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愛をうたう

ショウジョウハイライト明香のアタマ





10月、3連休あたまの2日間

名古屋、今池の大好きな人たちに会いにいってきた。

いつぶりかなと思い遡ってみたところ

2019年10月5日に歌いに行ったのが最後だった。



今池という街に

あらたると

というカフェ&バーがある。

お客さんが扉を開けると

店主が「おかえり」と声をかけるお店。


名古屋はもちろん、全国からいろんなミュージシャンやアーティストがやってきて

様々なライブ、絵の展示やアートイベントなどなど

とにかく面白い催しが開かれる場所。


そんなあらたるとに私が初めて足を踏み入れたのは

2013年、友人のライブを見に行った時。

大阪から乗り継ぎ、駅をおりて10分ほど歩くと

公園の前にふんわり明かりが灯る店があった。

その当時は菊ちゃんが店主だった。

彼女は絵描きで、しっかりしているんだかしてないんだかよく分からない人で、いつもニコニコしてて、

商売っ気がなくて、とてつもなく愛が溢れていた。

タルトを出すカフェをやろうとこのお店を出したと言っていた。


彼女は不思議で

周りの人たちがお手伝いしたい気分になる人。

店員さんと間違えるくらい働いていたお客さんが

現在の店主のタンクさん。

お店の主のような常連のひとりが、かとくん。

その3人に出会ってしまった。

あるたるとに集まる人たちはとても自然体で、フレンドリーでちょっと変で面白い人たちばかり。


駅前のビジネスホテルに泊まると伝えると、もったいないからキャンセルしな!

みんなでうちに泊まればいいよ!と言われキャンセルした後に

猫ちゃんがいることが分かって、猫アレルギーの私は、手慣れた様子で寝床を作ってくれた菊ちゃんと共にお店で寝ることになった。


ライブ後もお客さんたちもみんなで

たくさん話してたくさん飲んで楽しくて

タンクさんの家に友人たちも帰ったあと

菊ちゃんに歌ってと言われ店のギターを借りて歌ったり、一緒に片付けをしながらたくさん話して

空が白んでくる頃までいろんなことを語り合った。

翌朝、モーニングに行こうと迎えにきてくれたタンクさんに昨夜のことを話すと

菊ちゃんがそんな身の上まで話すなんて珍しい!と驚かれたくらい、私たちは一晩でぐっとお互いを知り合った。


その日から、何度か

遊びに行ったり、歌いにいったり。

娘が生まれて、なかなか名古屋に行けない時も

あらたるとの孫ができた!いつでも帰っておいで!

とみんなで喜んでくれた。


いろんなことがあって

あらたるとはタンクさんが引き継いだ。

菊ちゃんが店主だった頃からタンクさんはお店のマスコット的な感じだったので

私が初めて行った時から今もずっとあらたるとのまま。


ちなみにタンクさんもとても素敵な絵描きさん。

タンクさんは共感覚という特性を持っていて

音を聴くとその音ひとつひとつを色として感じる。

物知りで、色々はっきりと言うけど、気遣いの人で

楽しくて、食いしん坊で、愛で出来ている。


代がわりした後のあらたるとに歌いに行った時も

菊ちゃんとかとくんが会いに来てくれた。

あらたるとに行ったらかならず、3人が迎えてくれる。

また朝までみんなで楽しく過ごした。


その後わたしが舞鶴に引っ越したり

コロナもあり名古屋も長く行ってなかった。

ある日突然タンクさんから

"多分今いるところ、はるかちゃん家の近くじゃないかなー"って電話があった。

家から15分くらいのところに、手作りのうどんやラーメンが

珍しいレトロ自販機から出て来るドライブインがあって

友人とそこに立ち寄ることになったからと連絡をくれた。

朝だったので

こどもと一緒に会いに行って、うどん食べて

近況を聞いたり、お腹の中の第二子のことも報告したりして、またね!って別れた。


そこからさらに時は流れて先日の名古屋へたどり着く。





今日は

なんだか色々な感情が私の中にごちゃっと満ちて

会えない人のことを思い出したり

会いたい人のこと考えていたら

たまらなくなって

コンビニに駆け込み

マッチとたばこを買って

ずいぶん久しぶりに一本吸った。



最後に口にしたのは14、5年前

1度目の結婚をする前か、した後か、終わる前か。

はっきりは覚えてはないけれど

まぁずいぶん前。

大好きなおじさんが肺の病気になって手術をして退院したということを聞いて

大阪からサンダーバードで金沢へ

金沢からおじさんの住む能登へ向かった。

家に着いて、ちょっとだけ病気の話をして

あとは特になんてことない話をしあった。

ずいぶん痩せたおじさんから、たばこを辞めたことも聞いた。

日帰りだったから長居はしなかったけれど

私が来たことをとても喜んでくれて

私はまたねって言って金沢まで車を走らせた。


金沢駅

電車のホームへ向かうまでにあったゴミ箱に

持っていたタバコもずっと使っていたジッポも捨てた。

思いつきみたいに全部捨てたわたしは

願掛けもあって

その日を最後にたばこを吸うのをやめた。



それからひとりになったり

恋人が出来たり

また結婚したり

子どもを産んだり。

住む街が変わって

また子どもを産んだり。

身体のなかで私を養分に育ったり

身体で作られるもので育ったりするから

長い間、私の身体はわたしだけのものじゃなかった。


おじさんの身体はとっくに無くなったし

わたしはずっと死ぬまで歌をうたうから

たばこはもう必要なものではない。



でも今日は

なんだか無性に

わたしがわたしだけのものだった頃が懐かしくて

その頃のわたしに、あなたに

逢いたくて、たまらなくなった。



久しぶりに手にした、たばこのジャケは

昔見た海外のものよろしく

注意喚起のために色気の無い文字が並んでいて

好きだったデザインは上に押しやられ

ひっそりと張り付いていた。

思い出すこともなかったくせに

わたしの中にはいつもの手順がこっそり残っていたようで

上部のビニールを炙って赤いラインを残して

重なった紙は人じゃない方をあけて

反対側をとんとんと指でたたいて一本取り出す。

咥えて

マッチをすって

火をつけた。


吸い込んだ煙の匂いは懐かしく

久しぶりだからむせるかなと思ったけど

そんなことはなくて

ゆっくりと一本吸い終わった頃には

頭の中でごちゃごちゃしていたものたちは

それぞれ所定の位置に還っていた。




20歳になる2日前、片町でオープンしたバーの店名から始まって

25歳の時、都島区で始めたバーに引き継がれた店名

そして30歳

弾けないギターを抱えて歌い出したバンドの名前

今、ひとり歌う時のステージネームの中にもそれはある。



最も光が当たって明るく見える部分

見せ場

見どころ


お店の名前を考えていた時

ふと傍らにあったたばこに目がいき

綴りはちがうけど、単語の意味を知って運命を感じた。



まだまだ途中だけれど

わたし人生にはたくさんの見せ場があった。

たくさんの出逢いがあって

色んな時期にそれぞれ輝きのようなものがあって

これから先もきっとたくさんあるだろう。

望んだことも望まないことも全部

今のわたしを形作る大切なピース。




もしもわたしの身体が無くなる前に

思い返すことがあったなら

わたしはどの場面が1番輝いていたと思うんだろう。


光が当たっていた場面はたくさんあるから

暗い部分も、きっと全てが輝いて見える。

眩しくて目を細めながら

最後に一本ハイライトに火をつける。


もしわたしが最後まで吸えなかったら

火の始末だけは誰かお願い。

















久しぶりの大阪は

多すぎず

不足なく

ちょうど良い大阪でした。


気を抜くとすぐ欲張りたがるのが人の常ですが

再会もあって

新しい出逢いもあって

当たり前もあって

もう無いものもあったり

なにせ愛おしい時間の連続でした。



早朝に到着した高速バスから大阪に降り立った時

6年分の今の暮らしが染み込んだわたしの中に

どれだけ大阪での日常が残っているのかドキドキしたけれど

歩き出したら意外と迷わずどこにでもいけるくらいは

しっかり残っていました。

人のあまりの多さと変わってしまったお店にキョロキョロしながら

ギターを背負って汗だくになりながら、はじめてのライブハウスに向かう道のりは

暑くてうんざりしながらも、心の中に風が吹いているようでとても爽やかでした。


お昼のライブイベントでは、歌いたい歌をうたったわたしに

いろんな方が声をかけてくれて

感想を言ってもらったり

褒めてもらったり

自身の話をしてくれたり

たくさん持って行ったやまもものジャムもイベントが終わる頃にはすっかり売り切れて

何回もありがとうを言えて幸せで、そして楽しかったな。


夕方にはフリーになり

泊めてもらう友人の元に向かい

地下鉄の改札を出た時

迎えにきてくれた顔を見て涙が出て

あぁわたしは思っていたより逢いたかったんだなとびっくりして2人で笑いました。

立ち飲み屋で乾杯して

家に戻って深夜までいろんな話をして

いかに私たちがこの街で同じ時間を過ごして

たくさんの想い出があるかをひとしきり思い知ったあと

ぐっすり眠りました。

朝、先に出かける彼女を見送って

ひとりマイペースに出かける準備をして

家の鍵を閉めて次の目的地に出発。



わたしの大切な先輩。

大好きなお姉さん達に会いにまた別の駅へ。

3人でカウンターに並んでらーめんを食べたあと、お腹いっぱいでお部屋に向かい早速大切な儀式を。

大阪にいた頃

ある時からその方にわたしのギターの弦の交換をお願いしていたのです。

定期的に逢うためでもあり

わたしがうたうための大事なおまじないのような。

当然会ってなかった6年の間に仕方なく自分で弦を変えた時もありましたが、やっぱりなんか物足りなくて。

会えない間に新しく変わったギターを手に

ナイロン弦ってどうすんのー?とかワイワイ言って

美味しいデザートを食べながら

たくさんのおしゃべりと共に儀式は無事終了。


また会う約束をして

高速バスに乗るために歩いて電車にのってまた歩いて。


15:30

難波からバスに乗り込んで

17:20

舞鶴駅に停めておいた車に乗り込んで家へ向かって走り出しました。

家の近くのトンネルに入る前の脇道で

鹿が草を食んでいて、なんか笑ってしまった。

ほんの2時間まえまでの景色とあまりにも違って

まるで竜宮城から帰ってきたかのような不思議な気持ちでした。

玉手箱はないしおじいさんにはならなかったけれど

たくさんの宝物をもらってあの頃にのわたしに逢えた。


ただいまー!と玄関を開けた瞬間

小さい宝物たちが走ってきて

お土産を出してしまえば

ここでの日常がさらっとはじまって

夕飯の準備をしてみんなでご飯をたべて。

良いことばかりとはいかない日常ではあるけれど

まだまだわたしは途中だし何にでもなれる。

逢いたい人に逢いにいかなくては。



みなさんお世話になりました。

忘れたくなくて文章に残しました。

楽しすぎて1枚も写真を撮っていなかったので

家に着いた瞬間に、駐車場の正面の田んぼと山と空を撮りました。

それを今回の旅の写真とします。

またうたいにいきます。

ありがとう。