日曜日には花束を・・・
じゃなくて
花束だけじゃないシャガールを観に行きました
【マルク・シャガール 版画の奇跡 ∞ 無限大の色彩】(
目黒美術館 )
「ほんとうのシャガールを知っていますか?ほんとうのシャガールを視たことありますか?」
という煽り (ヲイ) から本展の趣旨が紹介されてます
色彩に惹かれてるのですが、それはよく言われる明るいということだけでは無くて…なので、
「ちょっとは知ってるかもよ、でも教えて

」
というキモチで作品を鑑賞した素直なアタシ
油彩も壁画も彫刻も、と沢山の作品が有るシャガールですが、こちらの展覧会は版画オンリー…
「サーカス」「ダフニスとクロエ」「死せる魂」という3つの物語のための版画集と、他に自画像と「馬の日記」の一部が有りました
■「サーカス」
仙台のシャガール展でも、サーカス関連は一番魅入ったところです……一番好きです
今回は挿画本ですが、シャガールにとってサーカスは生涯のテーマだったらしい
「夜には人間の足をつけた震える魂を持つ鳥たちが馬の上を飛ぶ。
鳥たちはライオンや熊と一緒になって戯れる。彼らの姿を私はこの本の中に表した。
彼らの大きくひらかれた口から別の真実
―私たちにはわからない―
動物たちの真実が語られるのを聞く。
猛獣でいっぱいのこの大きな檻を見て
ライオンや虎でいっぱいのこの大きな鉄の箱を見て
私の心を奇妙な考えが廻る。目の前にあるのはノアの箱(方)舟であると。」
長い引用ですみません、シャガールの言葉が壁面に書いてありました
全38点のリトグラフは、著作権者の意向で一点一点のタイトルがついていませんでした
サーカスに全く関係の無いものが書かれていたり、繰返し同じモチーフが登場したり…
美しい色使いだからこそ背後の哀しみを強く感じる気がします
■「ダフニスとクロエ」
2世紀末から3世紀初め頃にギリシャのロンゴスという人が書いた純愛物語ですが、古くからとても沢山の芸術家が作品のモチーフにしています
絵画だけでなく音楽や舞台も有り、パリ・オペラ座での上演では、シャガールが舞台美術と衣装を担当した時も……
先秋のシャガール展でその辺りは色々と観ることが出来ました
これは表紙で、全42葉が展示されていました
挿し画をいくつかに分けて対応するあらすじが掲示されていたので、物語を確認しながら楽しめました
ギリシャの小さな島で家畜の世話をしながら素朴に生活している少年と少女が、
恋を知ってもどうしたら良いのか分からない、また様々な障害もやって来たり、少し横道に逸れたりは有っても、最後はめでたく結ばれるというお話です
以前、この油彩の方を何点か観た時は、
「変幻する色彩で自然が生きているということ自体を表現」していることに感動しました
今回、物語を追って眺めると、生身の人々を描いていてもどこか幻想的で、優しく穏やかな色彩に心落ち着く気がしました
牧歌的な風景や純朴で素朴な二人の愛情、ニンフの存在など、シャガールの画風にビッタリの題材だと思います
■「死せる魂」
物語は、ロシアの作家ゴーゴリが著した、善人が一人も出てこないというなんともはや…というもの
シャガールの挿し画はエッチングでの単色の版画で、全部で96点でした
フランス時代の作品ですが、風景など、一種の望郷の念を漂わせているそうです
こちらもあらすじが有ったので、ゴーゴリなんて一生読まないだろうワタクシめも、物語の概要は掴めました ^ ^
農奴解放令が出される前のロシアでは、地主は数年おきの国勢調査までに死亡した農奴の税金も払わなければいけませんでした
ある時チーチコフという詐欺師が、それらいわば「死せる魂」の名義を地主から買い、政府から一儲けしようとする話です
欲深く吝嗇な地主達、非効率的で偉そうな役人、そして小賢しく口の上手い詐欺師…
シャガールの挿画は、そういった人物の特徴を、表情や体勢、服装などで実にくっきりと浮かび上がらせるものでした
また建物の細部、部屋の装飾、街角の様子など、人々の暮らしも細やかに表現されていました
物語だけと挿画付きの本とでは、絶対に読後感が違うと思います
シャガールの、どこかユーモラスで憎めない登場人物画は、どうしようもない人間臭さを感じさせます
日曜日でしたがお客さんが少なくて、ゆっくりジックリ観られました
が!
もっと観に行く人が増えて欲しいと思った静かな展覧会でした