イオンシネマ京都桂川のご配慮にて、京都市内でも、ようやく期間限定ながらも今作の公開が決定したことに伴い、今月の初めに、お友達と一緒に、『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』とハシゴ観賞をしてきました。
「いったい誰が誰を試しているのか?(16.7/2・劇場)」
ジャンル:SF
原題:EX_MACHINA
製作年/国:2015年/英国
配給:ユニバーサル映画/パルコ
公式サイト:http://www.exmachina-movie.jp/
上映時間:108分
公開日:2016年6月11日(土)
監督:アレックス・ガーランド
出演:ドーナル・グリーソン、オスカー・アイザック、アリシア・ヴィキャンデル、ソノヤ・ミズノ
R15+
AIと人間の関係を描いた映画は山ほど沢山あるかとは思いますが、その中でもこれは、かなりの傑作ではないでしょうか。
低予算との事ですが、その分を補うべく、脚本が良く練られているために、スリリングな駆け引きには最後までハラハラドキドキさせられてしまいましたね。
これが初監督作というアレックス・ガーランド。
さすが脚本家出身だけのことはありましたね。(『28日後…』など)
お話の流れ的には、以下の通り。
世界最大検索エンジン<ブルーブック>の会社に勤めるケイレヴ(ドーナル・グリーソン)は優秀なプログラマー。
無論、この劇中の<ブルーブック>がGoogleやFacebookの名前をもじった企業名である事は明らか。
ある日、社内の抽選で選ばれて、ヘリコプターに乗って、美しい広大な森の奥深くにある、ブルーブックCEOのネイサン(オスカー・アイザック)の自宅兼研究ラボに1週間招かれることになるのでした。
しかし、そこでケイレヴを待ち受けたのは、最新型AIエヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)の<チューリング・テスト>だったのでした。
といったイントロダクションの映画でした。
この<チューリング>といえば、昨年(2015年)の第87回アカデミー賞の脚色賞にてオスカー像を手中にした『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』の主人公である数学者アラン・チューリングの話が思い起こされますが、やはり、この言葉も、まさにそこから起因しているらしく、チューリング博士が考案した、ある機械が知的(人間的)であるか否かを判断するテストを指すらしいですね。
そこで、ここでいう<チューリング・テスト>とは、端的にいうと、即ち、その相手がマシンか人間かを見定めるというもの。
テストされる人型ロボットの<エヴァ(AVA)>はあどけない顔立ちに中が透けて見えるスケルトンの体を持ち、外見からはマシンそのものに見えます。
今年(2016年)の第88回アカデミー賞において、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』や『マッドマックス 怒りのデスロード』などの超話題作のSF大作の特殊効果映画の受賞を抑えて、今作品が視覚効果部門賞のオスカー像を獲得したのも頷けるほど、低予算の割りには、実に良く出来た撮影手法だったとも思われましたね。
そして、ケイレヴ、ネイサン、エヴァの3人の関係でお話が展開するのですが、ここに恋愛要素が加わり、肝心のテストに私情が入り込むあたりから、更にハラハラ度が増していくのでした。
また、この3人に加えて、ネイサンの身の回りの世話をする助手のキョウコが絡んでくる辺りから、お話が更に面白くなって行きましたね。
地下空間という設定から、ネイサンの邸宅自体もクリーンでありながらも、実に冷たいSFっぽさを感じさせるセットも良かったですね。
もちろん、エヴァはスペルこそ違えども、<創世記>のイヴが元なのは容易に推測はつきますよね。
この映画の肝となるのは、問題は<いったい誰が誰を試しているのか>という点。
思わぬ秘密が次々明かされ二転三転と幻惑させる様子には、思わず唸ってしまいましたね。
この映画の主題のひとつには、高度情報化社会の現在、個人情報をより確保しようとするインターネット&デジタル化社会への警鐘も込められているのでしょうね。
いったい、<検索エンジンとは誰が何を検索するものなのか>という問いは、差し詰め、実に、良いところを突いているのかもしれないですね。
ただ、最大の主題であり見どころは、やはり、<いったい誰が誰を試しているのか>といった、謂わば、自律型AIに、果たして自我や感情があったのか否かという部分が肝でしたね。
それは観てからのお楽しみですね。
私的な評価としましては、
巷間では、賛否が大きく分かれている作品の様ですが、あくまでも私見ですが、この手の自律型AIと人間の関係性を描いた作品は数ありますが、これほどまでに最後まで翻弄される映画も稀ではないかとも思われるほど脚本が優れており、やはり本年度の第88回アカデミー賞の脚本賞のノミネート作品だったことも解るほどの出来栄えでしたし、また低予算らしいながらも、第88回アカデミー賞の視覚効果部門賞については受賞出来たのも、充分頷ける撮影手法も素晴らしかったと思いましたので、ほぼ文句のつけどころもなく、ほぼ満点の★★★★☆(90点)の高評価も相応しい作品かと思いました。
今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。