セレブリティ(1998) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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 セレブリティ(1998)

 

敬愛する、ウディ・アレン監督作品です。

出演俳優、上映時間、等、彼のフィルモグラフィーの中では一番大作なんじゃないかなともいます。

 

主人公の、リー(ケネス・ブラナー)は、ジャーナリスト。

ある日、映画の撮影の取材をしているときにエキストラをしていた女性ノラ(ウィノナ・ライダー)に声をかける。

 

リーは、合間合間に映画の脚本を書いたり小説を書いたりしているが、作品はセレブたちにあしらわれるだけで、どうも地に足がついた作品が執筆できない。

 

16年間一緒だった妻ロビン(ジュディ・デイヴィス)とも離婚したこともあり、彼の心も浮ついていた。

 

次々と彼の前には魅力的な女性が現れるが、彼女たちはリーを困惑させ、振り回すばかり。

 

一方、別れた妻ロビンは、教師生活を辞めたところで、テレビ制作者のトニー(ジョー・マンテーニャ)と出会い、恋に落ちる。

 

しかし、ロビンは、あまりにも完璧な男性と恋に落ちていくのが怖くなってきて・・・

 

アレン監督お得意の群像恋愛劇です。

いつものインテリ臭いセリフを、セレブな登場人物が話すことで、ほかの作品以上に臭います(笑)。

セレブの中に放り込まれた主人公のリーが、恋に生活に右往左往しながらも、やっぱり女性を追い求めてしまう。

 

そして、それは女性も同じ。

他人が人生に迷い苦しんでいるのに、自分は棚ぼたで最高の恋を手に入れたことを罪として感じ、新しい恋人との結婚式当日にドタキャンしたリーの元妻ロビンがふらり訪れた占いの館で、

「恋に迷ったときは、精神科医でも占いでもなく、熱いキスをすればいいのよ。今日のドタキャンだって10ドル分の占いだと言って彼は許してくれるわよ。だって愛しているのだから」

と占い師に悟らされる場面はいいですね。

 

とてもいいお話なんですけど、人物関係が入り込み過ぎて少し混乱してしまうのが残念です。

 

アレン監督で私のナンバーワン作品の『ハンナとその姉妹』では、その人間の交錯がうまく絡み合ってきれいに収まるのですが、今回はそこまでの切れがなかった。

 

成功者の物語を描いた作品の試写会に訪れる場面で、リー以外の人間はみんな順調のように見えます。

そこでスクリーンに映される大空に描かれたHELPの文字。

リーだけ孤独のまま終劇する象徴で、コメディではあるがなんだか悲しい終わり方をします。

 

リーを演じた、ケネス・ブラナーのしゃべり方が、ウディ・アレンにそっくりなのは驚きました。

 

傍若無人のふるまいをする若手映画スターの役で登場する、レオナルド・ディカプリオの壊れっぷりも面白いです。

 

あと、ちょっと笑えたのが、ジャック・ニコルソンの物まねが得意な若手コメディアンが出てくるシーン。

 

 

『セレブリティ』Cerebrity(1998)

ウディ・アレン監督 114分

1999年8月日本公開

 

 

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