冷たい熱帯魚(2010)~熱帯夜に・・・ | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

 

 冷たい熱帯魚(2010)
熱帯夜に・・・

 

 

 

 

邦画史上最悪の胸糞映画。

ここまで描き切った園子温監督に、サンデーモーニングの張本氏ではないですがアッパレを差し上げたい!

 

エロ・グロ・タブーをこれでもかというほど詰め込んで、画面を正視できないほどのシーンの連続。

パゾリーニの『ソドムの市』(1975)とタメを張れるほどの背徳感。

わかったようでよくわからないパゾリーニより時速10キロは速いストレートを投げ込んでくるような作品ですね。

 

死体を透明にして完全犯罪を目論む村田(でんでん)。

優柔不断な性格が故にその猟奇犯罪に巻き込まれる社本(吹越満)。

二人の間で官能に溺れていく社本の妻、妙子(神楽坂恵)。

この三人の狂気を何も隠すことなく真正面から描く本作は欲の本質を見せつけられているようで本当に怖いです。

 

もし配信等で真夜中に一人で観ることになったら責任をとれないくらいの怖さ。

園子温監督も怖いもの知らずの演出で乗ってます。

 

現実味の無いスプラッターをはるかに凌駕する鮮血。

飛び散るのではなくへばりつくような赤。

 

社会倫理的観点からバッシングを受けている園子温監督ですが、映画監督として『紀子の食卓』(2006)から『地獄でなぜ悪い』(2013)までの作品群は目が眩むほどの傑作ぞろいでした。

 

 

 

社会的に認知され、エンターテイメントとしての作品を求めれれるようになっていき、その個性は失われていきました。

創造性と商業性は相容れませんね。

 

最近のバッシングを糧にして新たな傑作を生みだしてくれるんじゃないかなとまだ園子温監督に期待している私です。