「リョウガ、今日一緒に出かけないか?」
「・・・へ?」
あるオフの日。
イェソンヒョンが僕にこう言ってきた。
「特に予定もないし、いいですよ。」
「じゃあ、準備できたら声かけてくれ。」
「はい。」
キッチンの洗い物を片付け、着替えに部屋に戻る。
グローゼットを開けてあれやこれやと服を取り出しては、鏡の前で一人悩んでしまった。
僕とイェソンヒョンは恋人同士だけど。
デートなんて初めての経験で何を着ていったらいいのかわからない。
「って、デートなわけないじゃないか。」
ただ一緒に出かけるだけ。
でもそれがすごく嬉しいんだ。
ヒョンが誘ってくれたってことが嬉しい。
僕は先日買ったばかりの服を着ることに決めた。
「イェソンヒョンおまたせー。」
「よし、行こうか。」
ヒョンの車に乗り込んで明洞に向かった。
車を降りると先を歩くヒョンに付いていこうとするんだけど、なかなか追いつかない。
そんな僕を見かねたイェソンヒョン。
そっと僕の右手を掴むと少し歩調を緩めて歩いてくれる。
「気がつかなくてごめん。」
「ううん、なんだか照れちゃうな。」
僕が笑うとヒョンも「俺も、照れる。」と笑ってくれた。
繋いだ手の温度がまた嬉しい。
二人で映画を見て、食事をして、ブラブラ歩く。
本当に夢みたいな一日。
僕たちがこうして二人で外を歩くことなんてなかなか出来ない。
だから例えこれが最初で最後でも本当に嬉しいんだ。
すっかり暗くなった街を車で走る。
一日があっというまだったから、少し名残惜しい。
「イェソンヒョン。」
「ん?」
「今日は誘ってくれてありがとう。」
窓の外の街の灯りを見つめながらぽそりとつぶやいた。
暖かな掌の感触が頭に降ってくる。
「俺の方こそ、ありがとうな。」
「え・・・」
「恋人らしくデートなんてなかなか出来ないのに、そばにいてくれて。」
「イェソンヒョン・・・」
「リョウガがいるから俺はいつも頑張れるんだ。」
ヒョンの言葉に涙がでそうになった。
僕だって、ヒョンがいるから頑張れるんだよ。
貴方が僕を愛してくれるから。
たくさん抱きしめてくれるから。
好きだと、言葉で、態度で、伝えてくれるから。
「リョウガ、愛してるよ。」
「イェソンヒョン、僕も愛してます。」
これからも隣で愛を伝え合って生きたい。
END