公開当時話題になった、
取調室でのシャロン・ストーンの足の組み換え場面。
これだけ画面の一点に観客の視線が集中したのは映画史に残るかもしれない。
初見の時は興奮しました。
マイケル・ダグラスとシャロン・ストーン主演のエロティックサスペンス。
お色気たっぷりの女流作家の作品通りに、
彼女の周りの人間が次々と殺されていく。
彼女の次作は過去に問題を起こしたことのある刑事が殺人の容疑のある女性との危ない恋に落ち、
遂には刑事は殺されてしまうというもの。
刑事マイケル・ダグラスは危険な罠の臭いを感じつつも、女流作家シャロン・ストーンの色香に溺れていく。
マイケルの精神科医であるジーン・トリプルホーン(ベス)が狂言回し的な役柄で、こちらも色っぽく絡んでくる。
カーアクションシーンもあり、ショックシーンもあり、意外な展開からのどんでん返しもあり、BAD ENDを予感させる思わせぶりなラストシーンと言いお話としてはよくできていると思います。
サスペンスの象徴としてのアイスピックの使い方などもうまくて、出てくるだけで緊張させてくれる。
ただ、ニュアンスとして伝えるのが難しいのですが、
揃い過ぎててなんとなく方向が見えてしまうんですよね。
女流作家、過去に間違いを起こした刑事、精神科医、レズビアンとここまで揃うとなんとなく予想できませんか。
特に精神科医が登場するとトリックがたちまち甘くなる。
それでも面白い作品なんですけどね。
シャロン・ストーンとマイケル・ダグラスの絡みのシーンは、現在のAVよりも断然むせ返るほどの熱気と色気があります。
関係ないのですが、
この頃のマイケル・ダグラスは、
本作や『危険な情事』『ディスクロージャー』など、
悪女に振り回されてばかりでしたね。
さて、
カメラワークや照明などとても洗練されていて、いや、洗練され過ぎて大傑作になり損ねた感のある本作。
改めてスタッフを見返すとすごいメンツが揃っていたんですね。
まず、監督はポール・バーホーベン。
『ロボコップ』(1987)や『トータル・リコール』(1990)『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)などB級素材を面白く演出する監督と認識してたのですが、この作品は洗練されていますね。
近作『エル ELLE』(2016)も洗練されていたのでもともとセンスのある人だったのですね。
脚本が、
『フラッシュダンス』や『白と黒のナイフ』で才気を見せたジョー・エスターハス。
製作が『フェーム』や『ミッドナイトエクスプレス』『ダウンタウン物語』『バーディー』などアラン・パーカー監督とのコンビで問題作や話題作を次々とプロデュースしたアラン・マーシャルだったんですね。
この原作の映画化に関して並々ならぬ意欲を燃やしていたのだろうと思います。
そして製作総指揮をしたのが、
『ランボー』シリーズや『勝利への脱出』『ターミネーター2』などのマリオ・カサール。
この頃が絶頂期だったのだろう一番輝いていた時期。
彼の会社は1995年に倒産してしまった。
そして撮影が
『ダイ・ハード』(1988)や『ブラックレイン』(1989)の
ヤン・デボンだったんですね。
海岸の別荘まで車で追いかける空撮シーンや主役二人のセックスシーン、カーチェイスシーンなど流石と思いました。
海岸でシャロン・ストーンが涙ぐむシーンも美しかったし、
冒頭の足の組み換えシーンのセクシー描写もヤン・デボンのカメラがあってこそ。
ともすれば中盤交通渋滞を起こしてしまいそうな展開を一気に見せてくれたのはヤン・デボンの華麗でダイナミックなカメラワークによるところも大きかったと思います。
ヒッチコック作品の下手な亜流のようであり、
総合得点的には上位に挙げることはできませんが、
所々には力がこもって熱く見せるシーンがあり面白い作品だと思います。