『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』(2016年) #ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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かれこれ先月の初めの公開3日目の2/5(日)に、イオンシネマ京都桂川にて、本作と『マグニフィセント・セブン』とのハシゴ観鑑賞してから、もう約2ヶ月弱経過しており、この2作品の上映館も数少なくなって来ていますが、とりわけ、特に今回のティム・バートン監督作品については、先に原作ありきではありますが、予てからのティム・バートン監督のファンの人々からは、両極端とも言える賛否両論があるみたいですが、あくまでも私見ですが、私はすごい正統派の傑作映画を作ってくれたと感心しており、相当面白く感じ入りました作品でしたので、一応、今更ながらではありますが、ブログ記事に感想を残しておきたいと思います。

 

現状ではかなり公開館が少なくなって来ていますので、是非、DVDやBlu-rayソフト化した際にご鑑賞下さる機会があればと思っております。

 

「ティム・バートン史上、最も奇妙?快心作!(17.2/5・字幕)」

ジャンル:ファンタジー

原題:MISS PEREGRINE'S HOME FOR PECULIAR CHILDREN

製作年/国:2016年/米国

配給:20世紀フォックス映画

公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/staypeculiar/

上映時間:127分

公開日:2017年2月3日(金)

監督:ティム・バートン

出演:

エヴァ・グリーン、エイサ・バターフィールド、サミュエル・L・ジャクソン、ルパード・エヴェレット、アリソン・ジャニー、クリス・オダウド、テレンス・スタンプ、エラ・パーネル、フィンレー・マクミラン、ローレン・マクロスティ、ヘイデン・キラー=ストーン、ジョージア・ペンバートン、ミロ・パーカー、ラフィエラ・チャップマン、ピクシー・デイヴィス、ジョセフ・オッドウェル、トーマス・オッドウェル、キャメロン・キング、ルイス・ディヴィソン、ジュディ・デンチ、キム・ディケンズほか

 

 

【解説】

「チャーリーとチョコレート工場」「アリス・イン・ワンダーランド」のティム・バートン監督が、ランサム・リグズによる全米ベストセラー小説「ハヤブサが守る家」を映画化し、人とは異なる奇妙な能力を持った子どもたちが織りなす物語を描いたミステリアスファンタジー。

周囲になじめない孤独な少年ジェイクは、唯一の理解者だった祖父の遺言に従い、森の奥にある古めかしい屋敷を見つける。そこには、美しくも厳格な女性ミス・ペレグリンの保護のもと、空中浮遊能力を持つ少女や透明人間の男の子、常に無口な双子といった、奇妙な子どもたちが暮らしていた。

主人公ジェイク役は「ヒューゴの不思議な発明」で知られるエイサ・バターフィールド、ミス・ペレグリン役は「007 カジノ・ロワイヤル」「ダーク・シャドウ」のエヴァ・グリーンが務めている。

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

 

異能のこどもたちが敵に立ち向かう様子を見てとり、ティム・バートン監督版『X-MEN』といった声も聞かれた本作品ですが、当のティム・バートンにとっては特殊な能力は、謂わば<個性>のひとつくらいの認識かも知れない。

 

 

それくらいに<ダーク・ファンタジックな世界観>や<異形であること>が基本スタンスといって良いほどの異能の映像作家ティム・バートン。

 

 

ダーク・ファンタジックな世界観でありながらも、ややティム・バートン監督にしては明るい内容かとは思いますが、やはり先に原作ありきでしたね。

 

▲新鋭作家ランサム・リグズと映像作家ティム・バートン監督。

 

子どもの頃からティム・バートンのファンという、親子といっても良いほど年の差が離れた新鋭作家ランサム・リグズが書いた原作小説は、あたかもティム・バートンために書かれたような世界でした。

原作者のリグズは骨董市などで売買される古いトリック写真に心惹かれ収集しているうちにインスピレーションが高まり、このお話を思い付いたそうです。

 

 

尚、数シーンですが、くり貫いた目玉をムシャムシャと食べるシーンもあるので、そういった描写が苦手な人や小さなお子さんは、夜眠れなくなるかも知れないので見ない方が良いかも知れませんね。

 

 

祖父エイブ(テレンス・スタンプ)の奇妙な死に方に始まる謎が、孫のジェイク(エイサ・バターフィールド)とともにファンタジーな世界へといざなう。

 

 

原作はあいにくと未読ですが、異形をこよなく愛するティム・バートンが製作するがためにアテ書きされたかのような原作の世界観を再現するべく、12人もいる奇妙なこどもたちの全員に見せ場があり、特殊な能力と役割がひとりひとりきちんと描かれ、たとえ戦闘に役に立たない力でも、勇気を示している描写があるのも良い!

 

 

幻視、空中浮遊、発火、命を与える、透明人間、身体に蜂を飼う、植物を育てる、怪力、夢や想いを映写できる、ふたくち少女、そして覆面姿の双子。

 

1人1人の力では決してどうにもならない事でも、皆が協力すれば大きな力にもなるという教えも含んだ夢のある冒険ファンタジー。

 

 

他方で、「ペレグリン」。即ち、日本語で言う「ハヤブサ」が<ループ>と呼ばれる異世界を作って守っており、同じ1日を毎日毎日繰り返す成長しない奇妙なこどもたちの成長物語でもある。

 

 

異能のこどもたちが弱い立場の人々だからこそ<ループ>という世界への隔離も理解は出来る反面、今の世の中では無論<共生>を第一に考えるべきかとも思いますが、この映画の<ループ>と呼ばれる異世界の時代背景は、第二次世界大戦下のナチス・ドイツによるユダヤ人迫害のみならず、ヒトラー政権下のナチスのT4プログラム。即ち、障碍者を合法的に虐殺したという安楽死プログラムから逃れるという意味合いも持つことから、あえてあの様な<ループ>という世界で生きることを選択せざるを得ない状況であったという設定にしながら、非常に辛いナチスドイツの黒歴史も隠し味に盛り込んでいました。

 

 

また、ティム・バートン監督が大好きな映画でもある『シンドバッド七回目の航海』(1958年)に代表されるような、レイ・ハリーハウゼンなどの往年の偉大な特撮映画監督へオマージュを捧げたような骸骨剣士の軍団や、物体に命を与えることが出来る異能の少年が、二体の人形を決闘させるシーンなどのコマ送り風のアニメーションシーンからも、如何にもティム・バートン監督の趣味が窺えるというもの。

 

近年のティム・バートン映画の中では、期待に違わぬ1本とも言えるのでは?

VFXもふんだんに盛り込まれ、配役の見事さも成功のかなりの要因ともいえるのではないでしょうか。

 

 

名優テレンス・スタンプからサミュエル・L・ジャクソン、新進気鋭のエイサ・バターフィールドまで魅力的なキャストの揃い踏み。

特に、エイサ・バターフィールドは、前年の英国映画『僕と世界の方程式』(2015年)で自閉症児を演じていたのとはまた違ったキラリと輝った側面を魅せてくれて、今作でも主役ジェイク役を好演。

ヒロイン役の空中浮遊少女エマ(エラ・パーネル)との恋の駆け引きも見どころのひとつでした。

 

 

また、配役的には、タイトルロールのハヤブサの化身=ミス・ペレグリンを演じた、元007のボンドガールのエヴァ・グリーンが決定的でしたね。

 

 

 

アイラインをくっきり引いた鋭い眼光で、キリリと敵を見据えるエヴァ・グリーンがとても美しく格好良かったです。

ただ、同じ007での上司のM役だったジュディ・デンチは、今作ではかなり贅沢な起用法だったかも(苦笑)。

 

ブラックプールの遊園地のシーンにて、珍しく、ティム・バートン監督自身もカメオ出演。

 

戦いのあとの<ある変化>、そしてジェイクの自分の気持ちに正直な決断も清々しく心地よかったですね。

 

私的な評価と致しましては、

同じダーク・ファンタジックな世界観でも、従来のティム・バートン監督らしくないと評する意見も散見する中、私におきましては、期待に違わぬ、正統派の快心作だったと思われましたので、五つ星評価では文句なしに満点の五つ星★★★★(100点)が相応しいと思いました次第です。

 

●映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』予告編B

 

 

 

※<参考>

2015年3月27日にグランフロント大阪まで遠征し観覧してきた『ティム・バートンの世界』展のリブログ記事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。