アントニーナが愛した命』について紹介させて頂きます。

 

 

この日は12:55から開映のジェシカ・チャスティン主演の『ユダヤ人を救った動物園・アントニーナの愛した命』という作品のセカンド上映に間に合うように、お昼前の午前11時に彼女と待ち合わせをして、市営出町駐車場を利用するべく、クルマに乗って出町座まで赴きました。

 

この映画を観ることにしたのは、親しくして頂いている同世代の女性の映画ブロガーのジョジーさんが、2017年映画ベスト10の中に、前回の『女神の見えざる手』とこの『ユダヤ人を救った動物園・アントニーナが愛した命』のジェシカ・チャスティン主演の2作品をを挙げてられました事や、前回の鑑賞時の予告編の際に、ホロコースト(※)もの映画の中では中々の異色作かと思い、今回も鑑賞に出向いた次第でした。

 

※【ホロコースト】とは・・・ナチスドイツによるユダヤ人に対する組織的な迫害および大量虐殺。特にユダヤ人の大量虐殺そのものを指す。

 

 

これで、3度目の出町座での劇場鑑賞。

 

クラウドファンディングのリターン品として大盤振る舞いをして頂いていました10枚もの沢山の招待券で、今回も、彼女の分とで2枚分使用させて頂き、鑑賞させて頂きました。有り難うございました。

 

 

●出町座(@demachiza):https://demachiza.com/

 

〒602-0823 

京都府京都市上京区今出川通西入上ル三芳町133

(出町枡形商店街内)

 

☎:075-203-9862 FAX:075-320-2526

 

お昼ご飯は各自軽く食べて来ていたものの、一応お目当てだった、出町座内のcafé「出町座のソコ」にて、巷で安くて美味しいと評判の念願のキュウリ3種サンドを注文し、3度目の来館で、ようやく食べる事が出来ました。

出町座のソコの築地静香店長。「評判通りの美味しさでした。ご馳走様でした!」

 

▲「出町座のソコ」のキュウリ3種サンド(300円也)

 

で、今回も初めて出町座に来館時と同じく、地下1Fでの上映でした。

地下1Fの劇場は若干狭いながらも、画面が迫って来ていて重低音が響くので、私見ですが、今回の様な戦争をテーマに扱った映画などには、なかなか相性が良いシアターかとは思いましたね。

 

▲爆撃音などがリアルに感じられ重低音がよく響く地下1Fのシアター。

(※尚、無観客を条件に、許可を得て写真を撮らせて頂いています。)

 

 

で、肝心の映画の方ですが、

前回来館時も、ジェシカ・チャスティン主演による辣腕ロビイストの映画『女神の見えざる手』を鑑賞しましたが、今回の『ユダヤ人を救った動物園・アントニーナが愛した命』は、その邦題の長過ぎる名称の酷さとは運良く正比例せずに、127分間の上映時間が、あっという間に感じられるほど濃密な内容の作品で、ジェシカ・チャスティンのまた違った逞しい精神力を持ちながらも、可愛いらしいポーランド人女性の動物園園長の妻を演じていて、ホロコーストもの映画の中でもなかなかの力作でしたし、異色作でしたね。

 

 

「ユダヤ人を救った戦火の中の動物園(18.1/28・字幕版)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:THE ZOOKEEPER'S WIFE

製作年/国:2017年/アメリカ

配給:ファントム・フィルム

公式サイト:http://zookeepers-wife.jp/

上映時間:127分

公開日:2017年12月15日(金)

監督:ニキ・カーロ

キャスト:

ジェシカ・チャスティン、ヨハン・ヘルデンブルグ、マイケル・マケルハットン、ダニエル・ブリュール ほか

 

 

【解説】

第2次世界大戦中のポーランド・ワルシャワで、動物園の園長夫妻が300人ものユダヤ人の命を救った実話を、ジェシカ・チャステイン主演で映画化。

1939年の秋、ドイツのポーランド侵攻により第2次世界大戦が勃発した。ワルシャワでヨーロッパ最大規模を誇る動物園を営んでいたヤンとアントニーナ夫妻は、ユダヤ人強制居住区域に忍び込み彼らを次々と救出。ユダヤ人たちを動物園の檻に忍びこませるという驚くべき策を実行する。

夫婦によるこの活動がドイツ兵に見つかった場合、自分たちやわが子の命も狙われるという危険な状況にありながら、夫婦はひるむことなく困難に立ち向かっていく。

アントニーナ役を「ゼロ・ダーク・サーティ」「オデッセイ」のチャステインが、ヤン役をヨハン・ヘルデンベルグがそれぞれ演じ、マイケル・マケルハットン、ダニエル・ブリュールらが出演。

監督は「クジラの島の少女」のニキ・カーロ。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

法律名と映画の邦題がやたら長いものにはロクなものがないと言われますが、今回の映画の邦題は、ストレート過ぎるくらいに映画の内容を捉えたものですが、あえてその題名の是非は問わないにしても、副題の「アントニーナが愛した命」は余分だと言わざるを得ない位に、今回の邦題はあまりにも長過ぎでしたよね!

しかしながら、その邦題の酷過ぎる位の長さに正比例することなく、実に充実した内容の作品でした。

 

どうせならば、邦題も『ユダヤ人を救った動物園』のみにして、「そもそも副題は無くても別に良かったのでは?」と思ったりもしましたね。

 

 

ナチスの迫害からユダヤ人を匿い逃がしてあげた舞台が当時ヨーロッパ最大規模のポーランドのワルシャワ動物園だったというノンフィクションがベースであり、いわゆる、隠された美談であり、あの忌まわしいホロコーストからユダヤ人を匿った事例としては異色的な作品でしょうね。

 

 

自分自身も我が子をも危険にさらして、300人以上もの命を救った動物園園長夫妻の尊い行為を、今回、私も、映画を通して知ることが出来て良かったです。

 

 

 

冒頭の平和な時代の動物園の様子が実に美しく映えていて、来園に来ておられる人々もとても晴れやかな服装なのが印象的なくらいに、その優雅な美しい日常を綺麗な映像として切り取っていましたね。

 

 

そして対照的に映される戦火の中の動物園。人間同士の争い事に巻き込まれて動物が次々に殺されていくのが観ていて辛くなりましたね。

 

 

当然の事ながら、エンディングロールもすべて英語の文面なので、一体どう言った注釈が入っていたのかまでは英語力のない私には、全く理解出来なかったですが、アニマルアクターのトレーナーの腕前なのか、特撮CG班の力量なのかは解らないですが、動物愛護団体などから動物虐待だと問われることのないように、動物に過度のストレスを与えることなく、爆撃を受けたり、射殺されたりするシーンでの、戦火の中の動物園の動物達のお芝居があまりにも上手くて驚愕しましたし、檻の外に逃げ出した猛獣達がウロウロするお芝居もなかなか達者で拍手喝采ものでした。

 

 

ただ、いわゆる野牛とも称される、バイソンという動物が亡くなって、皆で埋葬するシーンでは如何にも剥製と解る出来栄えでしたが、あえてそう言った見え見えのシーンも挿入する事で、特撮CGもちゃんと用いていることをアピールするべく、匂わせた演出だったのかも知れないですね。

 

 

ただ、アニマルアクターの調教など動物園の動物達の描写の方にお金が掛かり過ぎたためなのか、そもそもの予算の枠的な問題なのか解りませんが、ドイツ軍戦闘機の特撮CGは一切実施されず終い。

戦闘機のエンジン音と機影のみでしっかりと魅せてくれていました。

ここは創意工夫を評価出来ましたね。中途半端なショボい特撮CGを使うよりも、よっぽどマシと思われました。

 

 

この映画になる逸話の元ネタ自体は、そもそもは夫のヤンの方からユダヤ人救出の話を切り出したようですが、ただ、この映画で、注目され中心となるのは妻のアントニーナ(ジェシカ・チャスティン)の方。

 

 

この出来事それ自体が戦争直前から終結後1年までの長い期間を扱っているため、127分という制約のある映画の尺の中に収めるべく、割愛し端折らざるを得なかった部分も多かったようですが、ユダヤ人救出といったそれ自体の描写よりも、むしろ、文芸的な作品よりも、エンタメ作品といった体裁にさせるべく、主人公である妻のアントニーナと、ナチスドイツのヒトラー総統直属の動物学者ヘック(ダニエル・ブリュール)との<危険な関係>を軸にまとめている側面もありましたね。

 

 

 

まぁ、エンタメ風味を利かす意味合いでは、それ自体としては面白かったのですが、「もっとホロコーストからのユダヤ人の救出劇の描写に時間を割いて欲しかったかなぁ」と言った消化不良を起こしたのも事実。

 

 

 

ただ、ポーランド侵攻以前は、理解あるドイツ人動物学者ヘックであった彼でさえも、ヒトラー総統直属の動物学者といった権力を一旦握ってしまうと、やはり暴走してしまうのは、人の心の脆さの一端が垣間見られている点ではこう言った描き方でもアリなのかなとも思われました。

 

 

ドイツ人動物学者ヘック役を演じたダニエル・ブリュールは、これまで、ドイツ人のサッカーの伝道師コッホ先生役やF1レーサーのニキ・ラウダ役などの偉人的な人物を演じたりしており、私的には、かなり好印象を抱いていたのですが、ホロコーストもの映画の中ではドイツ人俳優という特性からか、悪役的な存在としてでも登場することもあるのかと思い、ちょっとショックでしたね。

 

 

私的には数少ないユダヤ人迫害の描写の中でも、ドイツ兵に陵辱されてしまうユダヤ人の幼い少女の逸話が哀しくて切なかったでしたね。

 

 

映画の劇中には、年数などの日付がカウントダウンされるのですが、「いま映画を観ている私達はこの恐怖がいつまで続くのかが解るけど、さぞや匿われたユダヤ人達も、また自分たちの命すら落としかねないリスクを背負ってまでアカの他人を助けることなどはなかなか出来ることではない中にあって、動物園園長夫妻もその息子も、さぞや先の見えない恐ろしい日々にさいなまれていたのだろうなぁ。」と本当に切なくなりながら観ていました。

 

 

ポーランドのゲットー(ユダヤ人強制居住区)が大火に包まれるといった大掛かりなセットによる演出もありましたが、その逆に、「(真夏に)雪?」といったポーランドが火の海になったという描写を、劇中では、灰の雪を降らすことで表現したりしているなどの創意工夫も観られた点も実に素晴らしかったです!

 

 

また、ジェシカ・チャスティン自体は、(アゴの先が割れている事から)「ケツアゴ女」などと揶揄されたりと、決して、取り立てて絶世の美女的な女優さんでもないのですが、『ゼロ・ダークサーティ』や前回鑑賞した『女神の見えざる手』で演じたような強い女性像とも芯の強さは共通しながらも、今作では、それら男っぽい役どころの発声方法とは打って変わって、常に上品にフェロモンを放出していて、ドキドキさせられるほどの優しくて可愛いらしい魅力に溢れた女性像を演じていましたね。

 

▲実在の人物のアントニーナと画像を並べて見比べるとこんな感じ。

 

あと、おそらく演出上による理由かとは思いましたが、終戦後には直ぐに平和が訪れ戻って来たような描かれ方をしていました。

ですが、実際には、ポーランドを制圧占領している軍隊が、ドイツ軍からソ連軍に変わったというだけで、ここから主人公達は共産主義化への道程を歩み苦しんで行くのかと思うと、束の間の平和であって、少々暗澹たる気持ちにもならざるを得なかったですね(汗)。

 

 

日本人の中にも、公人の身分であった杉原千畝(スギハラ チウネ)領事代理が1.000人以上のユダヤ人にビザを発給し続けて命を救った事も有名ですし、2015年には日本でも唐沢寿明さん主演で映画化され、映画『杉原千畝 スギハラ チウネ』は、私も劇場鑑賞(※ブログ記事化していない作品です。)してきましたが、たとえ同じ私人の身分であっても、スティーヴン・スピルバーグ監督の第68回アカデミー賞受賞作品でもある『シンドラーのリスト』(1993年)でも有名になった、あのオスカー・シンドラー氏の様な軍需産業も営む大実業家でもない、今作のヤンとアントニーナの夫婦の場合、しがない個人事業主ということもあって、リスクは極めて高かったでしょうし、その点でも、素晴らしい方々だと思いました。

多くの動物達の命を救えなかったといった自責の念が、彼らを突き動かしたのかも知れないですが、とても勇気がいる命懸けの行為ですからね。

 

▲『杉原千畝 スギハラ チウネ』(2015年)

 

▲『シンドラーのリスト』(製作1993年・日本公開1994年)

 

従いまして、私的な評価と致しましては、

いくつかの点で消化不良気味な側面もあったものの、総花的に見れば、人の命や動物の命の大切さを教えてくれる貴重な作品であることは間違いなかったですし、公式サイトを閲覧しますと、今作品は、文科省推奨作品にも指定されているみたいです。

ですので、お子様などをはじめ、より多くの御方々にこの作品を観て頂けたらと思うほど、道徳的にも感動的な映画でしたので、五つ星評価的には、ほぼ満点の★★★★☆(90点)の四つ星半評価も相応しい作品かと思いました次第です。

 

※尚、京都市内近郊では、現在、京都市上京区の出町座にて絶賛上映中ですので、是非ぜひ多くの御方々が劇場にてご覧下さることを願っています。

 

また、出町座の推し映画としては、今作もですが、ストップモーションアニメの大家スタジオライカ製作のアニメ映画『KUBO 二本の弦の秘密』もオススメとの事です!!!

 

●出町座(@demachiza):https://demachiza.com/

 

 

●映画『ユダヤ人を救った動物園・アントニーナの愛した命』予告編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。<>