『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』(2012年) | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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「ジブリの世界観の実写化作品(13.4/27・劇場)」
ジャンル:ファンタジー/人間ドラマ
原題:BEASTS OF THE SOUTHERN WILD
製作年/国:2012年/米
配給:ファントム・フィルム
上映時間:93分
公式サイト:http://www.bathtub-movie.jp/
公開日:2013年4月20日(土)
監督:ベン・ザイトリン
出演:クヮヴェンジャネ・ウォレス、ドゥワイト・ヘイリー、リービ・イースタリー、ローウェル・ランデス、パメラ・ハーパー、ジーナ・モンタナ、アンバー・ヘンリー、ジョンシェル・アレキサンダー、ニコラス・クラーク、ヘンリー・D・コールマン、カリアナ・ブラウワー、フィリップ・ローレンス、ハナ・ホルビー、ジミー・リー・ムーア、マリリン・バーバリン、ビッグ・シェフ・アルフレッド・トーゼット、ジョーヴァン・ハサウェイ、ケンドラ・ハリス

ハッシュパピー・チラシ

ハッシュパピー・チラシ裏


京都市内のシネコンにて、京都での公開初日(4/27)に鑑賞。

ハッシュパピー・タイトル

ハリウッド映画という割りには、日本円で、約1億6千万円の低予算で仕上げたファンタジー映画でしたが、そのほとんどは、<オーロックス>という怪物の行進シーンなどの特撮に費やしたかとも思えるほどに、手持ちカメラによる撮影など、実に、手作り感溢れる映画でした。

ハッシュパピー&オーラックスの行進

まだ29歳の新人監督のベン・ザイトリン監督自身が、アニメーション作家という肩書きもあるからなのでしょうか、まさに、スタジオジブリの作品の、特に宮崎駿監督の作品群を実写化したかの様な作品でしたね。

ハッシュパピー・ハッシュパピー&オーラックス

4000人の中から選ばれた、6歳の少女・ハッシュパピー役を演じるクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんの目線で、描かれる創造豊かなファンタジックな世界観。
また、大嵐により、沈み行く島<バスタブ島>や、余命わずかの父・ウィンク(ドゥワイト・ヘイリー)といった厳しい現実に直面しながらも、力強く生きていく、ハッシュパピーを通して、<産業と廃棄物>、<文明と自然>、<生と死>、<土手の上の世界と野趣溢れるバスタブ島>という相対する問題を提示し、更には、ハッシュパピーの創造する世界観から<古代と現代>を結び付ける<オーロックス>という怪物まで登場させて、ファンタジーを纏いながらも今日の現代社会の有り様や未来の有り様までをも考えさせる社会派的な側面も持った映画となっていましたね。

ハッシュパピー・ボート

お話しの流れ的には、
文化圏から周囲を土手に囲まれた、野趣溢れた島たる、<通称:バスタブ島>に、幼い時分に母親が失踪し、父親ウィンクと共に暮らす6歳のハッシュパピー。

ハッシュパピー・ハッシュパピー&ウィンク

ある夜、百年に一度の大嵐が島を襲い、ハッシュパピーの大切なものを全てをさらっていきました。
一晩にして変わり果てたバスタブ島は、嵐によって水没の危機に晒されていたのでした。
沈み行く島から離れずに生きると決めたハッシュパピーとウィンク。
そんな折りに、ウィンクが重病で倒れてしまうのでしたが・・・。
といったストーリー展開の映画でした。

ハッシュパピー・バスタブ島の家

あらゆる動物の心臓の心音を聴いて、動物たちとお話しをするハッシュパピーが実に可愛らしかったですね。

ハッシュパピー・ハッシュパピー2

カメラワークも、ハッシュパピー目線で、カメラを撮影しているのか、手持ちカメラのブレや、逆光によるレンズへの乱反射など、スクリーンを観ながら、正直なところ、途中、酔いそうにもなりましたが、これも普段フレームにちゃんと収まった映像に慣れ親しんでいるせいなのでしょうね。

ハッシュパピー・ハッシュパピー

また、ハッシュパピーの創造するファンタジックな世界観や、この架空の島・バスタブ島の世界観も、あたかも『崖の上のポニョ』や『もののけ姫』の様でもあり、スタジオジブリの作品群の実写化という声も、あながち間違いとも言えないくらいに、実に、似て非なる世界観を実現したような映画でしたね。

ハッシュパピー・お祭りの花火

特筆すべきは、ハッシュパピー役のクヮヴェンジャネ・ウォレスの自然な演技に尽きた映画でしたね。
本年度の米国アカデミー賞の史上最年少での主演女優賞ノミネートも頷ける演技力でしたね。

ハッシュパピー・海の上のお店 

この元ネタは、おそらくですが、北アメリカ大陸南部を襲ったハリケーンの、あの「カトリーナ」による惨状をヒントに製作されたとは思いますが、日本においても、東日本大震災による大津波という未曾有の災害に見舞われましたが、この作品の、沈み行く、このバスタブ島にて、力強く逞しく生きるハッシュパピーを通して、何かしら勇気を授けてもらえる様な、そんな映画の様にも感じましたね。

ハッシュパピー・ハッシュパピー&ウィンク3

但しながらも、派手な演出も無く、劇中の描写が非常に起伏の少ない映画ですので、疲れている時にご覧になられると、睡魔が襲ってくるかもしれないとも思われる様な、緩やかで静かな映画であったのも確かですので、その点は要注意かも知れないですね。

ハッシュパピー・ハッシュパピー&ウィンク2

私的な評価と致しましては、
ハッシュパピー目線による、実にファンタジックな映画で、スタジオジブリの、特に宮崎駿監督の作品群を実写化したような映画でもあり、その上、社会派的な側面をも有する映画でしたので、現実社会の抱える問題を、主人公たるハッシュパピー目線によるファンタジーで纏っているために、意味不明な箇所も多々観られたものの、ハリウッドにおいては、低予算映画ながらも、実によく出来た映画だったと思いましたので、ほぼ満点の★★★★☆(90点)の高評価が相応しい映画かと思いました。

観る人を選ぶ映画かも知れないですが、お勧め作品です。

●映画『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』予告編



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