いつかギラギラする日(1992) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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 いつかギラギラする日(1992)

 

当初の予算をはるかにオーバーした11億円もの予算を費やし完成させたものの、興行的には大惨敗に終わった深作欣二監督のアクション作品。

 

しかし、CGを使わないカーアクションが激しく、登場人物たちも皆イッちゃっていて面白い。何故当たらなかったのかなという作品です。

 

神崎(萩原健一)をボスとする銀行強盗を繰り返す3人組。

彼等は決して捕まることがなかった。

 

3人組のうちの一人、井村(石橋蓮司)が借金に困っていることをきっかけに、再び強盗をすることに。

 

その強盗計画とは、仲間の柴(千葉真一)が知り合った若者角町(木村一八)の計画した、ホテル売上金2億円の奪取計画だった。

 

綿密に計画を練り、現金強奪には成功したものの、奪った金は5,000万円しかない。

 

一人頭取り分4,000万円を考えていた彼らは、その金の持ち分を巡り仲間割れを起こし・・・

 

この物語が展開する序盤の強奪シーンがよくできていて感心します。

スピード感とスリルがたっぷりの深作節が味わえます。

 

物語は、強奪した金全額を持ち逃げした角町とその恋人の麻衣を、神崎やヤクザ警察がひたすら追い詰めるという単純構成なのですが、それがいいです。

 

とにかく派手に車をぶっ壊し、銃を乱射する。

冒頭にも書きましたが、CGを使っていないので本物の迫力。

 

神崎演じる萩原健一は、『チャイナタウン』のジャック・ニコルソンよろしく、鼻に絆創膏を張って、木村一八演じる角町を追い詰めます。

その仕草もカッコよろし。

 

木村一八も破天荒キャラを頑張っているのですが、特筆すべきは彼の恋人麻衣を演じる荻野目慶子。

不思議ちゃんキャラ炸裂で、奇声をあげながらマシンガンをぶっ放します。

二人の逃避行は、どこか『俺たちに明日はない』のウォーレン・ビーティーとフェイ・ダナウェイを思わせます。

 

そして、計算されつくしたカーアクションは見事ですね。

観光バスの横転場面をはじめ、追突に追突を繰り返すカーチェイスなど、カメラも含めてお見事です。

繰り返しが過ぎるかもしれませんが、CGでないところの本物の迫力があります。

 

原田芳雄の殺し屋や、安岡力也の銃の売人、神崎の愛人多岐川裕美など、唐突に出てきたりして人物構成が少々雑なのがちょっと残念ですが、威勢のいいアクション描写でそんなことは帳消し。

やっぱり深作監督は、気取って文芸物を撮ったりするより、こういった作品の方が本望のような気がします。

 

『いつかギラギラする日』(1992)

深作欣二監督 108分

1992年9月公開