恋する惑星(1994) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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 恋する惑星(1994)

 

誕生日に2度振られた刑事と麻薬ブローカーの女。

女に振られたばかりの警官と、彼にに恋する飲食店に新しく入った女。

 

この飲食店が恋の交差点となって、二つのすれ違いの恋が描かれる!

 

スタイリッシュな映像と、アメリカのオールディーポップスが融合した不思議なラブストーリーです。

 

エピソード自体はとても浅いのですが、惹きつけるものはありますね。

二つのエピソードに登場するそれぞれのカップルがとてもじれったくてくすぐったい。

 

完全に振られているのにいつまでも元カノのことが忘れられず、共に祝うはずであったであろう自分の誕生日である5月1日が賞味期限の缶詰を30個買いこんで食べてしまう刑事633号。

 

振られた後に最初に遭った女に恋しようと決意した633号はバーに入り、金髪の麻薬ブローカーの女を見つけ隣に座り、自慢の広東語、日本語、英語を駆使して女の気を惹こうとするが、女はつれない。

しかし女は酔いつぶれてしまう。

二人は夜を共にするが、結局それだけ。

男は女のハイヒールを脱がせて部屋を出る。

 

そして意外なハッピーエンドになるのかと思いきや、ハードな展開になって、

男は飲食店で新入りの娘フェイとすれ違う。

 

そして、すれ違ったこの娘フェイはまた違う男に恋するのだ。

前半が急転直下で幕を閉じると、

ママス&パパスの『夢のカリフォルニア』が流れてくる。

 

会話ができないほどの大音響で響く、フェイにとっては本当に“夢”だったカリフォルニア。

彼女は、毎日この店を訪れる警察官に恋をする。

 

偶然を装い恋した警察官の部屋の合鍵を手に入れ、男の元カノの形跡を消してしまうように勝手に部屋を模様替えしていく女。

 

しかし、警察官も元カノのことを忘れられないようで・・・

筋を追うのはこのくらいにしましょうか。

狂気的とも思えるフェイの行動がなんだか微笑ましく見えてくるのがこの作品の不思議なところですね。

 

揺れる映像とエキゾチックな香港の街、それからまるでシェークスピアを思わせる吐息のような恋のつぶやき。

これらが融合してまさに恋の夢の中に引きずり込まれます。

 

恋に落ちるまでのカウントダウン。

『愛のむきだし』(2009)の園子温監督はひょっとしたら影響受けてる?

 

クエンティ・タランティーノが大絶賛してました。彼は好きだろうなあこういうの。

既存の表現方法をバラバラに壊して自分なりに再構築したような作品。

独りよがりと言われる一歩寸前で踏みとどまっているというかね。

 

甘すぎるラストはくすぐったすぎるけど、

ロマンティックですね。

 

 

『恋する惑星』原題:重慶森林, Chungking Express(1994)

ウォン・カーウェイ監督 100分

1995年7月日本公開 2022年8月4Kレストア版公開