「落ちこぼれ少年の軌跡(10.11/26・劇場&DVD)」
ジャンル:人間ドラマ
原題:NOWHERE BOY
製作年/国:2009年/英
配給:ギャガ
時間:98分
公式サイト:http://nowhereboy.gaga.ne.jp/
公開日:2010年11月5日(金)
監督:サム・テイラー=ウッド
出演:アーロン・ジョンソン、クリスティン・スコット・トーマス、アンヌ=マリー・ダフ、トーマス・ブローディ・サングスター、サム・ベル、デヴィッド・モリッシー、デヴィッド・スレルフォール、ジョシュ・ボルト、オフィリア・ラヴィボンドほか
R15+
2010年の一昨年の11月末に、京都市内のシネコンにて観賞。
今回、DVDを購入し、再度鑑賞し直しました。
冒頭いきなり、(ギターコード自体は全く異なりますが)、ジョンの作った曲でも有る「ア・ハード・デイズ・ナイト」の、例のあの、「ジャーン!」の音から始まり、ジョン・レノン(アーロン・ジョンソン)は転けても見せてくれます。
まるで、いかにも、映画『ビートルズがやってくる!ヤァ!ヤァ!ヤァ!』の再現シーンの様な冒頭から始まります。
ジョン・レノンのことが好きでも、それ程にも、さほどジョン・レノンにも詳しくない私でも、否が応でも、これは、この作品がジョン・レノンの伝記的な青春映画ということを匂わせてくれる実にニクイ始まり方の演出手法でした。
育ての親である伯父ジョージと伯母ミミの下で、<落ちこぼれ少年=ノーウェアボーイ>として育っていたジョンは、育ての親の伯父ジョージの急死後から、産みの母親であるジュリアの存在を知り、それからというもの、そのジュリアの家に入り浸り、ジュリアからバンジョーの弾き方を教わったり、エルヴィス・プレスリーのロックンロールの影響を受けることとなります。
やがて、ジョンが発起人となり、「クオリーメン」という素人バンドを結成し、これがのちの「ビートルズ」の前身のバンドとなるのでした。
また、育ての親の伯母ミミは、生真面目でクラッシック好きという、派手好きの産みの母親のジュリアとは性格も真逆に位置することから、ビジュアル的にも、育ての伯母のミミの衣装を黒系統。産みの母親のジュリアの衣装を赤系統を基調にしている点もなかなか良かったでしたね。
それに致しましても、アーロン・ジョンソンの演じるジョン・レノン役のイメージは、なかなかハマッていたのですが、いくら、サム・テーラー=ウッド監督自身が、「ソックリさんは演技が出来ないので、そもそも必要はなかった。」と仰っているとは言えども、ポール・マッカートニー役の少年は実に可愛い顔をしてはおりましたが、本物のポール・マッカートニーとは全く違ったダサダサ顔で、ジョージ・ハリスン役に至っては、どちらかと言えばリンゴ・スターの顔の方に似ている様な風貌だったのがチョット残念ではありましたね(苦笑)。
その点は、この作品の後日譚に相当する、映画『バックビート』(1994年)での、ポール・マッカートニーの激似過ぎるほどのソックリ度合いまでは、さすがに求めないものの、もうチョットばかりキャスティングに気を配って欲しかったですね。
<育ての親>と<産みの親>との、二人の母親の間で心揺れ動く、ジョン・レノンの伝記的な青春映画ではありましたが、ジョン・レノンの少年期に、この映画で描かれている様な事実があったなど露とも知りませんでしたので、スゴく勉強になりましたね。
また、この作品で知ったのですが、15歳になるかならないかで、ポール・マッカートニーも母親を癌で亡くしていたらしく、その点からも、この2人の友情や絆も深まったのかとも思いましたね。
しかしながら、決して、この作品自体が、あのジョン・レノンという存在を描いた映画と知らなくても、その親子関係や青春時代の葛藤などの心理描写の模様や、リヴァプールのイギリス風情の有る風景などを楽しめる逸品にはなっていますので、かなり感動を呼ぶ作品には仕上がっているかと思いましたね。
サム・テイラー=ウッド監督は、さすがに女性監督らしく、あえて、ビートルズナンバーを流さすこともなく、ストロベリー・フィールド孤児院などが、密かに映っている風景も粋でしたね。
●ストロベリー・フィールド孤児院
また、更には、ジョン・レノンがバンジョーを習得して行く過程を、ハイスピードカメラを使ったのか、周りのキャストとの動きのスピードの違いから表現している点も、新進監督らしい表現手法とも思いました。また、ジョン・レノンが、フラッシュバックの様に、過去を回想するシーンには、カメラに特殊フィルターを装着して、淡い画面にするなどの工夫もなされていたそうで、かなり撮影には凝った作りの映画に仕上がっていたとも思いましたね。
この映画のラストでは、ジョン役のアーロン・ジョンソンが、「ドイツのハンブルグで修行を積みに行くよ!」との言葉で締めくくっていますので、ちょうど映画『バックビート』(1994年)と、上手く繋がる映画の流れになっている点も、ビートルズのファンのとしては嬉しいですよね。
※尚、映画『バックビート』の映画レビュー記事は、
こちら → 映画『バックビート』(1994年)
それに致しましても、本作品が彼女の長編監督デビュー作でも有るそうですが、これからも楽しみな監督さんですね。
●女流新鋭監督のサム・テイラー=ウッド監督
※でも、サム・テイラー=ウッド監督は、この映画の主役のジョン・レノン役のアーロン・ジョンソンと、23歳の年の差を苦ともしない、<出来ちゃった婚>をして第一子を授かり、その後にも第二子を出産し、二人の娘さんの母親になったそうですので、しばらくは育児休暇かもしれないですね。私的な評価と致しましては、
私自身は、ジョン・レノンの熱烈なファンとまではいかないまでも、好きなアーティストの1人でしたので、その伝記的な青春時代を描いた映画を観れた自体が嬉しかったでしたし、今まで知らなかった彼の意外な事実も垣間見られましたが、そもそも、この映画をジョン・レノンの伝記的な映画として観なくても良いくらいに完成度の高い青春映画でしたので、★★★★☆(90点)の高評価を付けさせて頂きました。
お勧め映画です。
●映画『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』劇場予告編
●John Lennon 『HappyXmas(War is Over)』
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この度も、最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。