アイリスへの手紙(1990)
ロバート・デ・ニーロとジェーン・フォンダ共演のヒューマンストーリー。
とてもチャーミングな作品です。
夫に先立たれながらも子育てに忙しく、家庭にも悩みを抱えるアイリス(ジェーン・フォンダ)。
老いた父親の面倒をみながらアイリスが勤める工場の食堂でコックとして働くスタンリー(ロバート・デ・ニーロ)。
スタンリーは心優しい性格なのだが文盲ということで社会的不利益を受け、コンプレックスを抱えていた。
アイリスは工場から帰宅するバスの車内でひったくりに遭い、それを見たスタンリーが追いかけたことで二人は知り合う。
お互い好印象だったのだが、
ある時、アイリスはスタンリーが文盲であることに気付いてしまい関係が気まずくなる。
そんな中スタンリーは、アイリスに読み書きを教えてほしいと申し出て・・・
飾らないベテラン俳優二人のもどかしい関係が素敵です。
演出も奇をてらうこともなく正攻法と言った感じで安心してみてられます。
父親を老人ホームに入れなくてはならなくなったスタンリーが文盲だったせいだと自分を責めるシーンは心が痛い。
アイリスはいつまでも自分が綺麗でありたいと思う凛とした女性で、いろんなことをしょい込むために自分を追い込むこともある。
お互い孤独を抱えた者同士親密になるのは当然の流れで、素直に感情移入できるのですが、劇中二人が男女の仲になるのに少し興ざめしちゃいました。
二人が劇中で語り合っていた通り、
「いい友達」の関係で物語を進めていたほうが、ラストのハッピーエンドがもっと感動できたような気がします。
中学生の恋愛のように照れながら自転車に相乗りする場面がとてもいいからなおさらそう思います。
このレビューの冒頭に「ラブ・ストーリー」という語句を使わずに「ヒューマン
ストーリー」とあえて書いたのはそのためです。
ラストの「やればなんでもできるさ」というセリフが物語の余韻を残します。
ジョン・ウィリアムスの情緒的な音楽はGood!
ロバート・デ・ニーロのもどかしい恋愛物語には、メリル・ストリープと共演した『恋におちて』(1984)というのもありました。
これもクラシカルでよかったですね。
『アイリスへの手紙』Stanley & Iris(1990)
マーティン・リット監督 104分
1990年6月日本公開