ゲット・アウト(2017) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
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 ゲット・アウト(2017)

 

 

公開当時、批評家の評判が高い作品でした。

レビューは絶賛の嵐。

どこが評価のポイントになったのだろう。

 

私はひねくれ者なのかな。

面白いことは否定しませんがそこまで絶賛する作品だとは正直思えませんでした。

 

シドニー・ポワチエ主演の『招かれざる客』(1967)のホラー版という感じで、新鮮さは感じませんでした。

 

 

白人社会の中に紳士的な黒人が入って来て好奇な視線を向けられるという展開は60年代後半からたくさん作られており既視感しかないのです。

 

裕福な白人のお嬢さんが黒人の彼氏を連れて実家に戻るところから物語が始まります。

そしてその家で多くの客を招いてのパーティーが催されることになり、白人ばかりの招待客は黒人の主人公に対してうわべだけの世辞を述べたり身体に触ったりする。

 

主人公と恋人がパーティーを抜け出して池に散歩に出かけている間、パーティー会場では賞品を賭けたビンゴ大会が行われていた。

 

そのビンゴ大会の賞品というのは・・・

 

このあたりまでの展開は不気味なムードも漂っておりとてもいい。

不気味な笑みを浮かべる黒人のメイドや常に肉体労働を課せられている青年、母親ほど年の離れた白人女性と結婚している男など、これがどういう風につながっていくのかというワクワク感がありました。

 

ただ、物語のカギになるのが催眠術というのが拍子抜けです。

このトリックのせいで、これまでに用意されているたくさんの伏線の回収が都合よくなりすぎてしまった感がある。

スリラーで催眠術と双子のトリックは反則なのだ!

ショック描写も予想できる。

 

主人公の仲間とのやりとりも強引すぎて、後半の大活躍も唐突過ぎる。

何故、あなた現れたんだ?

携帯つながらなかったはずなのに!

 

それでもクライマックスは結構気に入っています。それはホラーとしてではなくアクションとしてです。

サム・ペキンパー張りのドカンドカンと銃をぶっ放しながら屋敷を脱出するシーンは迫力。

 

過剰すぎるレイシズム批判がこの作品を新鮮な切り口の作品だと世間を錯覚させたのかもしれない。

 

退屈はしませんが穴が多い作品だと(私は)思います。

ただ、黒人のメイドは不気味。

『ゲット・アウト』 Get Out(2017)

ジョーダン・ピール脚本・監督 103分

2017年10月日本公開