愛情物語(1984)
前回、『メインテーマ』をアップしましたので、同時上映だったこちらもアップしておかなきゃと思い、今回レビューです。
タイロン・パワーとキム・ノヴァクが主演した『愛情物語』(原題:The Eddy Duchin Story)とはまったく関係ありません。
原作ノベルは、赤川次郎。
母一人子一人の家庭に育った少女、美帆(原田知世)はミュージカルスターを夢見ていた。
そんな彼女のもとに、毎年誕生日に“父親かもしれない男”から花が届いていた。
彼女は、その顔がわからない男を“あしながおじさん”と慕い、以前送られてきたトゥーシューズが自分の足にピッタリ合った16歳の誕生日の日、あしながおじさんを探しに旅に出るのだが・・・
というお話で、角川春樹社長自らメガホンを取って監督しています。
原田知世をスターにしようという角川監督の意欲が画面越しに伝わってきます。
開巻直後から、マイケルジャクソンの『スリラー』を模したようなミュージカルシーンから始まり、旅の場面とミュージカル場面が交互に描かれる感じで物語が進みます。
その物語は、多分に『フラッシュダンス』の影響があるみたいで、オーディションに挑む原田のキャラクターがそれにダブります。
意外と言ってはなんですが、このミュージカルシーンのセンスが日本映画にしてはよろしくて、幻想的なシーンは、オリビア・ニュートン・ジョン主演の、『ザナドゥ』を思い出したりしました。
そうかと思えば、オールディーズの若者たちが踊るシーンには、『アメリカン・グラフィティ』(1973)や『グリース』(1978)のような雰囲気を醸し出していて、併映作『メインテーマ』の森田芳光監督よりやるやん!と思ったりしました。
いよいよ、“あしながおじさん”と対面することになる屋敷のシーンでは、一転して、ゴシックホラーのような趣も見せてくれます。
主演の原田知世も、キレキレのダンスで頑張っていますが、髪型のせいなのか頭が大きく見えてバランスが悪くなったような感じがしたのは残念。
快調に進む角川演出。
一緒に旅してくれたおじさん(渡瀬恒彦)と育ててくれた母親(倍賞美津子)の二人に、オーディション合格を報告する場面も微笑ましく、ウエットすぎないタッチがいいですね。
そこでエンドシーンにすればよかったのですが、原田知世売り出しの一篇、最後の繰り返しのようなミュージカルシーンは蛇足だったような気がします。
幕が下りた瞬間のワンカットは良かったですが。
保育士さんが園児をあやすような物語ですけれど、割と楽しめたというのが感想です。
繰り返しになりますが、角川監督センスあると思いました。
余談ですが、渡瀬恒彦が演じたおじさん役を松田優作が演じたがっていたらしいです。
『愛情物語』(1984)
角川春樹監督 100ふん
1984年(昭和59年)7月公開