第三世代(1979) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
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 第三世代(1979)

 

 

 

映画ファンに絶大なるファンを持つ、西ドイツ(当時)ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督によるテロドラマ。(テロドラマとはテロを題材にした作品のことを指す双葉十三郎先生の造語)

 

コンピューターの販売会社を営む社長が、思想の無い若者を操ってテロを計画して自分の私腹を肥やそうとする物語。

 

簡単に書いたあらすじではとても世俗的なお話のように思えるかもしれないもしれませんが、ベルリンの壁崩壊前の若者たちの思想と無情が感じられる興味深い内容となっております。

 

思想の無いテロリズムはただ単に資産家に操られるだけだという歪んだ世相を表している興味深い題材で、これはドイツ人じゃないと扱うことができない内容だと思います。

 

とても社会的なテーマなのですが、ファズビンタ―監督の映画ファンぶりがいたるところに見ることができて、なんだかうれしくなる一篇でもあります。

 

登場人物たちが好きな映画として『惑星ソラリス』を語ったり、「映画とというのは25秒間に一回の嘘の積み重ねだ」なんてセリフが飛び出したりするところがいいですね。

 

映像としての構図も非常に凝っており、いよいよテロを実行するというシーンには映画的緊張が盛り上がります。

ただ作品的には非常にインテリ向けに作られていて、浅学の私には深いところを理解することができなかったです。

今や人間は生きる意味を失っている

人間の価値を知るために

一度は戦争を経験すべきだ

さもないと戦間期や戦中の緊張感を忘れて

愚かな考えを起こす

 

愚鈍で臆病な考えを

西ドイツの監督がこのような考えを発信できるのは素晴らしいなと思えますね。

浅い知識しか持ち合わせていませんが、ナチスドイツの歴史を体験した作家の小さな皮肉がとても大きく響きます。

 

『意志と表象としての世界』

テロリストグループたちの合言葉です。

ドイツ語を理解できないと細かいところまで理解することはできません。

少し観念的過ぎるなと思うのですが、時にはこういうのと格闘するのもいいんじゃないのかなと思います。

 

『第三世代』Die dritte Generation(1979)

ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督 109分

2018年10月日本公開