『エル ELLE』 原題:ELLE
2016年(仏) ポール・ヴァーホーヴェン監督作品
大いに期待して観に行きました。
冒頭からいきなり始まるショックシーンから、
久々に本格サスペンスが始まるのかと期待が高まった。
コンピューターゲームの社長をしているミッシェル(イザベル・ユペール)は、ある日いきなり何者かにレイプされてしまう。
暴行されたミッシェルは、
過去にあった警察官への不信感から、
頑なに警察に事件を届けないでいた。
現在、
刑務所に入っている年おいた父を、
ミッシェルは心底憎んでおり、
必要以上に若作りをして若い男を囲い込む母には軽蔑に近い感情を抱いていた。
息子のヴァンサンには、
妊娠中の彼女がいるが、
その彼女の目的は自分の財産ではないのかという疑念も持っていた。
その後も、
ミッシェルの周りでは不審なことが起こり続け・・・
感想は・・・さばききれなかったなあ。
監督の狙いなのかもしれないが、
各エピソードのほぼすべてがまとまらずもどかしい。
気取った演出だということかもしれないが。
ブライアン・デ・パルマ並みの華麗な演出を期待したのだが、
デ・パルマほどの外連味もない。
物語が停滞してくると、
冒頭のショック映像が繰り返される。
しつこいなと感じながらも、
これはこれで終幕の反撃につながるから仕方ないかなと思いました。
ミッシェルが複雑な性格になった遠因ともいえる父親との関係も、
もう少しすっきりさせてほしかったし、
複数現われる怪しい人間のさばき方も甘く、
その分サスペンスの純度が薄まる。
身近な人間と不倫したり、
ミッシェルが何度も襲われたりと、
センセーショナルだと思いながら鑑賞する方も多いと思いますが、
僕は少々醒めていた。
ミッシェルを演じるイザベル・ユペールは、
還暦を超えているとは思えない美貌とアクションで、
本人もゴキゲンに演じているのがわかる。
期待値を少々上げすぎて鑑賞した本作でした。
ラストシーンは、
いかにもフランス映画らしい終わり方。
この余韻のあるラストシーンは気に入りました。