マイ・ブロークン・マリコ(2022) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

Amazon Primeにて鑑賞。

舌足らずのところもありますが面白い作品だと思いました。

 

ブラック企業の営業として働くシイノトモコ(シィちゃん)は、

昼食中の食堂のテレビで幼馴染のマリコが自殺をしたことを知る。

 

シィちゃんはトモコが幼いころから父親から酷い虐待を受けていたのを知っており、

そんな父親のもとに遺骨は渡さないと決意して包丁を隠し持ち遺骨を奪還しにトモコの実家に向かう。

 

遺骨を奪い取ったシィちゃんはトモコのことを回想するうちに、

生前彼女が海に行きたいと言っていたことを思い出し、

遺骨とともに旅に出るのだが・・・・

 

と言った感じで、

ロケの風景の優しさも相まって心温まる佳作となりました。

CGの洪水でチカチカドカーンといったアニメーションだか実写だかわからないような作品が多い中、

このような作品に出合えるとホッとします。

 

回想シーンの多くをマリコの手紙を読み返す手法で描いたため、

1時間25分と大変コンパクトにまとまったのはいいのですけど、

もう少し映像での回想場面を増やしても良かったんじゃないかなと思いました。

 

世間のほとんどの人が自分の存在を忘れても、

たった一人自分のことを覚えていてくれれば幸せだというメッセージもより強く伝わったんじゃないかなと。

 

いなくなった人を思い続けるには自分が生きていくしかないという言葉は結構刺さりましたね。

 

旅先で出会うイケメンの青年(窪田正孝)と妙な恋愛関係にならないのも良かったですね。

あそこで恋愛感情が生まれたらテーマがかすんでしまうところでしたからね。

 

その旅先から戻るシーンで、

その彼から弁当をもらい電車に乗り込むシーンがあったんですけど、

このシーンがとてもよくて自分が監督してたらここでラストにしていましたね。

辛いことも悲しいこともあるけれど、

生きることは食うことだというもう一つの力強いテーマを見ることができたから。

 

永野芽郁好演。

本来煙草を吸えない彼女が喫煙者であるシィちゃんの役作りのためにいろいろ努力したり、

さらに愛用のドクター・マーチンの靴を11か月履き潰して撮影に挑んだどころなど、

役者魂を感じました。

制服姿も何の違和感もなかったですしね。

感情の爆発のさせ方もうまい。

これからも楽しみな女優さんです。

不思議な温かさをもらえる作品でした。