洗濯物をたたむ 2 | 愛をうたう

愛をうたう

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そんな日々が随分当たり前になった頃

病院の検査に引っかかったとカミジさんは言った。

別に深刻そうに言った訳じゃないけれど

何となく私たちには分かった。

きっと今まで通りの暮らしじゃなくなって行くんだなと思った。


入院したり、退院したり

病院が変わったりして

カミジさんは

笑ったり落ち込んだり、少しわがままを言ったりしながら生活していた。


サカエちゃんも私も病院の近所に住んでいたので

カミジさんが欲しいと言ったものを届けたり

なんだかんだよく会いに行った。


病気になって娘さんが会いに来てくれたようで

また会えるようになったと言って嬉しそうに話していた。



◻︎◼︎◻︎



春の手前

前に3人で近くの川にお花見に行ったことを思い出して

お店が終わったあと


今年もまたお花見行こうね


とカミジさんにメールをした。



次の日の朝、カミジさんの携帯電話から電話がかかってきて

電話口は娘さんでカミジさんが亡くなったことを伝えられた。





お葬式の日

サカエちゃんと私は受付をしていた。

中からお経が始まった後もそこに座っていて

何となく2人ともぼーっとしていた。

とても天気が良くて受付に向かって外から陽の光が射し込んで目の前がキラキラしていた。




なんや、みんなようけ集まってなんか楽しそうやなー。




とか言いながら入口からカミジさんが入って来そうで

それをサカエちゃんに言った。

そうやねーって言いながら2人で泣いた。


その時私はハンカチを持っていなくて

サカエちゃんのハンカチを2人で使った。

私は洗濯して返すねって言って持って帰った。



◻︎◼︎◻︎




それから程なく色んなことが起きてお店を閉めた。

またしばらくの時間が経って

いくつかのライブハウスで働いたりしながら

自分で歌を作って歌うようになった。

ギターも弾いている。



もっと一生懸命練習して、もっと一緒に歌いに行きたかったな

と思う。

ギターも、教えてもらいたかったな

って今だから思う。

私の歌聞いたらなんて言うかな。

今の私見たらなんて言うかな。

話したいこといっぱいあるのになと思う。



会えなくなった人たちは

最後に1番大事なことを教えてくれる。

私の中でとても強い指針になる。


でもまた暮らしの中でうっかり忘れたりして。

その度に何かがそっと大切なことを教えてくれる。








今日はとても良い天気で

外から陽の光が射し込んで目の前がキラキラしている。


その中で洗濯物をたたんでいる。