おもいでの夏(1971) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

 

 おもいでの夏(1971)

 

本日も、過ぎ行く夏をしみじみと感じる作品をレビューしたいと思います。

 

1942年、夏の終わり。

戦火を逃れてニューイングランドの小島へ越してきたハーミー一家。

 

ハーミーには年頃も近い二人の友達ができ、

思春期の彼らは、女性のことで頭がいっぱいだった。

 

どこからか、性に関する医学書を持ち出してきては、妄想で頭がいっぱいになってしまう彼等。

 

そんな時、ハーミーたちは、島の高台にある家に住む美しい年上の女性の存在を知る。

 

ふとした偶然で、ハーミーはその女性と知り合うことになる。

 

彼女の名前は、ドロシー(ジェニファー・オニール)。人妻だった。

 

彼女の夫が出征した後、ハーリーはよりドロシーと親密になる。

ハーシーは次第にドロシーのことを女性として意識するようになるのだが・・・

私にもありましたよ。

年上の女性に対するあこがれ。

それを性的な対象として意識するようになると、なんだか態度がおかしくなっていきました。

 

その点本作の少年ハーシーは、自分の気持ちに正直で、彼女の家に行くときには正装していったりします。

 

友人の悪ガキたちとの関係も面白く、件の医学書を読み漁るシーンなどはなんだか懐かしくて微笑ましく見てしまいます。

この年頃のガキたちがエロ本を回し読みするのと同じですね。

 

ハーミーが、その友人にそそのかされて、薬局に避妊具を買いに行くシーンがあるのですが、最初は怪訝な顔をしていた店の主人が、ハーミーのぎこちないやりとりにすべてを察して、売ってあげるシーンもいいですね。

 

やがて、ドロシーに悲劇が訪れ、その夜にハーミーを受け入れるのですが、このシーン約15分くらい、台詞も効果音も音楽も一切なく、外から差し込む光と影の中、二人の姿が部分的に見えるだけで二人の成り行きを描写する。

このシーンには感激しましたね。

寂しさも悲しみも怒りも愛おしさもすべての感情が無音のシーンの中で爆発する。

 

そして、静かに夏が終わって、

少年が一つ大人になるという誰にでも経験があるだろう出来事を、上質の詩を読み終えたような余韻を残して物語は終わります。

 

ドロシーを演じたジェニファー・オニールは永遠に美しい年上の女性(ひと)として、いつまでも私の心の中に残り続けます・・・

憂いを帯びた美しい音楽は、ミシェル・ルグラン。

『おもいでの夏』Summer of '42 (1971)

ロバート・マリガン監督 104分

1971年(昭和46年)8月日本公開

 

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