フラッシュ・ゴードン(1980) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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 フラッシュ・ゴードン(1980)

 

スターウォーズ(1977)の大ヒットにより掘り起こされた感のあるスペース・オペラ作品。

原作は、ジョージ・ルーカスも手をつけたかったという、新聞に連載されていた漫画です。

宇宙を支配しているミン皇帝(なんと、マックス・フォンシドウが演じる!)が、地球に地震を起こしたり巨大台風を自在に起こすことのできる装置などを使って、地球征服を目論む。

 

この侵略をただ一人予言していたため変わり者扱いされていた科学者と、偶然、科学者のもとへ飛行機で不時着したアメリカン・フットボール選手の、フラッシュ・ゴードン(サム・J・ジョーンズ)と女性記者デイル(メロディ・アンダーソン)が宇宙に飛び、地球を守るためミン皇帝との戦いに挑む・・・

衣装やセットに力を入れていて、画面は一見豪華絢爛。

宇宙船や、惑星のデザイン、敵のモブキャラのコスチュームなどなかなか凝っている。

主題歌は、ロックバンドの「クイーン」が担当して、盛り上げようと頑張っている。

 

しかし、スターウォーズを先に見せられている観客には、いささか古めかしく感じてしまう。

 

フラッシュらが捕らわれた最初のアクションシーンでは、彼の個性を生かしたアメリカンフットボール作戦で敵を次々と倒し、合間におとぼけギャグをはさんだりしてのんびりムードが楽しいなと思いながら見ていたのだが、そういった奇抜なアイディアはここで弾切れとなり、あとは裏切り寝返りが交錯する、スパイアクションのような展開になり退屈してくる。

 

主人公らを待ち受ける危機も、出たとこ勝負というか、非常にあっさりとしていて緊迫感が盛り上がらない。

 

クライマックスは、フラッシュが、ミン皇帝の圧政に苦しめられていた鳥族や緑族らと協力して反乱、スペクタクルシーンとなるのだが、ここも技術的には貧相。

バーバレラ」(1968)から進歩していないというか・・・

鳥族の戦士がミン皇帝側の光線でやられるところなど、ハエたたきでハエを落とすように見えてしまう。

ミン皇帝のマックス・フォン・シドウはさすがの存在感を示すのだが。

この作品のセットや雰囲気なら、光線銃などは使わず、例えば大きな剣で丁々発止とやりあったりしたほうが、「エクスカリバー」みたいな古典伝奇ムードが高まってよかったんじゃないかと思った。

せっかくお姫様とかが綺麗なんだから。

 

主役のフラッシュ・ゴードン演じる、サム・J・ジョーンズも魅力が少ない。

野性味なのか洗練か、どっちつかずの中途半端なキャラクターになってしまった。

 

そんななか、面白かったのは、科学者の記憶を特殊な装置を使ってミン皇帝の手下が消そうとする場面。

胎児になるまでの科学者の過去がモニターに映し出されるのだが、その映像が興味深い・・・

 

 

 

『フラッシュ・ゴードン』Flash Gordon(1980)米

マイク・ホッジス監督 111分

1981年(昭和56年)2月日本公開