SEX発電(1975) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

『SEX発電』(1975)

 

題名に嫌悪感を及ぼしてご覧になるのを避けてしまうのはもったいないです。

70年代を生きる人間が考えた21世紀のエネルギー問題にユニークな切り口で語り掛けるエロテック近未来SF。

ウクライナ問題に端を発したエネルギー不足を考えながら理屈っぽく観てもいい。

 

エネルギーを消費しすぎて枯渇してしまった21世紀のイタリア。

文明は2世紀ほど退化し、街灯はなくなり移動手段は馬車や人力車そして照明はロウソク。

多くの科学者が新しいエネルギーの開発に挫折する中、

主人公のノビーリ教授は、男女のセックスの時の性的興奮がエネルギーになるのではないかと考えていた。

その仮説は実験により正しいと証明され、

研究チームは絶倫コンビの男女を病院の実験室に閉じ込めて更なる実験をする。

 

そうすると、二人の行為によりものすごい量のエネルギーが産出され、

その結果、ノビーリ教授の自信はゆるぎないものとなった。

 

エネルギー不足のため一帯が停電になっている中、

病院の周りだけ電気が点灯しているのを見つけた政府は教授を呼び出す。

 

事の真相を説明した教授だったが、

最初は信用されず、また教会関係からは嫌悪感を抱かれる。

 

しかし、

その実験が正しいということを証明されると政府もこの方式を積極的に推進するようになり、

教会の戒律も変えてしまう。

メディアは性的なものを垂れ流し、

国を挙げて発電のためのセックスホテルほ作るほど鼻息が荒かったのだが、

次第に発電量が落ちてくる。

それは意外な原因だった・・・・

 

監督のパスクァーレ・フェスタ・カンパニーレは、

ヴィスコンティ監督の『山猫』などを手掛けた実力派です。

そして撮影がベルトリッチ監督の『暗殺のオペラ』の撮影監督だったフランコ・デイ・ジャコモが担当するなど、

一流どころが揃っています。

 

絶倫の二人がせっかく二人っきりになったのになかなか行為を始めないので、

研究者チームがいろいろムードを̝高めてやるシーンや、

この二人が反政府組織に誘拐される場面などは蛇足でテンポが悪くなってしまったし、

閉所恐怖症の学者がエレベーターに閉じ込められてしまうシーンのギャグなどは正直、滑っている感はありますが、

それでもほのぼのしたムードで展開していくところは楽しい。

 

おっぱいはたくさん出てくるし、

そのものずばりの性行為シーンもありますが湿っぽくない。

 

そして、

ラストでは哲学めいた問いを客に投げかけて終わります。

 

愛のある性交が罪だったころは人々はセックスを求め、

愛のある性交が禁止されると人々はセックスを求めなくなる。

そして教授は、

「この発電には未来がない。禁じられたことだけをしたがるなんて、なんと人間は愚かなのだろう」とつぶやいて終わります。

ふむふむ、これが言いたかったのか。

Conviene far bene l'amoreという原題の意味が深い、いかにもイタリアらしい大らかなセックスコメディです。

 

敬愛する双葉十三郎先生は本作に史上最低に近い点数を付けたおられましたが、

私は嫌いじゃないです。

 

ただ、思春期に観るには刺激が強すぎるでしょうね。

 

『SEX発電』 Conviene far bene l'amore(1975)*1982年7月日本公開

パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ監督 106分

 

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