怪描トルコ風呂(1975) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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 怪描トルコ風呂(1975)

 

最近、東映エログロ路線のレビューが多いかなと思いますが、まあ、いいか。

 

怪談の定番である化け猫と風俗の定番であったトルコ風呂(説明不要だと思いますが現在のソープランドね)を合体させてヒットを狙った東映ポルノの一篇です。

 

鹿内という男の借金のかたとしてトルコ風呂に住み込みで働くようになった女・雪乃(谷ナオミ)。

 

しかし鹿内は狡猾な小悪党で、

雪乃をトルコ風呂で働かせた金を店の女主人と共謀してその売り上げを着服するような男。

 

鹿内は雪乃の妹・真弓まで毒牙にかけて、挙句に雪乃を妊娠させる。

 

用済みとなった雪乃を店の女主人と共謀して殺めた挙句、神社の壁に埋め込んで隠す。

 

その一部始終を見ていた雪乃の飼っていた黒猫が、姉が行方不明になったと同時にいなくなったことから、真弓はただならぬ思いを感じて姉の働いていた店に入店することになるのだが・・・

 

東映ポルノなので、5分に1回くらいのペースで濡れ場が登場します。

制作の上のルールですのでそれは仕方ありませんが、不必要と思われる濡れ場を挿入しすぎたせいで、せっかく面白くなりそうな題材なのにもったいないなあと。

 

ドロドロの情念が絡み合う心理描写はかなりの部分成功しているし、SMの女王谷ナオミの拷問シーンもさすがです。

 

そして妹・真弓に扮した大原美佐が結構良くてね。前半のうぶな田舎娘から復讐に燃える女に変わるまで見事な変身ぶり。

ちょっと梶芽衣子を思わせる風貌もいい感じですね。

 

女を金づるとしか考えていない小悪党・鹿内に室田日出男が演じていて相変わらず憎々しい雰囲気もあっています。

 

売春禁止法が施行された前後の時代を舞台にしていて、遊郭が風呂付の部屋で発生する自由恋愛として法律逃れの手段としてトルコ風呂に業務転換するあたりも面白い。

 

なのに、

なぜ残念な出来上がりになったのか!

 

それは肝心の化け猫が怖くないから。

事の一部始終を見ていた不気味な黒猫が怨霊にになって悪者に復讐するのだなと思ってみていたら、なんと怨霊は白い猫メイクをしているのです!

なんじゃそれ、ですよね。

不気味さも何もない。

ギャーっと言って悪者に飛び掛かるのですが、どうしても笑いがこみあげてしまうのです。

山口和彦監督しくじったな。

 

でも、噂によりますと、

最近はカルトとして人気がジワリと上がっているのだとか。

なんだかわかる気がしますね。

肩の力を抜いて観たら結構面白いかもね。

 

『怪描トルコ風呂』(1975)

山口和彦監督 82分