[ギュイェ]
ねぇ、イェソンヒョン。
待ってるから。
だから俺も・・・。
「俺、兵役に行くことにした。」
「・・・は?」
それは久々に二人で酒を飲んだときのこと。
珍しくヒョンが「飲みたいから付き合え」って言ってきたんだった。
「行くって、随分急じゃ・・・」
「前から決めてはいたんだ。カンインが戻ってきたら、俺も行こうって。」
「そんな・・・」
思わずグラスを落としそうになる。
確かにカンインヒョンが戻ってきたけど。
イトゥクヒョンだって軍隊に入るって言ってるのに。
何よりイェソンヒョンと離れてしまうのが嫌だったんだ。
まるで置いて行かれるかのような感覚。
俺だっていつかは行かなきゃならないって分かっているけど。
それでも2年も会えないのかと目の前が暗くなる。
「キュヒョナ・・・?」
「・・・なんか、解ってるんですけど・・・」
「うん。」
「なんか、嫌です・・・」
「うん。」
優しく背中に回る腕の温度とか。
頬に触れる手のひらの感覚とか。
唇の柔らかさとか。
全部、全部、何もかも。
忘れないように体に刻み込めればいいのに。
その時初めて切実に願った。
「じゃあ、行ってきます。」
そう言って訓練所に入っていったヒョンの背中をずっと見ているしかなくて。
隣に立ったカンインヒョンは俺の肩をずっと支えていてくれた。
「キュヒョナ、行くぞ!」
「はい。」
ステージの幕が上がる。
イェソンヒョンが居ない初めての公演。
客席には俺たちの色が広がっていて海の中にいるみたいになる。
ねぇ、ヒョン。
イェソンヒョン。
俺はこの海の中で待ってるから。
だからヒョンも俺をこの海の中で待っていてくれますか?
目の覚めるような青の中で・・・。
END