映画『聲の形』(2016年) #聲の形 #京アニ #イオンシネマ草津 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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「ツキッ!!!(16.10/3・劇場)」

ジャンル:青春ドラマ

製作年/国:2016年/日本

配給:松竹

公式サイト:http://koenokatachi-movie.com/

上映時間:129分

公開日:2016年9月17日(土)

監督:山田尚子

声の出演:入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、松岡茉優ほか

 

 

 

 

 

 

率直な感想としましては、想像していた以上に、グッと心に突き刺さる様な、重い内容の映画でしたね。

 

 

 

 


聴覚障碍というハンディキャップを持つ少女を扱ったお話ということはタイトルから想起出来ましたが、公開する直前に試写会に行かれた、映画ブログ仲間のジョジーさんのブログから「予想以上に酷いイジメ問題が描かれていました。」とだけは聞いていましたが、聴覚障碍者云々といったこと以上に、ここまでの陰湿なイジメの描写と、見事に砕かれ散ってしまった心の再生という深い精神面の葛藤に大部分が割かれていたのには正直驚かされましたし、そして、また劇場内に見渡す限りのぎっしりと詰まった観客席についても然り。

 



この夏は、もはや社会現象化しているといって過言ではないくらいに、超大ヒットしている新海誠監督作品の『君の名は。』という怪物的な数字の興行収入記録を打ち立てているアニメもあり、そのお陰で、殊の外、損をしているかの様にも思われましたが、本作は、その『君の名は。』の上映館総数の約半分以下しか占めていないにも拘わらず、観客動員もかなりのものでしたし、実際、興行収入も約19億円と、過去の京都アニメーション製作のアニメの中でも、かなりの興行収入記録らしいですね。
その意味では上映館数も大幅に違うので、単純には比較換算が出来ないものの、今年の夏はこの両アニメが牽引していたと言っても良いかも知れなかったですね。

 



映画を観賞し終えるまでは、私の場合には、この作品の原作コミック(全7巻)があることさえ知らなかったのですが、大今良時さんの原作コミックを、あの『けいおん!』でも定評があった山田尚子監督が手掛けた作品とのこと。
演出は丁寧というかオーソドックスに感じましたし、挿入歌やaikoさんの歌う主題歌の使い方を見ても、そんなにも目新しさは感じなかったですね。
ただ、オープニングのThe Whoには少々面食らいはしましたけれどね。

 



実にお話の流れも重いし、現代の日本的といえば日本的な設定なのでしょうか?
このお話の場合には、幼い時分のイジメという過ちにより、一度背負ってしまった十字架をどこまで行っても剥がし取れないといった陰湿な空気感は、やはり閉鎖的社会での軋轢が生む、ある種の現代社会の病なのでしょうか?

 


ただ、元々が、お話の中心となるイジメっ子の石田将也、イジメられっ子の西宮硝子の関係だった彼ら二人よりも、その周囲のキャラクターの方に心惹かれましたね。
とりわけ結絃や、親友のモコモコ頭の永束の存在は大きかったですね。

 



ただ、私たちが育った頃とは時代や環境が違うからなのか、正直なところ、小学校のガキ大将・石田将也は、西宮硝子の事が多少なりとも気になる存在だからこそ、好きだからこそ、その好きな女の子の気を惹きたくて、ついついイジメてしまうという経験は少なからず理解出来なくもなかったのですが、石田将也の場合には、かなり高額な補聴器を何個も壊したり紛失させたりするのは、幾ら小学生とは言え、イジメの加減を知らなさ過ぎにも程がありましたよね。

 

 

ですので、その性格付けにはかなりの違和感があり、どこか現実離れした感じが最後まで拭えなかったのですが、もう小学校6年生でも、あそこまで道徳観という気持ちが一抹も見られないような酷いイジメを体現しているという設定が居たたまれなくて可哀想でなりませんでしたね。

そう言う意味合いでは、もう小学校6年生ではなく、まだ小学校6年生なのかも知れないのですが...。

 


あれだけのイジメを繰り返したのですから、因果応報で、今度は、イジメっ子の石田将也がイジメ・無視される側に廻るのは致し方ないのかも知れないとも思いつつも、実際には、西宮硝子さんの一件では、他にもイジメに積極的に参加していた者、消極的ながらも無責任な傍観者を気取っていた仲間。それにクラスでイジメが蔓延っていたのにも拘わらず、何も対策を取らずに、格好だけ付けて、ガキ大将の石田将也のみの責任に押し付けたクラス担任教師があまりにも酷かったですね。

 

 

このイジメっ子の主犯格というレッテルの十字架を背負いながらも、一所懸命に、その贖罪を償うべく、その後の暗い青春期を生きる石田将也が、手話を学ぼうとしたり、親友の永束との出会いなどを通して、徐々に西宮硝子をはじめ周囲の仲間との接点の関係性が良い方向に発展し昇華していく姿は見ていて、目頭がついつい熱くなって来ましたね。

 



Twitterからの情報によりますと、原作者の大今良時さんは、「登場人物の全員が嫌い」だそうですが、この映画を製作なされた山田尚子監督ご自身は、「キャラクター全員が好きで仕方がない」との事で、それこそ、京都アニメーションの総力を結集したかのような作画は、劇中にちゃんと手話が描かれているだけあって、異次元級の力作で、些細な手の動きやキャラクター描写に対しての愛情は並々ならぬものが感じられましたね。

 

 

原作の方は未読なので、どうなのかは知りませんが、石田将也も西宮硝子も双方ともに家族に父親の影が全く描かれてなかったのが不思議でしたし、少々気懸かりでしたけれどね。

そもそもの原作者である大今良時さんが描かれた、聴覚障碍者に対するイジメという、一見すると、タブー視されがちな内容に踏み込んだ勇気自体には感服ものですが、それ以上に、贖罪を抱えた1人の青年の青春期の友だち作りの模索や心の葛藤など、聾唖といった聴覚障碍者に対する差別云々というテーマとは別の切り口でも描く青春譜に仕立て上げてある点が凄いですし、多くの人達にも共感を呼ぶ作品なんだろうなぁと感服致しましたね。

 

 

私的な評価と致しましては、

ブログの記事にして感想を挙げるのが本当に遅くなりましたが、10月末の現段階ですが、今年に劇場鑑賞した中の暫定ベスト1の映画であるくらいに感じる映画であり、文句なしで満点評価の五つ星評価★★★★★(100点)が相応しい作品かと思っています。

社会現象化しているSFファンタジー風味のアニメ映画の『君の名は。』に比べますと、この、映画『聲の形』の場合には、かなり重くて暗い内容のアニメ映画ですが、切実な現実に真摯に向き合う姿を描いていて素晴らしい秀作と思いますので、『君の名は。』をご覧になられた御方々は、是非こちらの作品も鑑賞して下さればと思います次第です。

 

 

※これから私も大今良時さんの描かれた全7巻の原作コミックや映画『聲の形』のメイキングブックを買い揃えて、読了し、再度、より深くこの世界観を味わいたいですね。

 

●映画『聲の形』本予告編

 

 

 

※映画ブロガーのジョジーさんが、先日、この映画の舞台である岐阜県大垣市まで、映画『聲の形』の聖地巡礼の旅行をなされてきたそうですので、こちらの記事も是非お目をお通し下さいませ。

 

→ 映画『聲の形』の聖地巡礼と昼神温泉の旅

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。