ジャンル：時代劇/人間ドラマ
製作年/国：2013年/日本
配給：松竹
上映時間：121分
公式サイト：http://www.bushikon.jp/
公開日：2013年12月14日(土)
監督：朝原雄三
出演：上戸彩、高良健吾、余貴美子、西田敏行、夏川結衣、成海璃子、柄本佑、緒方直人、鹿賀丈史、ふせえり、宮川一朗太、猪野学、海老名はな、浜野謙太、笹野高史ほか
昨年のクリスマスの日に、滋賀県草津市のシネコンにて鑑賞。
率直な感想と致しましては、
加賀藩の、所謂、＜包丁侍＞の成長記と夫婦愛の記録の物語なのですが、それに留まらず、加賀藩のお家騒動の渦中にありながらも、加賀藩の動向には、今ひとつ合点がいかないながらも、饗応料理で、揺れている藩をひとつにまとめ上げようとする＜包丁侍＞の奮闘ぶりまで描かれていて、あの＜算盤侍＞の『武士の家計簿』(2010年)よりも、なかなか面白かったですね。
お話しの流れ的には、
江戸時代の日本三大お家騒動の加賀騒動を背景に、加賀藩に六代に亘り仕えた＜包丁侍＞こと台所御用を務める料理人であり、和食文化の基礎を作った「料理無言抄」を編纂した、実在の人物である舟木家の二代目・舟木伝内(西田敏行さん)と、その次男で三代目・舟木安信(高良健吾くん)に嫁いだ、藩主・前田吉徳の側室・お貞の方に仕える、料理上手の女中・お春(上戸彩さん)の内助の功により、安信の＜包丁侍＞としての成長していく過程や、夫婦愛を描いた、ほぼ史実に基づいた時代劇でした。
六代藩主・前田吉徳の側室・お貞の方＝真如院(夏川結衣さん)と、前田吉徳の側近であった大槻伝蔵(緒方直人さん)が、相思相愛の禁じられた恋仲だったのも史実通りであったらしいですね。
また、そもそも安信は次男であり、＜包丁侍＞としてではなく、武士として剣に生きる道を選びたかったのでしたが、兄が亡くなった為に、否応がなしに、父の＜包丁侍＞としての道を継がざるを得なかったことからも、＜包丁侍＞としての勤務にも熱は入らず終いなのでした。
そして、更には、安信の親友の定之進(柄本佑くん)の妻・佐代(成海璃子さん)とも、元は相思相愛の仲だったらしく、お貞の方と同じく、その時代に生きる運命なのか、好きな相手と結ばれない二組の男女の悲恋のお話しが挿入されることにより、後に、お春に、ある決断をさせる切っ掛けにもなっていました。
そんな折りに嫁いできたのが、お春でした。
出戻り娘の、今で言うバツイチで、４つもの姉さん女房という引け目もあるにも拘わらず、夫・安信の態度は、妻に対しても、仕事に対しても、実につれない状態でした。
そんな状況にあっても、一所懸命に、夫の支えになろうと奮闘する、お春の姿を見ていますと、ついついこちらも応援したくなってくる映画でした。
また、お春を演じておられる上戸彩さんがすごく明るくて健気で愛おしく感じられて、ちょっとした笑いも交えながらの、この内助の功のお話しには、自然と、頬も涙腺も緩んできてしまいましたね。
単なる、武家社会における料理人のお話に留まらず、加賀騒動という歴史に残るお家騒動の渦中に巻き込まれながらも、武士でありながらも刀ではなく包丁一筋で切り抜け、加賀藩を、饗応料理で、ひとつにまとめ上げた舟木伝内と安信。その裏方には、献身的に尽くすお春という妻の姿があったという、料理下手な＜包丁侍＞の成長記と、夫婦愛を描いた、実に素敵な映画でしたね。
ただ、あえて、欲を申せば、江戸上屋敷と加賀藩の区別がつきづらく、加賀百万石の加賀藩らしさが、CGで描写されたワンカットの城下町風景の描写のみくらいしかなく、加賀藩のあった金沢や北陸地方らしさが、撮影された風景などからは、その地元の空気感があまり実感出来なかったのが、悔やまれましたね。
私的な評価としましては、
お話し的には、あの＜算盤侍＞の『武士の家計簿』(2010年)よりも、面白い出来栄えの作品になっていたかと思われましたし、単なる、＜包丁侍＞による、武家社会の料理に関する映画には留まらずに、夫婦愛を上手く描写しており、笑いや涙で、頬も涙腺も緩んできてしまうほどでしたので、やや加賀藩の地元の空気感らしさが感じられなかった点を差し引きましても、★★★★(80点)の高評価には値する映画と思われました。
お勧め作品です。
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